実は知らない?アルミニウムとアルミニウム合金の違いや種類と特徴とは

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素材

硬質アルマイト処理を

依頼したんですが、
以前に作ったものと色が
違ったんです。

色だけならいいんですが

なんか、気になって。

どのアルミニウムで

処理したんですか?

会社にあったアルミで
処理をお願いしました。

もしかすると

アルミニウムの種類が

違うのかもしれません。

アルミに種類なんて

あるんですか?

A5052とか
聞いたことないですか?

確かに、聞いたこと
あるような気がします。

A5052は、アルミニウムで

一番流通している素材です。

他にも、A1050・A2017・
A6061など様々な種類が
あります。

へー。

どんな違いがあるんですか?

 

A1000番台は、
アルミニウムの純度が
99%以上のものを指し、

純アルミニウムと
呼ばれています。

1円玉にも使われている

素材です。

1円玉は、純アルミ
なんですね。

それ以外の番手は、

アルミニウム合金です。

アルミニウム合金
って何ですか?

アルミニウム合金は、

アルミニウムに
他の金属を添加して
改善させたものです。

アルミって

知ってるようで

知らないもんですね。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、簡単に分かりやすく
アルミニウムとアルミニウム合金を、
紹介していきたいと思います。

 
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アルミニウムって何ですか?

アルミニウムって
何だと思いますか?

突然聞かれても、

『軽い金属』という以外は、
すぐには思いつかないです。

アルミって、一体何ですか?

一般的に

Point

アルミと呼ばれているものは、
『アルミニウム及び
アルミニウム合金』

 

のことを言います。

アルミニウムと

アルミニウム合金が
あるんですね。

しかも、

Point

地球の地面の下にある
金属元素の中で、
最も多いのが アルミニウム

 

って知ってましたか?

えっ?鉄よりも多く
存在してるんですか!

鉄は、アルミニウムの
次に多い金属元素です。

意外でした。
アルミニウムって
豊富にあるんですね。

アルミニウムは、どのように
作られるんですか?

アルミニウムの原料って
知ってますか?

小学校で習ったような

気がします。

アルミニウムの原料は、

『ボーキサイト』
と呼ばれる鉱石です。

Point

このボーキサイトから
まず、アルミナを抽出します。
その後、アルミナを電気分解して
アルミニウムと酸素に分解します。

 

アルミナを電気分解すると
アルミニウム取れるんですね。

そうなんです。

あれ?

アルミナってセラミック
じゃなかったでしたっけ?

そうです。

Point

アルミナは通称で、正式名称は、
『酸化アルミニウム』と言い
ルビーやサファイヤと同じ主成分

 

なんです。

アルミナとアルミニウムは、

全く違う性質なんですね。

アルミニウムは、
金属ですが

アルミナは、
金属ではありません。

へー。

おもしろいですね。

アルミニウムって何ですか?
  • 一般的にアルミとは、
    『アルミニウム及び
    アルミニウム合金』
    の事を指す。

  • アルミニウムは、
    地球の地殻を構成する
    金属元素の中で最も多い。

  • アルミニウムの原料は、
    『ボーキサイト』
    と呼ばれる鉱石。

  • ボーキサイトから、
    アルミナを抽出し、
    アルミナを電気分解して
    アルミニウムと酸素に
    分解する。

 

純アルミニウムとアルミニウム合金の違い

先ほど『アルミニウム及び
アルミニウム合金』
と言ってましたが

違いは何ですか?

ボーキサイトから取り出された

純度の高いアルミニウムを

純アルミニウムと言います。

アルミ100%ですか?

どうしても製造の段階で
不純物が混ざるので

100%にはなりません。

Point

99%以上がアルミニウムで
構成されたものが、純アルミニウム

 

と呼ばれています。

純アルミニウムは、
99%以上がアルミ成分
なんですね。

そうです。

ただ、純アルミニウムは、

柔らかく傷つきやすい
という欠点があります。

強度が必要なところには
使えないですね。

そうです。
純アルミニウムは、
構造材など、強度が必要な
場所には使用できません。

そこで、

Point

マンガンや銅・ケイ素・ ニッケル
といった元素を添加して性質を
改善させたものを
アルミニウム合金と呼んでいます。

 

なるほど。

だから、アルミニウムと

アルミニウム合金が

あるんですね。

先ほど言われたA5052は、
どんなアルミニウム合金
なんですか?

A5052は、アルミニウムに
マグネシウムを加えて

耐食性と強度を
アップさせた素材です。

他には、どんな種類の

素材があるんですか?

