![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
蒸気配管から
蒸気が漏れているので
修理して下さい。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
分かりました。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
どの配管から、蒸気が
漏れているんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
あの配管ですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
あ~。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
スチームトラップから
蒸気が漏れてますね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
修理できますか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
スチームトラップ本体を
交換すれば問題ないですよ。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
では、スチームトラップの
交換をお願いします。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
分かりました。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
では、スチームトラップを
手配します。
という、やりとりがありました。
今回は、『スチームトラップ』
について、簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。
スチームトラップとは
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
そもそも、
『スチームトラップ』
ってなんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
私の分かる範囲での
説明になりますが
大丈夫ですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
よろしくお願いします。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
スチームトラップは
『蒸気トラップ』とも呼ばれ、
JIS規格では
10859 トラップ
機器、配管などからドレンを自動的に
排出する自力式のバルブの総称。10860 蒸気トラップ
蒸気機器、蒸気配管などに用いる
トラップ。
引用:JISB 01000-バルブ用語
蒸気トラップ
蒸気機器から凝縮水を自動的に
排出し、原則として閉弁の間は
生蒸気を漏らさない弁装置を
内蔵しているもの。
引用:JISB 8401-蒸気トラップ
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
と定義されています。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
つまり、
スチームトラップとは、
蒸気を配管から漏らさずに、
ドレンのみを排出させる
自動バルブのことなんですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
そうなんです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
でも、ドレンを
排出させるだけなら、
手動のボールバルブでも
良さそうな気がしますが
ダメなんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
スチームトラップが
誕生する前は、
定期的にバルブを開いてドレンを
排出させたり、バルブを常時微開放
状態にして、蒸気を漏らしながら
ドレンを排出していました。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
じゃあ、手動バルブでも
代用可能なんですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
ただ、
定期的にバルブを手動で操作して
ドレンを排出させるのは面倒ですし、
排出し忘れる可能性もあります。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
確かにそうですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
しかも、
ドレンの発生量は一定ではなく、
外気温の変化でも変わってきます。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
なので、手動バルブだと
ドレン発生量の変化に追従できず、
ドレンがたまる可能性がある上、
蒸気が放出され続けるので、
エネルギーロスにつながります。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
手動バルブでは
難しいですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
なので、
溜まったドレンを速やかに排出し、
蒸気をできるだけ漏らさない、
『スチームトラップ』が
必要なんです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
なるほど。
-
スチームトラップが誕生する前は、
定期的にバルブを開いてドレンを
排出させたり、バルブを常時微開放
状態にして、蒸気を漏らしながら
ドレンを排出していた。 -
バルブを手動で操作してドレンを
排出させるのは面倒なうえ、
排出し忘れる可能性もある。 -
ドレン発生量は一定ではなく、
外気温の変化でも変わってくる。 -
手動バルブだと、ドレンがたまり
すぎる可能性があるうえ、
蒸気が放出され続けるので、
エネルギーロスにもつながる。 -
溜まったドレンを速やかに排出し、
蒸気をできるだけ漏らさない、
『スチームトラップ』が必要。
ドレンによる問題点
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
スチームトラップが
ドレンを排出させる
自動バルブだという
ことは分かりました。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
ただ、
配管にドレンがたまると
なんでダメなんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
そもそも、『ドレン』
ってなんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
一つ一つ解決して
いきましょう。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
まず、
ドレンはJIS規格で
41002 ドレン
a) 蒸気管系の蒸気が復水したもの
及び空気圧系で分離した
油水分の総称。
b) 流体から分離した物質を
排出すること。
引用:JISB 01000-バルブ用語
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
と定義されています。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
『腹水』ってなんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
腹水とは、
蒸気が冷却されてできた水
のことです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
なるほど。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
では、このドレンが
蒸気配管の中にたまると
どうなるんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
ドレンが蒸気配管の
中にたまると、
- 配管の断面積が小さくなり、
蒸気の通過量が減少する。 - 配管や機器が腐食する。
- ドレンが凍結し、配管や機器が
破損する。 - ウォーターハンマーが発生する。
などの原因になります。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
『ウォーターハンマー』
ってなんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
ウォーターハンマーは、
『水撃作用』とも呼ばれ
バルブの急な開閉によって、
配管内でドレンの流速が急激に
変化し、配管などに大きな衝撃を
与える現象のことです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
蒸気が配管内を高速で
流れた時、溜まっていた
ドレンが蒸気におされて
一気に流れてしまうんですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
そうなんです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
連休明けなどに
蒸気配管に蒸気を送ると、
配管内で「カンカンカン」
という音がすると思いますが、
あれがウォーターハンマーです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
確かに、休み明けに
蒸気を流すと音がしますね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
ウォーターハンマーの
衝撃がひどいと、
配管接合部やバルブの破損に
つながるのでご注意ください。
ウォーターハンマー (発生のメカニズム)
参考:もっと知りたい蒸気のお話-
株式会社テイエルブイ
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
