不燃・準不燃・難燃・防炎カーテン?労基法と消防法・用途の違いとは

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規格

工場のカーテンが

ボロボロなので

交換したいです。

危険物を扱っている
工場なので、

『不燃』のカーテンで
いいですか?

確か、今ついている
カーテンにも
『不燃』のシールが

貼ってありました。

『不燃』のカーテンは、
かなり高価なので
一度、お見積りを
提出しますね。

分かりました。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、カーテンの
『不燃・難燃・防炎』
について、簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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建築基準法と消防法の違い

そもそも、『不燃』

『難燃』『防炎』って

なにが違うんですか?

私の分かる範囲での

説明になりますが

大丈夫ですか?

よろしくお願いします。

まず、

Point

『建築基準法』に基づいた
『防火材料』には、

  • 不燃材料
  • 準不燃材料
  • 難燃材料

があります。

 

構造方法等の認定に係る帳簿
参考:国土交通省-建築基準法に基づく
構造方法等の
認定に係る帳簿等

『建築基準法』って

なんですか?

『建築基準法』は、

Point

建築物の敷地・構造・設備・用途に
関する最低の基準を定めた法律で、
国民の生命・健康・財産の保護を
目的としています。

 

建築基準法
参考:建築基準法
(昭和二十五年法律第二百一号)

そして、
この『建築基準法』の中に

Point
  • 火煙の拡大防止
  • 避難路の確保
  • 避難完了までの倒壊防止

といった、防火や避難を目的とした
防火対策が多く定められています。

 

どのような防火対策
があるんですか?

代表的な防火対策に、
『内装制限』という

規定があり、

Point

建築物内部で火災が発生した際に、
避難を妨げることが無いよう、
建物の用途や規模に合わせて、
使用できる内装材が制限されます。

 

内装制限について
参考:一般社団法人日本壁装協会

内装材への着火を
遅らせて、避難時間を

確保するのが
目的なんですね。

『建築基準法』は、
『火災からの人命保護』
が目的なんですね。

そうですね。

あれ?

『建築基準法』の中に、
『防炎』がないですよ。

『防炎』ってなんですか?

『防炎』は、

Point

不燃と違い、『燃えにくい』ことを
意味しており、性能及び試験方法が
『消防法』で規定されています。

 

防炎とは
参考:東京消防庁

『消防法』と
『建築基準法』は
なにが違うんですか。

『消防法』は、

Point

出火予防や災害発見・通報・
初期段階の対応だけでなく、
消火や避難にも関する法律で、
国民の生命・健康・財産の
保護を目的としています。

 

消防法
参考:消防法
(昭和二十三年法律第百八十六号)

なるほど。

ちなみに、

Point

小さな炎のうちに消火することを
『初期消火』と言い、『初期消火』
が可能なのは、天井に火が回るまで
と言われてます。天井に火が
回ったら速やかに逃げて下さい。

 

2-3.消火器 消火器での初期消火
参考:総務省消防庁

『消防法』は、
火災の被害を
軽減させる法律で、

『建築基準法』は、
建築物の基準を定めた
法律のことなんですね。

建築基準法と消防法の違い
  • 『建築基準法』に基づいた
    『防火材料』には、不燃材料・
    準不燃材料・難燃材料がある。

  • 『建築基準法』は、建築物の
    最低の基準を定めた法律で、
    国民の生命・健康・財産の
    保護を目的としている。

  • 『建築基準法』は、建築物内部で
    火災が発生した際に、避難を
    妨げることが無いよう、
    使用できる内装材を制限している。

  • 『防炎』は、不燃と違い
    『燃えにくい』を意味しており、
    性能及び試験方法が『消防法』で
    規定されている。

  • 『消防法』は、出火予防や
    災害発見・通報・消火・避難に
    関する法律で、国民の生命・健康・
    財産の保護を目的としている。

  • 『初期消火』は、『天井に
    火が回るまで』と言われており、
    天井に火が回ったら速やかに
    逃げて下さい。
 

不燃と準不燃とは?

