デュロメータの選び方と測定の極意|迷ったら「タイプA」でOKな理由と7つの注意点

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島津製作所(Shimadzu)製の歴史的な標準ゴム硬さ計(デュロメータ)の目盛り部分のクローズアップ画像
モノづくりを支えるのは「正確な数値」です。
ゆういち

同じ図面で作ったのに、
「このゴム、なんか硬くない?」
と言われたんです。

感覚じゃなくて数字で
証明したいんですが、
何を使えばいいですか?

上司

それなら、
「デュロメータ」ですね。

でも、タイプAとかDとか
タイプを間違えると、
数字の意味が全く変わって
しまうのでご注意ください。

💡 機種選定のクイック基準

タイプA:軟らかい素材向け
  • 🔹 一般ゴム(タイヤ・ホース他)
  • 🔹 皮革・軟質塩ビ・テフロン
  • 目安:消しゴム 〜 野球の軟球
タイプD:硬い素材向け
  • 🔸 樹脂・ナイロン・ポリエステル
  • 🔸 ABS・硬質プラスチック・木材
  • 目安:ゴルフボール 〜 プラスチック板
🔍 今回のテーマ

「硬さの違和感」を
「絶対的な数値」へ。

ゴムの劣化や品質管理において、
感覚は当てになりません。

避けては通れない「機種選定」の
落とし穴と、現場で恥をかかない
「正しい測定の極意」を解説します。

⚠️

【現場の補足:A・D以外の選択肢】
基本はAとDで完結しますが、
「タイプE(超軟質ゴム・スポンジ用)
といった種類が必要なケースも。
これらについては、記事の後半で
詳しく深掘りしていきます。
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デュロメータとは?|ゴムの硬さを「数値化」する仕組み

ゆういち

そもそも、
「デュロメータ」
ってなんですか?

日常生活では、
まず目にすることはありませんよね。
しかし、現場で
「ゴムロールの劣化具合を数値化したい」
といった場面では、
これ以上ないほど頼りになる相棒です。

デュロメータ硬度計の断面図。規格で定められたスプリングの押し出す力と、試料(ゴム)からの反発力を、押針(圧子)が受け止める測定メカニズムの図解。

(※AIで作成したイメージ図です)

デュロメータとは

ゴムやプラスチックの「硬い」
「柔らかい」という感覚的な違いを、
押針(圧子)の反発力を利用して
数値化
する計器のことです。

引用・参照 JIS K 6253-3
(ゴムの硬さ試験方法)

用語の意味

(1) デュロメータ硬さ:
圧子を用いて、くぼみ深さに対応して
変化する試験荷重を試料に負荷し、
生じた「くぼみ深さ 」から求めた値。

(2) デュロメータ:
デュロメータ硬さを測定する試験機。

※規格の内容を分かりやすくするため、
一部表現を整理しています。

ISOやJIS規格では「タイプAデュロメータ」
と表記されますが、考案したShore社の
名前から「ショア硬度計」
と一般的に呼ばれています。

⚠️ 混同注意!

「ショア硬度」という言葉は、
金属の硬さを測る「反発式(跳ね返り)」
の試験機でも使われますが、
ゴム用のデュロメータとは全く別物
ですので、
混同しないように注意してください。

【JIS規格】デュロメータのタイプ選定基準|迷ったら「タイプA」な理由

ゆういち

種類が多すぎて、
結局どれを買えばいいのか
迷っちゃいますね……。

現場のゴム製品
(タイヤ、パッキン、ロールなど)
を測るなら、基準は一つです。
まずは、もっとも汎用的な
このタイプを押さえましょう。

迷ったらこれ!

一般ゴム用の測定には、
JIS K 6253準拠の「タイプA」
を選んでおけば、
まず間違いありません。

⚠️ 「タイプA」で測定できない境界線

ただし、タイプA万能説には
「数値の限界」があります。
以下の数値が出た場合は、
測定器の切り替えが必要です。

タイプAの
測定値
推奨される
タイプ
対象のイメージ
90以上 タイプD 高硬度ゴム・プラスチック
20以下 タイプE 低硬度ゴム・スポンジ
引用・参照 JIS K 6253-3
(ゴムの硬さ試験方法)

4.2 デュロメータのタイプ及び選択

  • タイプDで硬さが20未満の
    値を示す場合は、タイプAを用いる。
  • タイプAで硬さが20未満の
    値を示す場合は、タイプEを用いる。
  • タイプAで硬さが90を超える
    値を示す場合は、タイプDを用いる。
  • 薄い試験片(厚さ6.0 mm未満)
    の場合は、タイプAMを用いる。

※規格の内容を分かりやすくするため、
 一部表現を整理しています。
※タイプEは、ISO 7619-1で
 Type AOと定義されています。

【ここがプロの視点!】
各タイプは「スプリングの強さ」や
「圧子の形状」が根本的に異なります。
そのため、タイプ間での「数値の換算
(Aの90はDだと何点か?)」は不可能
とされています。規格でも相関関係の
立証はできないと明記されています。

鉄則

硬さの数値を記録・比較する際は、
「70度」ではなく「A70」のように、
必ず「どのタイプで測ったか」
セットで明記しましょう。

「数値だけ」を見て判断するのは、
現場トラブルの元。
相手の図面やカタログに書かれた
「アルファベット」まで
見逃さないようにしましょう!