ドレンを排出しないと
大変なことになるんですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
ちなみに海外では、
『スチームハンマー』とも
呼ばれているそうです。
-
蒸気配管のドレンとは、蒸気が
冷却されてできた水のこと。 -
ドレンが蒸気配管の中にたまると、
「蒸気の通過量が減少する。」
「配管や機器が腐食する。」
「ドレンが凍結する。」
「ウォーターハンマーが
発生する。」などの原因になる。 -
ウォーターハンマーとは、
バルブの急な開閉によって、
配管内でドレンの流速が急激に
変化し、配管などに大きな
衝撃を与える現象のこと。 -
ウォーターハンマーの衝撃が
ひどいと、配管接合部や
バルブの破損につながる。
スチームトラップの種類
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
スチームトラップの
重要性は、理解できました。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
でも、どうやってドレンを
排出させているんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
スチームトラップは、
用途や条件に合ったものを使用する
必要があるので、様々な作動方式が
あります。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
どんな作動方式が
あるんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
作動方式は、大きく
- メカニカル式
- サーモスタティック式
- サーモダイナミック式
の3つに分類されます。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
へー。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
『メカニカル式』は、
代表的なものにフロート式や
バケット式があり、ドレンがたまると
フロートやバケットが浮力によって
上下し、弁を開閉させてドレンを
排出します。
メカニカルトラップ
参考:スチームトラップの基本-
株式会社テイエルブイ
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
浮力を利用してドレンを
排出させるのが、
メカニカル式なんですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
そうです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
つぎは
『サーモスタティック式』
ですが、代表的なものに
バイメタル式・ベローズ式・
エレメント式があり、蒸気が流入すると
膨張して弁が閉じ、ドレンが流入すると
収縮して弁が開き、ドレンを排出します。
サーモスタティック・スチーム トラップ(バイメタル式)
サーモスタティック・スチーム トラップ(ベローズ式)
参考:スチームトラップの基本-
株式会社テイエルブイ
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
蒸気とドレンの温度差を
利用して、ドレンを
排出させるんですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
最後は、
『サーモダイナミック式』
ですが
入口と出口の途中に変圧室と呼ばれる
中間圧力の部屋があり、蒸気による
温度上昇によって圧力が上がると
変圧室の弁が閉じ、ドレンによる
冷却によって圧力が下がると
弁が開きドレンを排出します。
サーモダイナミック・スチームトラップ
参考:スチームトラップの基本-
株式会社テイエルブイ
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
蒸気とドレンの圧力差を
利用して、ドレンを排出
させるんですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
このように、
スチームトラップには
様々な作動方式があります。
-
スチームトラップは、
「メカニカル式」
「サーモスタティック式」
「サーモダイナミック式」
と3つの作動方式に分類される。 -
メカニカル式は、ドレンが
たまるとフロートやバケットが
浮力によって上下し、弁を開閉
させてドレンを排出する。 -
サーモスタティック式は、蒸気が
流入すると膨張して弁が閉じ、
ドレンが流入すると収縮して
弁が開き、ドレンを排出する。 -
サーモダイナミック式は、
蒸気による温度上昇によって
圧力が上がると変圧室の弁が閉じ、
ドレンによる冷却によって圧力が
下がると弁が開きドレンを排出する。
スチームトラップの取付方法
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
スチームトラップに
色んな種類がある事は
分かりました。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
でも、
どうやって使い分けて
いるんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
用途に合わないタイプを
選んでしまうと
動作不良によってドレンが排出
できなかったり、ひどいときには
蒸気が吹き出す場合もあるので
十分注意して下さい。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
怖いですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
スチームトラップの取付は、
- ドレンの流れ方向
- 取付方向
- メンテナンススペース
などに注意して取り付けて下さい。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
ふむふむ。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
まず、
スチームトラップには
ドレンの流れ方向が矢印などで
明示されているので、必ず流れ
方向を確認して取付けて下さい。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
次に取付方向ですが、
メカニカル式は基本、垂直配管用と
水平配管用があり、それぞれ専用の
取付方法でしか使用できません。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
メカニカル式は、
浮力で弁を開閉させるから
取付ける方向を間違えると、
上手く作動しないんですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
そうなんです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
スチームトラップの
取付方向は、
構造と作動原理に基づいて決まって
いるので、取付方向が正しくないと
正しく作動しません。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
では、
サーモダイナミック式は
どうなんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
サーモダイナミック式は、
基本、垂直配管と水平配管の
どちらでも使用できます。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
圧力の変化で弁を開閉
させるから、どちらでも
使用可能なんですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
そうなんです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
では、
サーモスタティック式は
どうなんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
基本的に
サーモスタティック式も
垂直配管と水平配管のどちらでも
使用できます。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
ただし、
垂直配管に取付けた場合、
ドレンのたまり方によっては、
温度にムラが出来、動作が
不安定になることがあります。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
条件付きで
垂直配管に使用可能
という感じですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
最後は
メンテナンススペース
ですが、
通常、スチームトラップは経年劣化
によって正常に作動しなくなります。
そのため、将来交換作業が容易に
行えるよう、周囲にスペースを十分
確保して取り付けて下さい。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
正常に作動しなくなっても
スチームトラップのみ
交換できると楽ですね。
-
スチームトラップには、
ドレンの流れ方向が必ず、
矢印などで明示されているので
方向を確認して取り付ける。 -
メカニカル式は、垂直配管用と
水平配管用があり、それぞれ
専用の取付方法で使用する。 -
サーモダイナミック式は、
垂直配管と水平配管の
どちらでも使用できる。 -
サーモスタティック式も垂直配管・
水平配管のどちらでも使用できるが
垂直配管に取付けた場合、
ドレンのたまり方によって温度に
ムラが出来、動作が不安定になる。 -
スチームトラップは経年劣化に
よって正常に作動しなくなるので、
将来交換作業が容易に行えるよう、
周囲にスペースを十分確保する。
まとめ
スチームトラップは、蒸気配管から
なるべく蒸気を漏らさずに、ドレンのみを
排出させる自動弁の一つです。
ウォータハンマーによって
配管や機器の破損や腐食の原因にも
なるので、スチームトラップで
速やかに排出させる必要があります。
スチームトラップを正しく
取り付けて使用して下さい。