『不燃』と『準不燃』は

なにが違うんですか?

『不燃材料』は、

建築基準法で

九 不燃材料
建築材料のうち、不燃性能
(通常の火災時における火熱により
燃焼しないことその他の政令で
定める性能をいう。)
に関して政令で定める技術的基準に
適合するもので、国土交通大臣が
定めたもの又は国土交通大臣の
認定を受けたものをいう。
引用:建築基準法
(昭和二十五年法律第二百一号)

と定められています。

技術的基準って

なんですか?

『不燃材料』の
技術的基準は、

(不燃性能及びその技術的基準)
第百八条の二 
法第二条第九号の政令で定める性能
及びその技術的基準は、建築材料に、
通常の火災による火熱が加えられた
場合に、加熱開始後二十分間次の各号
(建築物の外部の仕上げに用いるもの
にあつては、第一号及び第二号)
に掲げる要件を満たしている
こととする。

一 燃焼しないものであること。
二 防火上有害な変形、溶融、
  き裂その他の損傷を
  生じないものであること。
三 避難上有害な煙又はガスを
  発生しないものであること。
引用:建築基準法施行令
(昭和二十五年政令第三百三十八号)

と定められています。

『不燃材料』とは、

加熱開始から20分間、

『燃焼しない』
『損傷を生じない』
『有害な煙又はガスを
発生しない』

という、3つの要件を
満たす材料のことを
言うんですね。

そうです。

では、
『準不燃材料』とは

どういうものですか?

『準不燃材料』は、

五 準不燃材料
建築材料のうち、通常の火災による
火熱が加えられた場合に、加熱開始後
十分間第百八条の二各号(建築物の
外部の仕上げに用いるものに
あつては、同条第一号及び第二号)
に掲げる要件を満たしている
ものとして、国土交通大臣が
定めたもの又は国土交通大臣の
認定を受けたものをいう。
引用:建築基準法施行令
(昭和二十五年政令第三百三十八号)

と定められています。

『準不燃材料』は、
加熱開始から10分間、
3つの要件を満たす
材料のことなんですね。

ただ、『不燃材料』と
言っても、耐える時間は、
20分間だけなんですね。

なにか問題ありますか?

短くないですか?

場所や道路状況
にもよりますが、

Point

消防車は、出動指令がでてから
約10分以内には到着すると
言われており、20分あれば避難や
消火活動を行うことができます。

 

なるほど。

20分って結構大事ですね。

ちなみに、
『不燃材料』や
『準不燃材料』には、
どんなものがありますか?

『不燃材料』には、

Point
  • コンクリート
  • レンガ
  • ガラス
  • アルミニウム
  • モルタル
  • ロックウール
  • グラスウール

などがあります。

 

不燃材料を定める件
参考:国土交通省

 

次に、
『準不燃材料』には、

Point
  • 厚さが九ミリメートル以上の
    せっこうボード
  • 厚さが十五ミリメートル以上の
    木毛セメント板
  • 厚さが九ミリメートル以上の
    硬質木片セメント板
  • 厚さが三十ミリメートル以上の
    木片セメント板
  • 厚さが六ミリメートル以上の
    パルプセメント板

などがあります。

 

準不燃材料を定める件
参考:国土交通省

ちなみに、

不燃カーテンは、

Point

基布にガラス繊維が使われており
燃え移ることを防いでくれます。

 

不燃カーテンに
デメリットは

あるんですか?

