PTFEとPFAは何が違うの?フッ素樹脂とテフロンは何が違うの?

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素材

薬液タンクの
フッ素樹脂コーティング

に穴があきました。
直せますか?

外注になりますが、

一度お預かりして

剥離+再コーティング

が必要です。

穴の大きさは、
ほんのちょっとですけど

現場で直せませんか?

同じ能力を持たせようとすると

現場では、補修でません。

虫歯予防に使うものみたいに

現場で簡単にできませんか?

実は、

同じフッ素でも違うんです。

えっ!違うんですか?

常温で硬化するものもありますが、

用途が違います。

分かりました。

ところで、フッ素樹脂とテフロンの

違いは何ですか?

テフロンとフッ素樹脂に

違いはありません。

アメリカのデュポン社が
製品化したフッ素樹脂の
商品名がテフロンです。

そうなんですね。

再コーティングは、

一度社内で検討します。

という、やりとりがありました。

今回は、フッ素樹脂について
紹介していきたいと思います。

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フッ素樹脂とは

フッ素樹脂とは、

分子中にフッ素原子を含む

合成高分子のことを指し、

フッ素樹脂の種類
略号 名称 特徴
PTFE ポリテトラフル
オロエチレン
  • 一番使われるフッ素樹脂。
  • 溶解しないので、
    溶融成形や
    ピンホールレス
    コーティングが難しい。
PFA パーフル
オロアルコ
キシアルカン
  • PTFEと比べ、
    耐薬品性がやや劣る。
  • 溶融タイプで、溶融成形や
    ピンホールレス
    コーティングが可能。
FEP パーフル
オロエチレン
プロペンコ
ポリマ
  • PTFEと比べ、耐薬品と
    使用温度がやや劣る。
  • 高い非粘着性を持つ
  • 溶融タイプで、溶融成形や
    ピンホールレス
    コーティングが可能。
ETFE エチレン-
テトラフルオロ
エチレンコ
ポリマ
  • PTFEと比べ、
    使用温度が劣る。
  • 機械的強度にすぐれ、
    安価で透明性が高い。
  • 溶融タイプで、溶融成形や
    ピンホールレス
    コーティングが可能。
PCTFE ポリクロロ
トリフル
オロエチレン
  • PTFEに比べ、耐薬品性・
    耐熱性・電気絶縁性
    が劣る。
  • 透明性が高く、
    機械的強度に
    すぐれている。
ECTFE エチレン-
クロロトリフル
オロエチレン
コポリマ
  • 機械的強度に優れ、
    溶融タイプの樹脂。
  • あまり使用されていない。
PVDF ポリビニリデン
フルオライド
  • PTFEに比べ、耐薬品性・
    耐熱性・非粘着性
    が劣る。
  • 機械的特性・耐摩耗性・
    ガス透過性・耐放射線性
    に優れる。
PVF ポリビニル
フルオライド
  • 耐熱性・耐候性・染色性
    に優れている。
  • 蒸気透過性は低い。

の8種類があります。

虫歯予防に使われるフッ素との違い

虫歯予防に使われるフッ素は、

フッ素ナトリウムと言われる

無機フッ素化合物が使われます。

これとは別に、

フッ素と炭素を結合させた
有機フッ素化合物の一つが
フッ素樹脂です。

フッ素樹脂の特徴

フッ素樹脂の特徴は、

  • 高い耐熱性と耐寒性
  • 抜群の耐薬品性
  • 非粘着性
  • 滑り性
  • 自己消化性に優れた難燃性
  • 不変の耐候性
  • 高い絶縁性

といった、他の樹脂と比べて

ユニークな特性を持っています。

 

ただし、耐熱温度と熱変形温度は違うので

加工時の変形に注意して下さい。

フッ素樹脂コーティングとは

フッ素樹脂コーティングは、

鉄やアルミ・ステンレスといった金属や

ガラス・セラミックといった、

フッ素樹脂の焼成に耐えられる
材質の表面をフッ素樹脂の
薄い膜で覆うことで、
フッ素樹脂の持つユニークな特性を
付加させることを言います。

銅・銅合金の場合、
焼成時に酸化被膜を作るので
剥離しやすいという問題があります。
銅・銅合金にコーティングする場合は、
銅の表面にメッキを施すなど
剥離しにくくする処理を施す
必要があります。