【早見表】タイプ別の選定基準と「アスカーC」の注意点

デュロメータには多くのタイプが
存在しますが、対象物の「硬さ」に
合わせて適切な機種を選定することが、
精度の高い測定の第一歩です。

タイプ別・選定の具体例

※スマホの方は横にスクロールして確認できます

硬さ タイプ 具体的な対象物・条件



タイプD 高硬度ゴム、硬質プラスチック、樹脂、エボナイト
※タイプAで「90超え」の時
タイプA 一般ゴム全般(タイヤ、ホース、ゴムロール他)
※タイプDで「20未満」の時
タイプAM 薄い試験片(厚さ6.0mm未満)
※小型の圧子と専用スタンドを用いた測定
タイプE 低硬度ゴム、消しゴム、軟質プラスチック、スポンジ
※タイプAで「20未満」の時/ISOではType AO

※JIS規格の推奨区分に基づいた分類です

💡 現場の重要チェックポイント

JIS規格の「タイプE」は、
現場で広く普及している
高分子計器社製「アスカーC」と
ほぼ同様の測定値
になります。

かつてのJIS C型(廃止)とは圧子形状が
異なるため、古い図面で「タイプC」と
指定がある場合は、この
「タイプE(アスカーC相当)」
指していることがほとんどです。

【身近な例】タイプA硬さの目安

「数値だけ見てもイメージが湧かない」
という時の参考にしてください。

硬さ
(タイプA)
身近なものの目安
A90 ~ 95 ゴルフボール
野球の硬球 (ほぼカチカチ)
A70 ~ 80 野球の軟球
マウスのボール
A60 ~ 70 自動車のタイヤ
A30 ~ 40 一般的な消しゴム
(指で強く押すと凹む)
A15 ~ 20 軟質ゴム・低硬度ゲル
(※これ以下はタイプEを推奨)

正しい測定方法と注意点|数値誤差を招く「7つの要因」

ゴムの硬さ試験において、
「測定器や担当者が変わると、
結果が食い違ってしまう」

という現場の悩みは
非常に多いものです。

デュロメータは手軽に測れる反面、
実は多くの外的要因に左右されます。
信頼性の高いデータを残すための、
「測定誤差を招く7つのチェックリスト」
を整理しました。

硬さ測定の精度を左右する7要素
  • 1 環境条件: 温度・湿度の変化
    (JIS:23±2℃)
  • 2 加圧面: 硬さ計の加圧面に
    摩耗や汚れがないか
  • 3 試験片: 表面に反り・凹凸・
    異物がないか
  • 4 速度: 押し当てる速度は一定か
    (早いと高くなる)
  • 5 読取: 密着後、直後か、
    あるいは3秒後か
  • 6 位置: エッジから12mm以上
    離れているか
  • 7 厚み: 6.0mm以上の厚みがあるか
    (薄いと硬くなる)

測定値のバラつきに悩んだら、
まずは上の7点を見直してみてください。
特に「人による速度の差」が大きい場合は、
定圧荷重器(スタンド)の導入が効果的です。

まとめ|正しい知識で「信頼性の高いデータ」を現場へ

Summary

デュロメータの数値には、
押針形状・バネの力・測定者の手加減
といった繊細なバランスが反映されます。

  • 迷ったら「タイプA」:
    20以下・90以上なら他のタイプを検討。
  • タイプE ≒ アスカーC:
    軟らかいスポンジ等に最適。
    現場の共通言語です。
  • 7要素の徹底:
    バラつきの原因は測定環境や速度。
    基本が精度を決めます。
  • 最新カタログも確認:
    確実な選定にはJIS規格や
    メーカー情報の参照を。

感覚頼みではなく、
材料に合った正しい選択を。
その「正しい判断」が、製品の
品質向上と現場の安心に直結します。

確かな測定技術で、
ブレないモノづくりを。

you1

硬度計の押し当て方ひとつで
測定値がブレてしまうように、
組織もリーダーの選択が
間違ったまま進むと、
取り返しがつかなくなります。

 

規格どおりの測定器と違い、
正解のない『人の心』という
難解な再生に挑んだ記録。
ぜひ覗いてみてください。
📖 【第1話】密室の甘い毒

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。