『安全靴』が欲しくて
カタログを
見ていたんですが
『安全靴』と『プロテク
ティブスニーカー』の
2タイプがありました。
ありますね。
何か違うんですか?
どちらも、着用者の
足を保護するための
靴です。
用途は同じなんですね。
そうです。
ただ、認定する機関と
製品の素材や区分・
規格内容が違います。
どういうことですか?
『安全靴』は、
JIS規格品で『プロテク
ティブスニーカー』は、
JSAA規格品なんです。
スニーカータイプも
『安全靴』だと
思っていましたが
違うんですね。
という、やりとりがありました。
今回は、『安全靴』について
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。
安全靴とプロスニーカーの違いとは
そもそも、『安全靴』
って何ですか?
私の分かる範囲での
説明になりますが
大丈夫ですか?
よろしくお願いします。
『安全靴』は、
JIS規格で
作業時の事故によって生じる障害から
着用者の足を保護する機能を
組み込んだ靴で、製品のつま先部に
規定を満たすように設計された
先芯が取り付けられたもの。
と定義されています。
3.1 超重作業用安全靴
(ultra heavy protective footwear)
作業時の事故によって生じる障害から
着用者の足を保護するための機能を
組み込んだ靴で、製品のつま先部が
200 J以上の衝撃エネルギー、
及び15 kN以上の圧迫力を加えた
場合に規定された隙間寸法を
満たすように設計された先芯が
取り付けられたもの。3.2 重作業用安全靴
(heavy protective footwear)
作業時の事故によって生じる障害から
着用者の足を保護するための機能を
組み込んだ靴で、製品のつま先部に
100 J以上の衝撃エネルギー、
及び15 kN以上の圧迫力を加えた
場合に規定された隙間寸法を
満たすように設計された先芯が
取り付けられたもの。3.3 普通作業用安全靴
(standard protective footwear)
作業時の事故によって生じる障害から
着用者の足を保護するための機能を
組み込んだ靴で、製品のつま先部に
70 J以上の衝撃エネルギー、
及び10 kN以上の圧迫力を加えた
場合に規定された隙間寸法を
満たすように設計された先芯が
取り付けられたもの。3.4 軽作業用安全靴
(light protective footwear)
作業時の事故によって生じる障害から
着用者の足を保護するための機能を
組み込んだ靴で、製品のつま先部に
30 J以上の衝撃エネルギー、
及び4.5 kN以上の圧迫力を加えた
場合に規定された隙間寸法を
満たすように設計された先芯が
取り付けられたもの。
引用:JIS T 8101 安全靴
先芯って何ですか?
先芯とは、JIS規格で
3.19 先芯(protective toecap)
着用者のつま先を防護する目的で
設計され、靴のつま先部に
装着された部品。
引用:JIS T 8101 安全靴
と定義されています。
あれ?
『プロテクティブ
スニーカー』にも先芯
入ってますよね。
『プロテクティブ
スニーカー』は、
JIS規格を基に、
公益社団法人 日本保安用品協会
が作った、JSAA規格認定品で
『プロスニーカー・プロブーツ』
とも呼ばれています。
(以下、『プロスニーカー』とします。)
プロテクティブスニーカー
参考:中央労働災害防止協会-
安全衛生保護具の基礎知識
『安全靴』と
何が違うんですか?
『プロスニーカー』は、
つま先部の保護性能においては、
普通作業用安全靴と軽作業用安全靴と
同等の保護性能を持っていますが、
甲被に使える素材に、人工皮革や
ビニルレザー・合成樹脂引布など
自由度があり、軽量でデザイン性に
優れた製品のことです。
甲被って何ですか?
甲被とは、JIS規格で
3.9 甲被(upper)
靴の表底より上部の足を包み込む
部品の総称。
甲革と同義に使用する場合もある。
引用:JIS T 8101 安全靴
と定義されています。
ということは、
安全靴の甲被素材は
決まってるんですか?