不燃カーテンの
デメリットは、

Point

価格が高く、折り曲げに弱いので、
曲げると、ガラス繊維が折れて
白化したり、裂けやすくなります。

 

不燃カーテンは、

曲げに弱いんですね。

不燃と準不燃とは?
  • 『不燃材料』とは、加熱開始から
    20分間、『燃焼しない』・
    『損傷を生じない』・『有害な煙
    又はガスを発生しない』という
    3つの要件を満たす材料のこと。

  • 『準不燃材料』とは、
    加熱開始から10分間、
    3つの要件を満たす材料のこと。

  • 消防車は、場所や道路状況にも
    よるが、出動指令がでてから
    約10分以内には到着すると
    言われている。

  • 『不燃材料』には、コンクリート・
    レンガ・ガラス・アルミニウム・
    モルタル・ロックウール・
    グラスウールなどがある。

  • 『準不燃材料』には、規定の
    厚さ以上のせっこうボードや
    木毛セメント板などがある。

  • 不燃カーテンは、基布に
    ガラス繊維が使われており
    燃え移ることを防いでくれる。

  • 不燃カーテンのデメリットは、
    価格が高いだけでなく、
    折り曲げるとガラス繊維が折れ、
    白化したり、裂けやすくなる。

 

難燃とは?

『難燃材料』について

教えて下さい。

『難燃材料』は、

建築基準法施工令で

六 難燃材料
建築材料のうち、通常の火災による
火熱が加えられた場合に、
加熱開始後五分間第百八条の二各号
(建築物の外部の仕上げに用いるもの
にあつては、同条第一号及び第二号)
に掲げる要件を満たしている
ものとして、国土交通大臣が
定めたもの又は国土交通大臣の
認定を受けたものをいう。
引用:建築基準法施行令
(昭和二十五年政令第三百三十八号)

と定められています。

『難燃材料』は、
加熱開始から5分間、
3つの要件を満たす
材料のことなんですね。

そうなんです。

『難燃材料』は、

Point
  • 難燃合板で厚さが
    五・五ミリメートル以上のもの
  • 厚さが七ミリメートル以上の
    せっこうボード
    (ボード用原紙の厚さが〇・五
    ミリメートル以下のものに限る。)
 

と定められています。

難燃材料を定める件
参考:国土交通省

『難燃材料』について

理解できましたが、

カーテンと『難燃』が

つながりません!

カーテンなどの
繊維製品に使用される

『難燃加工』は、

JIS規格で、

6032 難燃加工
繊維を着火又は
延焼しにくくする加工。
引火の危険性のある作業服、
カーテン、いす張り地、
老人介護衣料、寝具などに
施される。
引用:JIS L 0207
繊維用語(染色加工部門)

と定義されています。

着火・延焼しにくくする

加工とは、なんですか?

『難燃』について、

日本化学繊維協会では、

「難燃」は、原料である高分子
そのものを合成反応の段階から
燃えにくい性質にし、紡糸するもの。
引用:日本化学繊維協会

としています。

素材自体を燃えにくく
するんですね。

つまり、

Point

繊維製品で言われる『難燃』とは、
難燃性能をもつ化学繊維を使って
製造された、カーテンやじゅうたん
などの繊維製品を指しています。

 

なるほど。

難燃とは?
  • 『難燃材料』とは、加熱開始から
    5分間、3つの要件を満たす
    材料のこと。

  • 『難燃材料』には、厚さが
    5.5mm以上の難燃合板や
    厚さが7mm以上の
    せっこうボードなどがある。

  • 繊維製品に使用される
    『難燃加工』とは、JIS規格で
    『繊維を着火又は延焼しにくく
    する加工。』と定義されている。

  • 日本化学繊維協会では、
    原料である高分子そのものを
    合成反応の段階から燃えにくい
    性質にし、紡糸したものを
    『難燃』と呼んでいる。

  • 繊維製品で言われる『難燃』とは、
    難燃性能をもつ化学繊維を使って
    製造された、カーテンやじゅうたん
    などの繊維製品を指している。
 

防炎とは?

では、最後に
『防炎』について

教えて下さい。

『防炎品』とは、

Point

消防法の『防炎性能試験基準』に
定められた方法で、

  • 残炎時間
  • 残塵時間
  • 炭化長
  • 炭化面積

を測定し、
基準に適合した製品を指します。

 
防炎物品性能試験
参考:公益財団法人 日本防炎協会

防炎品には、

どんなものが
ありますか?

