
同じ図面で作ったのに、
「このゴム、なんか硬くない?」
と言われたんです。

感覚じゃなくて数字で
証明したいんですが、
何を使えばいいですか?

それなら、
「デュロメータ」ですね。

でも、タイプAとかDとか
タイプを間違えると、
数字の意味が全く変わって
しまうのでご注意ください。
💡 機種選定のクイック基準
- 🔹 一般ゴム(タイヤ・ホース他)
- 🔹 皮革・軟質塩ビ・テフロン
- 目安:消しゴム 〜 野球の軟球
- 🔸 樹脂・ナイロン・ポリエステル
- 🔸 ABS・硬質プラスチック・木材
- 目安:ゴルフボール 〜 プラスチック板
「硬さの違和感」を
「絶対的な数値」へ。
ゴムの劣化や品質管理において、
感覚は当てになりません。
避けては通れない「機種選定」の
落とし穴と、現場で恥をかかない
「正しい測定の極意」を解説します。
基本はAとDで完結しますが、
「タイプE(超軟質ゴム・スポンジ用)」
といった種類が必要なケースも。
これらについては、記事の後半で
詳しく深掘りしていきます。
デュロメータとは?|ゴムの硬さを「数値化」する仕組み

そもそも、
「デュロメータ」
ってなんですか?
日常生活では、
まず目にすることはありませんよね。
しかし、現場で
「ゴムロールの劣化具合を数値化したい」
といった場面では、
これ以上ないほど頼りになる相棒です。

(※AIで作成したイメージ図です)
ゴムやプラスチックの「硬い」
「柔らかい」という感覚的な違いを、
押針(圧子)の反発力を利用して
数値化する計器のことです。
(ゴムの硬さ試験方法)
用語の意味
(1) デュロメータ硬さ:
圧子を用いて、くぼみ深さに対応して
変化する試験荷重を試料に負荷し、
生じた「くぼみ深さ 」から求めた値。
(2) デュロメータ:
デュロメータ硬さを測定する試験機。
※規格の内容を分かりやすくするため、
一部表現を整理しています。
ISOやJIS規格では「タイプAデュロメータ」
と表記されますが、考案したShore社の
名前から「ショア硬度計」
と一般的に呼ばれています。
「ショア硬度」という言葉は、
金属の硬さを測る「反発式(跳ね返り)」
の試験機でも使われますが、
ゴム用のデュロメータとは全く別物
ですので、
混同しないように注意してください。
【JIS規格】デュロメータのタイプ選定基準|迷ったら「タイプA」な理由