『安全靴』は、
材料区分による種類としてクラスⅠ
及びⅡに分けられており、クラスⅠの
甲被は革製、クラスⅡは、総ゴム製
又は総高分子材製に限られます。
なるほど。
甲被が革や総ゴムの
『安全靴』に比べ、
『プロスニーカー』の
耐久性は劣りますね。
そうなんです。
安全性が重視される職場では、
『安全靴』が選ばれ、比較的
作業環境が良い職場には、
動きやすい『プロスニーカー』が
増えているようです。
作業環境に合った
履物を選ぶ必要が
ありますね。
-
『安全靴』は、着用者の足を
保護するための機能を組み込んだ
靴で、製品のつま先部に規定を
満たすように設計された先芯が
取り付けられている。 -
『プロテクティブスニーカー』
は、JSAA規格の認定品で、
『プロスニーカー・プロブーツ』
とも呼ばれている。 -
『プロスニーカー』のつま先部は、
普通作業用と軽作業用安全靴と
同等の保護性能を持っているが、
甲被の素材に自由度があり、軽量
でデザイン性に優れた製品が多い。 -
『安全靴』は、材料区分による
種類としてクラスⅠ及びⅡに
分けられており、クラスⅠの
甲被は革製、クラスⅡは、総ゴム製
又は総高分子材製に限られる。 - 安全性が重視される職場では、
『安全靴』、比較的作業環境が
良い職場には、動きやすい
『プロスニーカー』が増えている。
日本保安用品協会(JSAA)とは?
『JSAA規格』の
JSAAって何ですか?
JSAAとは、
Japan Safety Appliances
Associationの略称で、
『公益社団法人 日本保安用品協会』
のことです。
JSAAとは、どんな
団体なんですか?
JSAAは、
保護具・保安用品の普及と
質的向上の推進、並びに保護具・
保安用品が適正に選択され、
使用されるよう指導と助言の
サービスを行っている団体です。
保護具や保安用品の
普及と品質向上など
を進めている団体
なんですね。
そうなんです。
そして、
JSAAは、JSAA型式認定基準
第1号として『プロテクティブ
スニーカー型式認定基準』
を制定し、公表しています。
プロスニーカーが、
JSAA規格第1号
なんですね。
そのようです。
そして、
『プロテクティブスニーカー
型式認定基準』を満たした
『プロスニーカー』には、型式認定
合格証明票を付け、個装箱には
認定マークを表示しています。
靴本体の合格マークは
どこについてますか?
靴本体には、
ベロ裏又は内側に型式認定合格と
種別(A種/B種)を明記しており、
付加的性能がある場合には、
ピクトグラムで分かりやすく
表示されています。
プロスニーカーには、
型式認定合格が
分かりやすく表示
されているんですね。
-
JSAAとは、Japan Safety
Appliances Associationの
略称で、『公益社団法人
日本保安用品協会』のこと。 -
JSAAは、保護具・保安用品の
普及と質的向上の推進、並びに
適正に選択・使用されるよう
指導と助言を行っている団体。 -
JSAAは、JSAA型式認定基準
第1号として『プロテクティブ
スニーカー型式認定基準』
を制定し、公表している。 -
型式認定基準を満たした
『プロスニーカー』には、型式
認定合格証明票を付け、個装箱
には認定マークを表示している。 -
靴本体には、ベロ裏又は内側に
型式認定合格と種別(A種/B種)
を明記しており、付加的性能が
ある場合には、ピクトグラムで
分かりやすく表示されている。
付加的機能と帯電防止性能
付加的機能について
教えて下さい。
『安全靴』と
『プロスニーカー』の
付加的性能に、
JIS規格とJASS規格の付加的性能 | ||||
項目 | JIS 規格 記号 |
JASS 規格 |
||
耐踏抜き性 | P | 〇 | ||
かかと部の衝撃エネルギー吸収性 | E | 〇 | ||
足甲プロテクタの耐衝撃性 | M | – | ||
耐滑性 | 耐滑区分1 | F1 | 〇 | |
耐滑区分2 | F2 | |||
耐水性 | W | – | ||
耐切創性 | C | – | ||
電気絶縁 特性 |
AC600V以下用 | I-600 | – | |
AC3500V以下用 | I-3500 | – | ||
AC7000V以下用 | I-7000 | – | ||
耐 熱伝導性 |
靴底の高温 熱伝導性 |
高温 熱伝導性 区分1 |
HI1 | – |
高温 熱伝導性 区分2 |
HI2 | – | ||
靴底の低温 熱伝導性 |
低温 熱伝導性 区分1 |
CI1 | – | |
低温 熱伝導性 区分2 |
CI2 | – | ||
表底の耐高熱接触性 | H | – | ||
表底の耐燃料油性 | BO | – | ||
甲被の耐燃料油性 | UO | – | ||
漏れ防水性 | CⅡは 基本 性能 |
〇 |
JIS規格とJSAA規格の比較 (抜粋)
参考:ミドリ安全株式会社
があります。
やはり『安全靴』
には付加的性能の
種類が多いですね。
そういえば、社内では
帯電防止性能が必要
だったと思います。
静電気は、
静電気帯電防止靴で
別に規格があります。
静電気帯電防止靴
の規格ですか?