防炎品は、

Point
  • 防炎物品
  • 防炎製品

の2種類に分類されます。

 

何が違うんですか?

『防炎物品』とは、

Point

消防法に定められた
『防炎性能試験基準』を満たした
防炎品のことで、多数の人が
出入りする建築物などで使用される

  • カーテン
  • 布製ブラインド
  • 暗幕
  • じゅうたん
  • 展示用合板
  • 工場用シート

などは、『防炎物品』の使用が
義務づけられています。

 

防炎対象物品
参考:東京消防庁

また、消防法に基づく
『防炎物品』以外に、

Point

幼児、高齢者などが入所する
就寝施設及び住宅、共同住宅などで
使用する

  • 寝具類
  • 衣服類
  • 布張家具

などは、火災による死傷者を防ぐ
観点から、日本防炎協会が認定した
『防炎製品』が推奨されています。

 

防炎製品
参考:東京消防庁

消防法で定められている
防炎品が『防炎物品』で

消費者の立場にたって

防炎を考えた防炎品が

『防炎製品』なんですね。

そうなんです。

防炎品については

理解できましたが、

カーテンの『防炎』とは

どういうことですか?

繊維製品の防炎加工は、

JIS規格で

6040 防炎加工
繊維に炎が接したとき、
燃え広がるのを防ぐ加工。
繊維製品の種類、用途及び
使用場所によって消防法、
建築基準法などによる
難燃規制がある。
引用:JIS L 0207
繊維用語(染色加工部門)

と定義されています。

『難燃加工』となにが
違うんですか?

日本化学繊維協会では、

「防炎」は、それ自体燃えやすい
可燃性・易燃性の繊維製品に、
難燃剤を付着させる加工を
指す場合が多く、主に綿や
ポリエステルなどを織物にしてから
燃えにくくする場合に用いられます。
引用:日本化学繊維協会

と言われており

Point

繊維製品で言われる『防炎』とは、
綿、レーヨン、ポリエステル等の
可燃性繊維で織物を製造してから
防炎薬剤で防炎処理加工をしたもの
を指すことが多いです。

 

可燃性の繊維で
製品を作った後に
防炎処理加工を
行ったものが

『防炎』なんですね。

防炎とは?
  • 『防炎品』とは、消防法の
    『防炎性能試験基準』に
    適合した製品を指す。

  • 防炎品は、防炎物品・
    防炎製品の2種類に分類される。

  • 『防炎物品』とは、消防法に
    定められた『防炎性能試験基準』
    を満たした防炎品のことで、
    多数の人が出入りする
    建築物などでは、『防炎物品』
    の使用が義務づけられている。

  • 消防法に基づく『防炎物品』
    以外に、幼児、高齢者などが
    入所する就寝施設及び住宅、
    共同住宅などでは、火災予防の
    観点から、日本防炎協会認定の
    『防炎製品』を推奨している。

  • 繊維製品に使用される
    『防炎加工』とは、JIS規格で
    『繊維に炎が接したとき、
    燃え広がるのを防ぐ加工。』
    と定義されている。

  • 日本化学繊維協会で、『防炎』は、
    燃えやすい可燃性・易燃性の
    繊維製品に、防炎剤を付着させる
    加工を指す場合が多い。

 

まとめ

『不燃』や『難燃』を規定している
建築基準法は、火煙の拡大防止・
避難対策・建物の倒壊防止など
建築物の基準を定めた法律のことで、
『防炎』を規定している消防法は、
出火防止・早期発見・初期消火など
火災の被害を軽減させる法律です。

そのため、『不燃』カーテンに火を
近づけても、火煙の拡大を防ぐために、
焦げるだけですが、『防炎』カーテンに
火を近づけると、穴があいてしまいます。

どちらの性能を使用すればよいか
迷った場合には、所轄の消防署に
ご相談してみてください。

ありがとうございました。