フッ素樹脂コーティングの工程

一般的なフッ素コーティングは、

基材・母材と言われる

ロール・焼き型・タンクといった

コーティングされるものを引き取ります。

その後、

フッ素樹脂コーティング工程
1.脱脂・空焼き 高温で付着物や油分を
取り除く
2.下地処理 ブラスト処理等で
サビや汚れを除去する。
3.プライマー
(下塗り)処理
基材とフッ素樹脂の
接着をよくするために
プライマーを塗装します。
4.プライマーの焼成 プライマーの
焼き付け処理を
乾燥炉で行います。
5.トップコート
(上塗り)処理
スプレーガン・
静電塗装機などの機器を使い
コーティングします。
6.トップコートの焼成 フッ素樹脂を加熱し、
塗膜化させます。
7.検査 外観検査・膜厚検査など
必要に応じた検査をします。

という工程で、コーティングされます。

再コーティングの場合は、
熱分解やブラスト等での
除膜処理が必要になります。

現場補修できない理由

コーティングの工程で、

「焼成」

という工程がありましたが、

焼成工程は、水分やバインダーなど
余分な成分が除去されることで
原料の粒子同士が結合して収縮します。

その結果、隙間が減少し粒子間の

接触面積が増加することで、

製品の硬さや耐性といった

最適な特性を出すことが出来ます。

以上の理由から、焼成工程がないと、
性能を満足させることが出来ないので、
現場補修が出来ないんです。

フッ素樹脂を使った表面処理

フッ素樹脂を使った表面処理には

色々な種類があります。

フッ素を使った表面処理の種類
フッ素樹脂
ライニング
フッ素樹脂の厚い膜で
基材表面を覆うこと。
フッ素樹脂
コーティング
フッ素樹脂の薄い膜で
基材表面を覆うこと。
低温フッ素樹脂
コーティング
ゴムや樹脂など焼成温度に
耐えられない基材を、
常温もしくは低温で
フッ素樹脂コーティング
すること。
フッ素樹脂
熱収縮チューブ
フッ素樹脂製の
熱収縮チューブを
熱風で収縮させて
被膜を作る方法です。
フッ素樹脂
ファブリックシート
フッ素樹脂シートを
貼りつけます。
フッ素含浸無電解
ニッケル複合めっき
無電解ニッケルメッキの被膜に
フッ素樹脂の微粒子を
分散させためっきのこと。
 

など、様々なフッ素樹脂を使った

表面処理があります。

あなたの用途に合った施工方法を

試してみてください。

 

フッ素樹脂の注意点

PTFEやPFAを使って加工された

調理器具は、こびりつかず、

洗浄が簡単になることから

多く使われています。

 

また、調理器具から

剥がれ落ちたコーティング片を
飲み込んでも、体内に吸収されず、
そのまま体外に排出されることから
「ヒトに対する発がん性について
分類できない」

とされています。

加熱による有毒ガス

「ヒトに対する発がん性について

分類できない」

と説明したフッ素樹脂ですが、

フッ素樹脂製品を融点以上に

加熱した場合、有毒ガスが発生します。

有毒ガスを吸入した場合、
インフルエンザに似た発熱をおこす症状を
引き起こす場合があるので、
過剰な加熱・誤った加熱に
注意して下さい。

参考資料:食品安全委員会
-ファクトシート

まとめ

フッ素樹脂は、他の樹脂にはない

ユニークな特性を持っています。

 

そのため、過酷な環境や特殊な環境で

使用されることが多いです。

食品衛生法にも適合していることから
調理器具にも使用されていますが
過剰な加熱により有毒ガスが
発生するので取り扱いには
十分注意が必要です。

ありがとうございました。