カートリッジヒーターの構造と使い方。漏電・断線の原因、空焼きとは

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新しく作った設備の

カートリッジヒーターが

3週間で漏電しました。

なにが原因だと思いますか?

ちょっと設備を見せて
もらってもいいですか?

どうぞ、どうぞ。

見て下さい。

カートリッジヒーターが
取付穴から飛び出てる
じゃないですか!

えっ?

ヒーターが飛び出てたら

ダメなんですか?

ヒーターを大気中で

加熱すると空焼き状態
となり、漏電・断線の
原因になります。

設備の見直しから

したほうが良いですよ。

分かりました。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、『カートリッジヒーター』
について、簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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カートリッジヒーターとシーズヒーター

そもそも、

『カートリッジヒーター』
ってなんですか?

私の分かる範囲での

説明になりますが

大丈夫ですか?

よろしくお願いします。

『カートリッジヒーター』は、

棒状のセラミックに巻き付けた
発熱線をパイプの中に挿入し、
それらの隙間を熱伝導性と絶縁性に
優れたMgOパウダーで封じ込めた、
電力密度の高い棒状ヒーターです。
引用:カートリッジヒーター
   -株式会社河合電器製作所

と、紹介されています。

『シーズヒーター』とは
なにが違うんですか?

『シーズヒーター』は、

金属パイプの中心に発熱コイルを
挿入し、金属パイプと発熱コイルの
隙間をMgOパウダーで固めた
直管状の構造となっています。
引用:シーズヒーター
   -株式会社河合電器製作所

と、紹介されています。

同じじゃないんですか?

説明だけ聞くと
そう思いますよね。

両方ともパイプに
覆われている
ヒーターですが

Point

一般的に、片側から端子、もしくは
リード線が出ているものを
『カートリッジヒーター』と呼び、
両端から端子、もしくは
リード線が出ているものを
『シーズヒーター』と呼んでいます。

 

『シーズヒーター』と

『カートリッジヒーター』の

構造は同じなんですね。

カートリッジヒーターとシーズヒーター
  • 『カートリッジヒーター』とは、
    発熱線をパイプの中に挿入し、
    それらの隙間をMgOパウダーで
    封じ込めた、棒状ヒーターのこと。

  • 『シーズヒーター』とは、
    発熱線をパイプの中に挿入し、
    それらの隙間をMgOパウダーで
    固めた、直管状のヒーターのこと。

  • 端子もしくはリード線が
    片側から出ているものを
    『カートリッジヒーター』、
    両端から出ているものを
    『シーズヒーター』と呼ぶ。

 

カートリッジヒーターの構造

先ほど出ていた
発熱線・パイプ・
MgOパウダーって
なんですか?

『カートリッジヒーター』の

構造を教えて下さい。

分かりました。

『カートリッジヒーター』
は、大きく分けて

Point
  • 発熱線
  • 絶縁パウダー
  • 金属保護管(シース)
  • リード線

に分類されます。

 

カートリッジヒーターの基本構造
参考:株式会社 熱学技術

発熱線ってなんですか?

発熱線とは、発熱しやすい
導体のことで

Point
  • 金属発熱線
  • 非金属発熱線

の2つに分類されます。

 

金属発熱線について

もう少し詳しく
教えて下さい。

分かりました。

金属発熱線には、

Point
  • 鉄クロム
  • ニッケルクロム(ニクロム)
  • モリブデン
  • 白金
  • タングステン

などがあります。

 
 

『ニクロム線』って

よく聞きますね。

一般的に、

Point

『ニッケルクロム線』か『鉄クロム線』
が多く使用されています。

 

そうなんですね。

次は、
非金属発熱線ですが、

Point
  • 黒鉛
  • ジルコニア
  • 炭化珪素

などがあり、
金属発熱線が使用できない、
特殊用途で使用されています。

 

次は、『絶縁パウダー』
について教えて下さい。

『絶縁パウダー』には、

Point
  • 酸化マグネシウム(マグネシア)
  • 酸化アルミニウム(アルミナ)

などの粉末があります。
一般的に、入手しやすく、
比較的安価な『酸化マグネシウム』
が多く使用されています。

 
 

では次に、『金属保護管』
について教えて下さい。

『金属保護管』は、

Point

『シース』もしくは『シーズ』と
呼ばれている、発熱線を覆う
金属パイプのことを言います。

 

外側がシーズで
覆われているから
『シーズヒーター』
って言うんですね!

『金属保護管』には、

Point
  • ステンレス
  • ニッケル合金
  • チタン

などがあり、使用する環境によって
選定する必要があります。

 
 

最後は『リード線』ですが、

Point
  • ガラス編組被覆リード線
  • シリコーン被覆リード線
  • PTFE被覆リード線

などがあり、使用する環境によって
選定する必要があります。

 
 

『カートリッジヒーター』には

いろんな種類があるんですね。

カートリッジヒーターの構造
  • 『カートリッジヒーター』は、
    大きく分けて、発熱線・
    絶縁パウダー・金属保護管・
    リード線に分類される。

  • 発熱線とは、発熱しやすい
    導体のことで、金属発熱線・
    非金属発熱線に分類される。

  • 一般的に『ニッケルクロム線』
    か『鉄クロム線』が使用される。

  • 絶縁パウダーは、
    入手しやすく、比較的安価な
    『酸化マグネシウム』
    が多く使用されている。

  • 『金属保護管』とは、『シース』・
    『シーズ』と呼ばれている
    発熱線を覆う金属パイプのこと。

  • 『金属保護管』には、
    ステンレス・ニッケル合金・
    チタン・銅などがあり、
    使用する環境によって選定する。

  • 『リード線』にも
    ガラス編組被覆リード線・
    シリコーン被覆リード線・
    PTFE被覆リード線などがあり、
    使用する環境によって選定する。

 

酸化マグネシウム(マグネシア)とは?