JIS規格で
アルミニウム合金の種類
の表示方法が決まっている
ので表にしてみました。

アルミニウム及びアルミニウム合金の種類

番手

  • 代表材
添加元素 特徴

1000番手

  • A1100
  • A1050
  • A1070

純アルミ
ニウム
(Al)

  • Al純度が、
    99%以上の素材。

2000番手

  • A2017
  • A2024

アルミ
ニウム
(Al)
+
銅(Cu)

  • AlにCuを添加した
    熱処理合金。
  • 軟鋼程度の強度を
    持つ合金。
  • ジュラルミン・
    超ジュラルミンは、
    この番手の合金。

3000番手

  • A3003
  • A3004

アルミ
ニウム
(Al)
+
マンガン
(Mn)

  • AlにMnを
    添加した合金。
  • 純Alと同等の溶接性・
    耐食性・加工性
    を持ち、純Alより、
    若干強度が高い。
  • アルミ缶の材料に
    多く使用される。

4000番手

  • A4032

アルミ
ニウム
(Al)
+
シリコン
(Si)

  • AlにSiを
    添加した合金。
  • 鋳造性・溶接性がよく
    鋳物用合金・
    溶接棒などに
    使用される。

5000番手

  • A5052
  • A5056
  • A5083

アルミ
ニウム
(Al)
+
マグネ
シウム
(Mg)

  • AlにMgを
    添加した合金。
  • 強度・耐食性が高い
    非熱処理合金。
  • A5052は、市場で
    一番流通している。

6000番手

  • A6061
  • A6063

アルミ
ニウム
(Al)
+
マグネ
シウム
(Mg)
+
シリコン
(Si)

  • AlにMgとSiを
    添加した合金。
  • 強度・加工性・耐食性
    がよい熱処理合金。
  • 押出用材の
    ほとんどは、
    6063が使用される。

7000番手

  • A7075

アルミ
ニウム
(Al)
+
亜鉛(Zn)
+
マグネ
シウム
(Mg)

  • AlにZnとMgを
    添加した合金。
  • 熱処理で強度をあげる
    熱処理合金。
  • A7075は、
    超々ジュラルミン
    とも呼ばれ、
    アルミ合金中
    最高の硬度を持つ。

こんなに、たくさん
種類があったんですね。

さらに、

Point

熱処理や表面処理によって
強度や耐食性を向上させる
ことが出来ます。

 
純アルミニウムと合金の違い
  • 純アルミニウムとは、
    成分の99%以上が
    アルミニウムで構成されたもの。

  • アルミニウム合金とは、
    合金元素を添加して
    性質を改善させたもの。

  • JIS規格でアルミニウム合金の
    種類の表示方法が決まっている。

  • アルミニウムは、熱処理や
    表面処理によって強度や耐食性を
    向上させることが出来る。

 

アルミニウムの特徴

『アルミは軽い。』以外に

どんな特徴がありますか?

アルミニウムには、

Point
  • 軽い
  • 耐食性に優れる
  • 熱伝導率が良い
  • 電気伝導率が良い
  • 加工性が良い
  • 非磁性体
  • 毒性がない
  • 光や熱の反射性が良い
  • 低温に強い
  • リサイクル可能
 

といった特徴があります。

アルミが軽いのは
知っています。

鉄や銅に比べて
どのくらい軽いか
知っていますか?

半分くらいですか?

違います。

Point

アルミニウムの比重は、2.71で
鉄の7.87や銅の8.93と比べて
約1/3です。

 

1/3ですか・・・。

軽いですね。

その軽さを活かして、

自動車・鉄道・航空機・
船舶など、様々な分野で
使用されています。

他にも、耐食性がよく

赤さびが出ません。

なぜですか?

アルミニウムは、

Point

空気中で自然に酸化被膜を
生成するので、鉄のような
赤サビが発生することは
ありません。

 

確かに、さびた1円玉を
見たことはないです。

他にも熱伝導率や
電気伝導率も良いです。

Point

熱伝導率は、鉄の3倍、
電気伝導率は、銅の約60%ですが
比重が約1/3なので、同じ重さで
あれば銅の2倍電流を流せます。

 

考えてみると、アルミって
『加工しやすい』し『非磁性』

の材質ですね。

毒性がないって何ですか?

