あなたは、「表面粗さ」について
悩んだことはありませんか?
「面粗度」と呼ばれることもありますが、
JIS規格では、
「表面粗さ」と定義されているので
この記事では、
「表面粗さ」
を使わせていただきます。
機械加工などモノづくりにおいて、
「表面粗さ」
は、必ずと言っていいほど絡んできます。
ただ、
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
「表面粗さ」とは
どういうものなのか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
「表面粗さ記号」は、
何を表しているの?
と聞かれてもうまく説明できないことが
ほとんどではないでしょうか?
今回は、表面粗さについて
解説していきたいと思います。
「表面粗さ」とは
私もお客様から
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/processing-2.jpg)
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
この記号が表している意味は?
と聞かれて、
表面の粗さをきちんと説明できているか?
というと正直、自信がありません。
数字や記号の意味をいくら説明しても
凸凹加減を理解してもらうのは
難しいですよね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
意味は分かったよ。
と言われても、納品してみたら
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
思っていたものと違う・・・
と、言われたことだってあります。
ここでは、
そういった行き違いが無いように
分かりやすく説明していきたいと
思います。
表面粗さ記号が、表している意味を理解しよう
私は、表面粗さ記号に表記されている
意味を知ることで、
- お客様が何を求めているか?
- 何を確認しないといけないか?
を知ることが出来ると思っています。
今から、表面粗さ記号が表している意味を
解説していきます。
現在のJIS規格は、
下記のような表記になっています。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/processing.jpg)
・ただし、
必要に応じて記入するので、
全てを記入する必要があるわけでは
ありません。
削り代
削り代とは、材料表面を、
仕上げ寸法に削って仕上げる際に
そぎ落とす分として、
大きめに取っておく取り代のこと。
私は、あまり目にしたことはないです。
筋目方向
筋目記号 | 意味 |
= | 筋目の方向が、 記号を指示した図の投影面に平行 例:形削り面,旋削面,研削面 |
丄 | 筋目の方向が、 記号を指示した図の投影面に直角 例:形削り面,旋削面,研削面 |
XX | 筋目の方向が、 記号を指示した図の投影面に斜めで 2 方向に交差 例:ホーニング面 |
MM | 筋目の方向が、多方向に交差 例:正面フライス削り面, エンドミル削り面 |
CC | 筋目の方向が、 記号を指示した面の中心に対して ほぼ同心円状 例:正面旋削面 |
RR | 筋目の方向が、 記号を指示した面の中心に対して ほぼ放射状 例:端面研削面 |
PP | 筋目が、粒子状のくぼみ、 方向又は粒子状の突起 例:放電加工面,超仕上げ面, ブラスチング面 |
上パラメーター
上パラメーターにはよく、
- Ra 算術平均粗さ
が使われます。
この数値をよく目にするのではないでしょうか?
Raは、一般的な表面粗さを
指定する場合に
使用されることが多く、
表面の凸凹を平均にならした値を
Raで表記されます。
下パラメーター
下パラメーターは、
複数要求された場合に、
二番目以降のパラメーターを
表記するときに使用します。
代表的なものに、
- Rz 十点平均粗さ
- Ry 最大高さ
などがあります。
Rzは粗さ曲線から、
その平均線の方向に
基準長さだけを抜き出し、
最も高い凸から5番目までの
凸の高さの平均値と
最も低い凹から5番目の凹までの
深さの平均値を足したもの。
Ryは粗さ曲線から、
その平均線の方向に
基準長さだけを抜き出し、
最も高い凸と最も低い凹の
間隔を測定したもの。
加工方法記号
加工方法 | 記号 | 加工定義 |
のこ 引き |
SW | のこを用いて工作物を 切断すること。 |
平削り | P | バイトを用い、工作物を 直線切削運動させて削ること。 |
穴あけ | D | 主としてドリルを用いて 穴をあけること。 |
放電 加工 |
SPED | 工作物と電極との間の放電現象を 利用して加工を行う工作機械。 |
フライス 削り |
M | フライスを用いて行う フライス削り。 |
リーマ 仕上げ |
DR | リーマを用いて穴を 仕上げ削りすること。 |
中ぐり | B | 穴をバイトを使用して くり広げる切削。 |
旋削 | L | 工作物の外周を円筒形に 旋削すること。 |
研削 | G | 主として工作物を 研削する研削盤。 |
ラップ 仕上げ |
GL | ラップ剤及びラップを用いて 面を仕上ること。 |
<参考資料>
日本工業規格 JISB 0031:2003(ISO 1302:2002)
製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状の図示方法
表面粗さの具体例
表面粗さは、かつては「▽記号」を用いて
簡略的に規定されていました。
しかし、2度の改定を経て、
現在のような数値で詳細に
規定できるようになりました。
ただし、昔の図面や現在の図面でも
「▽記号」や「旧JIS記号」
が使用されているケースがあります。
表面粗さの説明をサンプルをもって
説明した時期もありました。
見た目に分かると
理解してもらいやすいので
大変重宝するアイテムでした。
ただし、見ていただけない場合や
時間がない場合は、
どうしても早く進めないといけないので
加工方法と表面粗さの具体例と
「▽マーク」の関係を
表にまとめました。
加工方法と表面粗さの関係
加工方法 | 表面粗さ | |||||||||||
加工名 | 加工 記号 |
Rz | 100 | 50 | 25 | 12.5 | 6.3 | 3.2 | 1.6 | 0.8 | 0.4 | 0.2 |
Ry | ||||||||||||
Ra | 25 | 12.5 | 6.3 | 3.2 | 1.6 | 0.8 | 0.4 | 0.2 | 0.1 | 0.05 | ||
旧 | ▽ | ▽▽ | ▽▽▽ | ▽▽▽▽ | ||||||||
のこ引き | SW | |||||||||||
平削り | P | |||||||||||
穴あけ | D | |||||||||||
放電加工 | SPED | |||||||||||
フライス 削り |
M | |||||||||||
リーマ 仕上げ |
DR | |||||||||||
中ぐり | B | |||||||||||
旋削 | L | |||||||||||
研削 | G | |||||||||||
ラップ 仕上げ |
GL |
まとめ
一言で表面粗さと言っても、
表記されている記号には、
様々な情報が隠れています。
この情報を知って加工するのと、
知らずに加工するのとでは、
仕上がりに大きな差が出てしまいます。
また、それがトラブルにつながる
可能性だってあります。
この記事を読んで、
「表面粗さとは何か?」
と思っている方の参考になれば
幸いです。
ありがとうございました。
![]() |
日本金属電鋳: 円筒外面粗さ標準片 EA 基準片 アラサ 測定 計測 マスタ EA
|