人体の静電気帯電は、
各種溶剤を扱う事業所では、爆発や
火災のような事故の危険性があり、
電子産業では、素子の破壊や誤作動
といった生産障害の原因になります。
静電気って結構
危ないんですね。
そうなんです。
しかも、
作業者の帯電は、衣類よりも
履物や床素材によって
決まる度合いが大きいんです。
履物に静電気が溜まり
やすいんですね。
そのため、
爆発の危険性がある場所では、
帯電防止作業服・帯電防止作業靴
などの着用が義務化されています。
静電気の危険性は
分かりました。
このような理由から、
履物の静電気帯電が原因
となって発生する災害及び
障害を防止する目的で
JIS規格化されています。
静電気帯電防止靴の
定義を教えて下さい。
静電気帯電防止靴は、
3.1静電安全靴
(electrostatic dissipative
protective footwear)
甲被及び表底の使用材料が
JIS T 8101の規定に該当し、
静電気拡散性をもち、かつ、靴の
つま先部に先しんが装着されること
によって、圧迫及び衝撃に対して
着用者を防護する性能をもつ靴。3.2静電保護靴
(electrostatic dissipative
occupational footwear)
静電気拡散性をもち、かつ、靴の
つま先部に先しんが装着されていて、
圧迫及び衝撃に対して着用者を
防護する性能をもっているが、
甲被、表底などの使用材料の
一部又は全部が JIS T 8101
の規定に該当しない靴。3.4導電安全靴
(electrostatic conductive
protective footwear)
甲被及び表底の使用材料が
JIS T 8101の規定に該当し、
静電気導電性をもち、かつ、靴の
つま先部に先しんが装着されること
によって、圧迫及び衝撃に対して
着用者を防護する性能をもつ靴。3.5導電保護靴
(electrostatic conductive
occupational footwear)
静電気導電性をもち、かつ、靴の
つま先部に先しんが装着されていて、
圧迫及び衝撃に対して着用者を
防護する性能をもっているが、
甲被、表底などの使用材料の
一部又は全部が JIS T 8101
の規定に該当しない靴。
引用:JIS T 8103 静電気帯電防止靴
と定義されています。
保護靴には、
『プロスニーカー』
も含んでいますね。
また、
静電気帯電防止靴は、
導電靴と静電靴に区分されており、
さらに静電靴には『一般』と『特殊』
の種別に分類されています。
なぜ分類されて
いるんですか?
それは、
使用場所によって、使用できる
静電気帯電防止靴が定められて
おり、適切な種類の靴を選んで
使用する必要があるからです。
なるほど。
ちなみに
『プロスニーカー』の帯電防止
タイプは、『一般』程度の
帯電防止性能しかないため
確認してから使用して下さい。
分かりました。
-
『安全靴』と『プロスニーカー』
では、『安全靴』の方が
付加的性能の種類は多い。 -
人体の静電気帯電は、各種溶剤を
扱う事業所では、爆発や火災の
危険性があり、電子産業では、
生産障害の原因になる。 -
爆発の危険性がある場所では、
帯電防止作業服・帯電防止作業靴
など、着用が義務化されている。 -
履物の静電気帯電が原因となって
発生する災害及び障害を防止する
目的でJIS規格化されている。 -
静電気帯電防止靴は、導電靴と
静電靴に区分されており、さらに
静電靴には『一般』と『特殊』
の種別に分類されている。 - 『プロスニーカー』の
帯電防止タイプは、『一般』
程度の帯電防止性能しかない。
先芯性能とは?
