「努力目標」が組織を殺す。営業崩壊の「3つの病理」と、無責任な社長の結末

「努力目標」が組織を殺す。社長と課長の対立、営業部崩壊の3つの病理と実録組織解体ショー第2話

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CHECK この記事でわかること ▼ 開く
  • 経営陣による「突然の呼び出し」:
    創業50年を控えた社長が、
    なぜ今「事業承継」の相談を
    部下に持ちかけたのか。
  • 無責任な「大人の約束」の危うさ:
    具体策なきまま進められる
    世代交代の裏で、現場の管理職が
    背負わされる理不尽な重圧。
  • 「営業部長就任」という毒入り条件:
    社長の無責任な確信と、現場が
    直面する「関わりたくない人間」
    との板挟み。
  • 理不尽な要求への「前向きな決断」:
    なぜ主人公は、不穏な空気を
    察しながらも「考えてみます。」
    と答えてしまったのか。
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■前回のあらすじ

『名前のない内定と、動き出した歯車』

先日の食事会で聞かされたのは、
この会社の未来を左右する密約だった。

営業畑一筋の社長が、息子の副社長へ
椅子を譲る事業承継の話。
だが、製造畑出身の副社長は、
社長を引き受ける条件として
驚くべき要求を突きつけた。

それは、「私の営業部長就任」だった。

そして、今日その回答をするべく、
私は社長室に呼ばれた。

■第2話:組織の機能不全と不穏な同意

社長室の重厚な空気の中、私は山田社長、
そして森田相談役と対峙していた。

山田社長

……さて、先日の話だが。
来期の営業部長になってくれるのか
君の正式な返答を聞かせてほしい。

ゆういち(私)

副社長が私を評価して
くださっているのであれば、
そのご期待に応え、
お受けいたします。

そうか、そうか。
受けてくれるか。

ありがとう。

では、君が営業部長として
この会社をどう変えるのか
来期の構想や考え方を、
改めて詳しく聞かせてほしい。

先に断っておきますが、
私は、大きく変える
つもりはありません。

今の業務の問題点を一つ一つ
洗い出し、改善していくことを

継続していくだけです。

今流行りの、
「カーボンニュートラル」や
「AI」や「DX」など
テーマを決めて活動したほうが

いいのではないか?

外部への見栄えもいいし、
活気が出るだろう。

……それらは膨大なコストと
時間を要する割に、
現在のお客様が求めている
ニーズに合致しません。

ですから、今はやりません

……そうか。
君は相変わらず、
堅実すぎるというか、
夢がないな。

(すごく不服そうだな・・・。
中身を伴わない派手な活動を
しても、仕方ないのに。)

……今は、足元を固める時です。

まずは、現場の真実を
知ってください。

分かった。

続けてくれ。

念のため確認ですが、
決定事項は、社長から
石田営業部長に説明して
納得してもらってくださいね。

そこは約束しよう。

では、説明していきます。

社長は目を細め、深く頷く。

まず、私が考える会社の
問題点は、

⚠️ 営業部が抱える「病理」の正体

■ 原因1:「努力目標」という名の無責任

 管理職が「目標は努力目標だから」と逃げ、
 行動の責任を放棄している。

■ 原因2:ルール不在のストレス

 「何をすれば正しいか分からない」不安が、
 若手の不信感を増幅させている。

■ 原因3:保身による現状維持

 改善案が出ても、居心地の良さを守りたい
 管理職が変化を拒絶する。

結論:責任と規律の欠如が生んだ、
組織の機能不全

と考えています。

森田相談役

目標を努力目標だと言っている

管理職は、大問題ですね。

若手社員が私に
『将来が不安で仕方がない。』
と相談しに来ています。

問題点は分かった。

私も感じている。

では、どうしたらいい。

解決策も考えていますが、

あくまで私の仮説なので
一度、社長や相談役が
営業部の全社員に
ヒアリングしてみては
いかがでしょうか。

たしかにそうだな。

ただ、
私が直接話をしても

話をしてくれないかも
しれないなぁ。

そうだ、
森田相談役、一度全員の
話を聞いてほしい。

……ふむ。
中立の私が聞きに行きましょう。

その方が、本音が出るでしょうから

(社内の問題点が
社長と共有できれば
話も早くなるだろう。)

分かりました。

では、その結果も含めて

来月に話をしましょう。

うむ。

そうしよう。

何度も確認するようで
申し訳ありませんが、
決定事項は、社長から
石田営業部長に説明して
納得してもらってくださいね。

分かった、分かった。
そこは、社長の私に任せて
くれれば大丈夫だ。

安心してもらっていい。

では、社員の皆さんと

話が出来たら、

報告します。

よろしくお願いします。

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■背景情報

<会社情報>

<社名>架空金属産業株式会社 社員総数50数名
営業部営業課 機械部品販売 営業 8名
営業部エンジニアリング課 機械修理・改造 技術者 5名
製造部製造1課 機械加工 作業者 10名
製造部製造2課 塗装 作業者 10名

<登場人物>

山田社長
山田社長

創業者

82歳

誰にでもいい顔をしたがる。

森田相談役
森田相談役

事なかれ主義
66歳
大手企業の元役員

ゆういち(私)
ゆういち(私)

入社20年
46歳

エンジニアリング課課長
エンジニアリング課の営業

⚙️ よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ「努力目標」が組織を
腐らせるのですか?
目標を努力目標と言い換えることは、
管理職が「行動と結果への責任」を
放棄する行為だからです。
これにより現場は指針を失い、
何が正しい行動かが不明確になる
ことで組織の機能不全を招きます。
Q2. 社長が「私に任せろ」と
言うのに改善しない理由は?
多くの場合、社長自身が「耳障りの
良い言葉」でその場を収めようと
する事なかれ主義や、現場の真実
よりも「見栄えの良いDXやAI」
といった外部評価を優先している
ためです。具体的な改善行動が
伴わない「任せろ」は、ただの
責任回避であるケースが大半です。
Q3. 組織の機能不全に気づいた時、
まず何をすべきですか?
まずは「現場の真実」を徹底的に
洗い出すことです。
感情論や上層部の空論ではなく、
事実に基づく現状把握こそが、
改善への第一歩となります。