『マグネシア』って

なんですか?

『マグネシア』は、

Point

電熱線に流れる電気を絶縁し、
熱を伝えるために使用する
白色の粉末のことです。

 

電気は流さずに
熱を伝える役割が

あるんですね。

この『マグネシア』の

粉末を発熱線と
金属保護管の隙間に
充填します。

『マグネシア』が無いと

どうなるんですか?

『マグネシア』が無いと

Point

発熱線と金属保護管が触れてしまい
漏電します。そのため、発熱線が
きちんと金属保護管の真ん中に
来るようにしないとダメなんです。

 

なるほど。

しかも『マグネシア』は、

Point

密度によって耐久性が変化するうえ、
吸湿しやすいので、水の分子が
付着すると、絶縁低下の原因に
なるので注意して下さい。

 

『マグネシア』は、

吸湿性も高いんですね。

酸化マグネシウム(マグネシア)とは?
  • 『マグネシア』は、
    電熱線に流れる電気を絶縁し、
    熱を伝えるために使用する
    白色の粉末のこと。

  • 『マグネシア』が無いと
    漏電するので、発熱線が
    金属保護管の真ん中に
    来るようにする。

  • 『マグネシア』は、密度によって
    耐久性が変化するうえ、
    吸湿しやすいので、水分子が
    付着すると絶縁低下の原因になる。

 

カートリッジヒーターの寿命

なぜ、3週間使っただけで
ダメになったんですか?

『カートリッジヒーター』の
寿命について教えて下さい。

『カートリッジヒーター』の

寿命は、

Point
  • 金属保護管の腐食
  • 発熱線の断線
  • 絶縁パウダーの絶縁不良

の3点だと言われています。

 

金属保護管が
腐食すると、
どうなるんですか?

金属保護管は、

Point

接液する液体の種類や
環境によって腐食します。
腐食が進行すると貫通して
使用不能になります。

 
耐食材料表
参考:日本ヒーター株式会社

だから、

使用環境に応じた

保護管を選定する
必要があるんですね。

では、
発熱線の断線についても

教えて下さい。

一般的な発熱線である

ニクロム線は、

Point

高温で長時間使用すると、
線径がだんだん細くなり
断線しやすくなります。

 
 

高温で長時間使用すると
線径が細くなって
いくんですね。

では、絶縁パウダーの

絶縁不良についても

教えて下さい。

分かりました。

『カートリッジヒーター』
を高温で長時間使用すると

Point

ニクロム線のクロムとマグネシアが
反応し、クロムが減少します。
その後、残ったニッケルと
マグネシアが反応して導電体
となり、絶縁不良になります。

 

これも高温で使用すると

発生する現象なんですね。

そうなんです。

そのため、
オーバーヒートする

『空焼き』は、絶対に
しないでください。

『空焼き』って
なんですか?

Point

『空焼き』とは、『空焚き』とも言い、
ヒーターの発熱部が、大気中に
露出した状態で加熱することです。

 

大気中で加熱するのは

なぜダメなんですか?

じつは、
空気って熱伝導が
とても悪いんです。

そのため、

Point

ヒーターを大気中で加熱すると、
ヒーターの熱が奪われずに空気層に
蓄熱してしまい、ヒーターの発熱温度
より高い温度になってしまいます。

 
ヒーターの空焼きとはなんですか
参考:日本ヒーター株式会社

空焼きすると

温度が上がり
すぎるんですね。

そうなんです。

Point

『空焼き』状態になると、
発熱線の断線や絶縁不良の原因に
なるだけでなく、火災の原因にも
なるので注意が必要です。

 
 

だから、『空焼き』は

絶対にダメなんですね。

カートリッジヒーターの寿命
    • 『カートリッジヒーター』
      の寿命は、金属保護管の腐食・
      発熱線の断線・絶縁パウダーの
      絶縁不良だと言われている。

    • 金属保護管は、接液する
      液体の種類や環境によって
      腐食します。腐食が進行すると
      貫通して使用不能になる。

    • ニクロム線は、高温で長時間
      使用すると、線径がだんだん
      細くなり断線しやすくなる。

    • 高温で長時間使用すると、
      ニッケルとマグネシアが
      反応して導電体となり、
      絶縁不良になる。

    • 『空焼き』は『空焚き』
      とも言い、ヒーターの
      発熱部が、大気中に露出した
      状態で加熱すること。

    • 大気中で加熱すると、
      ヒーターの発熱温度より
      高い温度になってしまう。

    • 『空焼き』状態になると、
      発熱線の断線や絶縁不良の
      原因だけでなく、
      火災の原因にもなる。

 

まとめ

カートリッジヒーターの寿命は、
使用温度・時間・環境によって
大きく左右されます。

そのため、カートリッジヒーターの
寿命が短くなる空焼きをしないように
取付穴の加工を正確に行うとか、
付着しているマシン油やグリスなどが
炭化しないように除去してあげる
必要があります。

また、絶縁材のマグネシアは、
吸湿しやすいので保管するときは
吸湿しないように保管して下さい。

ありがとうございました。