今更ですが、
先芯性能についても
教えて下さい。
いいですよ。
正直、衝撃エネルギー、
や圧迫力と言われても
正直良く分かりません。
確かにそうですよね。
まず、
安全靴は、
JIS T 8107の
『安全靴・作業靴の試験方法』
に耐衝撃性や耐圧迫性の
試験方法が規定されています。
安全靴の耐衝撃性
とは何ですか?
安全靴の耐衝撃性とは、
つま先に重量物が落ちた時に、
その衝撃から着用者のつま先を
守る性能のことです。
耐衝撃性試験は
どのような試験
をするんですか?
まず、耐衝撃性の
試験方法は、
質量20kgのくさび形鋼製ストライカ
を規定の高さから、垂直ガイドに沿って
自由落下させ、衝撃による変形した
先芯と中底のすきま寸法が規定以上に
確保できているか測定します。
普通作業用安全靴の
衝撃エネルギー70Jとは
どれくらいですか?
具体的に、
衝撃エネルギー70Jは、ボーリングの球
15ポンド(約7kg)を1Mの高さから
自由落下させた時の衝撃エネルギーと
同等と言われています。
7kg以上の鋭角なものが
頻繁に落下するような
環境は、重作業用以上を
選んだほうが良いですね。
次は、耐圧迫性ですが
つま先部に重量物がのりかかった
時に、その荷重から着用者の
つま先を守る性能のことです。
耐圧迫性試験は
どのような試験
をするんですか?
耐圧迫性の
試験方法は、
先芯の最高部を試験装置の台座に
載せ、先芯の内部に油粘度を挿入し、
決められた圧迫力になるまで、
規定の速度で圧迫力を加えた後に、
油粘度の高さを測定します。
普通作業用安全靴の
圧迫力10kNとは
どれくらいですか?
具体的に、
JIS規格・JSAA規格の圧迫力試験条件 | ||||
超重 作業用 |
重作業用 | 普通 作業用 |
軽作業用 | |
JIS 規格 |
U種 | H種 | S種 | L種 |
JSAA 規格 |
– | – | A種 | B種 |
圧迫力 (kN) |
15±0.1 | 15±0.1 | 10±0.1 | 4.5±0.04 |
相当 荷重 |
約1.5t | 約1.5t | 約1t | 約450kg |
圧迫力10kNは、
1t程度の荷重に
相当するんですね。
そうなんです。
あとは、使用環境に
応じて、材質・形状などを
選んで使用して下さい。
-
安全靴は、JIS T 8107の
『安全靴・作業靴の試験方法』に
耐衝撃性や耐圧迫性の試験方法が
規定されている。 -
安全靴の耐衝撃性とは、
つま先に重量物が落ちた時に、
その衝撃から着用者のつま先を
守る性能のこと。 -
耐衝撃性の試験方法は、質量20kg
のくさび形鋼製ストライカを
規定の高さから自由落下させ、
変形した先芯と中底のすきま寸法が
規定以上確保できてるか測定する。 -
衝撃エネルギー70Jとは、
ボーリングの球15ポンド(約7kg)
を1Mの高さから自由落下させた
時と同等と言われている。 -
耐圧迫性とは、つま先部に
重量物がのりかかった時に、
着用者のつま先を守る性能のこと。 -
耐圧迫性の試験方法は、
先芯を試験装置の台座に載せ、
先芯内部に油粘度を挿入し、
決められた圧迫力を加えた後に、
油粘度の高さを測定する。 -
普通作業用安全靴の
圧迫力10kNは、約1tの
荷重に相当する。
まとめ
着用者の足を保護するための履物に、
JIS規格の『安全靴』とJIS規格を
基に作られた、JSAA規格の
『プロテクティブスニーカー』
があります。
作業内容に応じて、適切な履物を
使用する必要があるため、
一度、あなたの履物の性能を
確認してみてはいかがでしょうか?
ありがとうございました。
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