種類が多すぎて、
結局どれを買えばいいのか
迷っちゃいますね……。
現場のゴム製品
(タイヤ、パッキン、ロールなど)
を測るなら、基準は一つです。
まずは、もっとも汎用的な
このタイプを押さえましょう。
一般ゴム用の測定には、
JIS K 6253準拠の「タイプA」
を選んでおけば、
まず間違いありません。
⚠️ 「タイプA」で測定できない境界線
ただし、タイプA万能説には
「数値の限界」があります。
以下の数値が出た場合は、
測定器の切り替えが必要です。
| タイプAの 測定値 |
推奨される タイプ |
対象のイメージ |
|---|---|---|
| 90以上 | タイプD | 高硬度ゴム・プラスチック |
| 20以下 | タイプE | 低硬度ゴム・スポンジ |
(ゴムの硬さ試験方法)
4.2 デュロメータのタイプ及び選択
- タイプDで硬さが20未満の
値を示す場合は、タイプAを用いる。 - タイプAで硬さが20未満の
値を示す場合は、タイプEを用いる。 - タイプAで硬さが90を超える
値を示す場合は、タイプDを用いる。 - 薄い試験片(厚さ6.0 mm未満)
の場合は、タイプAMを用いる。
※規格の内容を分かりやすくするため、
一部表現を整理しています。
※タイプEは、ISO 7619-1で
Type AOと定義されています。
【ここがプロの視点!】
各タイプは「スプリングの強さ」や
「圧子の形状」が根本的に異なります。
そのため、タイプ間での「数値の換算
(Aの90はDだと何点か?)」は不可能
とされています。規格でも相関関係の
立証はできないと明記されています。
硬さの数値を記録・比較する際は、
「70度」ではなく「A70」のように、
必ず「どのタイプで測ったか」を
セットで明記しましょう。
「数値だけ」を見て判断するのは、
現場トラブルの元。
相手の図面やカタログに書かれた
「アルファベット」まで
見逃さないようにしましょう!
【早見表】タイプ別の選定基準と「アスカーC」の注意点
デュロメータには多くのタイプが
存在しますが、対象物の「硬さ」に
合わせて適切な機種を選定することが、
精度の高い測定の第一歩です。
タイプ別・選定の具体例
※スマホの方は横にスクロールして確認できます
| 硬さ | タイプ | 具体的な対象物・条件 |
|---|---|---|
| 硬 ↑ ↓ 軟 |
タイプD | 高硬度ゴム、硬質プラスチック、樹脂、エボナイト ※タイプAで「90超え」の時 |
| タイプA | 一般ゴム全般(タイヤ、ホース、ゴムロール他) ※タイプDで「20未満」の時 |
|
| タイプAM | 薄い試験片(厚さ6.0mm未満) ※小型の圧子と専用スタンドを用いた測定 |
|
| タイプE | 低硬度ゴム、消しゴム、軟質プラスチック、スポンジ ※タイプAで「20未満」の時/ISOではType AO |
※JIS規格の推奨区分に基づいた分類です
JIS規格の「タイプE」は、
現場で広く普及している
高分子計器社製「アスカーC」と
ほぼ同様の測定値になります。
かつてのJIS C型(廃止)とは圧子形状が
異なるため、古い図面で「タイプC」と
指定がある場合は、この
「タイプE(アスカーC相当)」を
指していることがほとんどです。
【身近な例】タイプA硬さの目安
「数値だけ見てもイメージが湧かない」
という時の参考にしてください。
| 硬さ (タイプA) |
身近なものの目安 |
|---|---|
| A90 ~ 95 | ゴルフボール 野球の硬球 (ほぼカチカチ) |
| A70 ~ 80 | 野球の軟球 マウスのボール |
| A60 ~ 70 | 自動車のタイヤ |
| A30 ~ 40 | 一般的な消しゴム (指で強く押すと凹む) |
| A15 ~ 20 | 軟質ゴム・低硬度ゲル (※これ以下はタイプEを推奨) |
正しい測定方法と注意点|数値誤差を招く「7つの要因」
ゴムの硬さ試験において、
「測定器や担当者が変わると、
結果が食い違ってしまう」
という現場の悩みは
非常に多いものです。
デュロメータは手軽に測れる反面、
実は多くの外的要因に左右されます。
信頼性の高いデータを残すための、
「測定誤差を招く7つのチェックリスト」
を整理しました。
- 1 環境条件: 温度・湿度の変化
(JIS:23±2℃) - 2 加圧面: 硬さ計の加圧面に
摩耗や汚れがないか - 3 試験片: 表面に反り・凹凸・
異物がないか - 4 速度: 押し当てる速度は一定か
(早いと高くなる) - 5 読取: 密着後、直後か、
あるいは3秒後か - 6 位置: エッジから12mm以上
離れているか - 7 厚み: 6.0mm以上の厚みがあるか
(薄いと硬くなる)
測定値のバラつきに悩んだら、
まずは上の7点を見直してみてください。
特に「人による速度の差」が大きい場合は、
定圧荷重器(スタンド)の導入が効果的です。
まとめ|正しい知識で「信頼性の高いデータ」を現場へ
デュロメータの数値には、
押針形状・バネの力・測定者の手加減
といった繊細なバランスが反映されます。
- 迷ったら「タイプA」:
20以下・90以上なら他のタイプを検討。 - タイプE ≒ アスカーC:
軟らかいスポンジ等に最適。
現場の共通言語です。 - 7要素の徹底:
バラつきの原因は測定環境や速度。
基本が精度を決めます。 - 最新カタログも確認:
確実な選定にはJIS規格や
メーカー情報の参照を。
感覚頼みではなく、
材料に合った正しい選択を。
その「正しい判断」が、製品の
品質向上と現場の安心に直結します。
ブレないモノづくりを。

硬度計の押し当て方ひとつで
測定値がブレてしまうように、
組織もリーダーの選択が
間違ったまま進むと、
取り返しがつかなくなります。
規格どおりの測定器と違い、
正解のない『人の心』という
難解な再生に挑んだ記録。
ぜひ覗いてみてください。
📖 【第1話】密室の甘い毒
ありがとうございました。