アルミニウムは、

Point

重金属のように人体や環境を
害することがありません。

 

そういわれてみると、

食品や医薬品の包装材に

アルミが使われてますね。

アルミの飲料缶なんて

毎日のように見ます。

飲みすぎには
注意して下さいね。

純度の高いアルミニウムは、

熱や光を反射するので

暖房器具や照明器具の
反射板にも使われています。

あれって、
アルミなんですか!

しかも、

Point

ガンマ線やX線などの有害電磁波から
人体を守ってくれるので宇宙服にも
使われています。

 

『低温に強い』
って何ですか?

アルミニウムは、

-200℃にも
耐えれる素材です。

それだけで強いって
言うんですか?

一般的な鉄鋼は、
温度が下がると脆く
なってしまいます。

しかし、

Point

アルミニウムは、低温になるほど
強度がアップします。

 

それは、低温に強い
と言えますね。。

そういえば、
アルミはリサイクルが簡単

だと聞いたことがあります。

そう言われていますが、

実は、課題もあるんです。

どんな課題なんですか?

長くなるので

次章で説明します。

アルミニウムの特徴
  • アルミニウムの比重は、
    鉄や銅と比べて約1/3。

  • アルミニウムは、空気中で自然に
    酸化被膜を生成するので
    赤さびが発生しない。

  • アルミニウムの熱伝導率は、
    鉄の3倍。

  • 電気伝導率は、同じ重さであれば
    銅の2倍電流を流せる。

  • アルミニウムは、重金属のように
    人体や環境を害することがない。

  • アルミニウムは、有害電磁波から
    人体を守ってくれるので
    宇宙服にも使われている。

  • アルミニウムは、低温になるほど
    強度がアップする。

 
 

アルミニウムのリサイクルと課題

アルミは、リサイクルが
簡単ではないんですか?

一般的に

Point

アルミニウムのリサイクルは、
ボーキサイトから生成する
エネルギーの3%で
リサイクルすることが可能

 

と言われています。

3%のエネルギーで
リサイクルが
できるんですか?

確かに、再生エネルギーは

他の金属と比べても最小です。

じゃあ、すごく優秀な

金属じゃないですか。

とはいえ、アルミニウムの
リサイクルにも多くの課題が
あります。

どんな課題が
あるんですか?

アルミニウムの
再溶解にかかるエネルギーは
少ないですが、

Point

不要になったアルミニウムを回収し、
アルミニウムを再び取り出す
エネルギーは含まれていない

 

ということです。

どういうことですか?

いったん市場に出てしまった

アルミニウムを回収し

選別・分別を行っても

必ず異物混入してしまいます。

確かにそうですね。

例えば、

Point

建築材には、コンクリートや金具
飲料缶には、塗料やコーティング剤
といった異物が混入しやすい

 

などです。

異物が混ざると
どうなるんですか?

再生品の性能を
下げてしまいます。

様々な異物を除去するために

様々な方法が必要になる
ということですね。

そうです。

様々な除去方法が必要に

なります。

純アルミを取り出す
ということは、合金元素も
異物になるんですか?

合金元素でもマグネシウム・
シリコン・銅・亜鉛などは、
まだ扱いやすいようですが、

Point

特殊や少量の合金元素だと
除去が難しい

 

ようです。

このように、
除去エネルギーには
多くのコストがかかります。

そうなると、リサイクル品は

『少し品質が劣るか、
製品コストが上がる。』
になってしまいますね。

そうです。

じゃあ、リサイクル品を

誰も使わないですね?

だから、

Point

リサイクル品を優先して利用する
『グリーン調達』や『エコマーク』
等が規定されています。

 

『グリーン調達』って
そういうことだったんですね。

アルミニウムのリサイクルと課題
  • アルミニウムは、
    ボーキサイトから
    生成するエネルギーの
    3%でリサイクルが可能。

  • 回収したアルミニウムから異物を
    除去するエネルギーは
    含まれていない。

  • 異物が混入した状態で
    リサイクルすると
    再生品の性能が下がる。

  • 特殊なアルミニウムだと、
    特に異物の除去が難しい。

  • リサイクル品を優先して利用する
    『グリーン調達』等が
    規定されている。

 

まとめ

アルミニウムは、
アルミ缶やアルミ箔といった日用品から
工業材料など幅広い用途で使用され
ている資源に恵まれた金属です。

今後も様々な合金元素を添加した
アルミニウム合金が増えていく
と思われます。

鉄よりも軽く・サビにくい・
加工しやすいといった特徴だけでなく、
電気伝導率や熱伝導率が良いといった
様々な特徴のあるアルミニウムを
利用するための参考にしていただければ
うれしいです。

ありがとうございました。