ベアリング型式の見方とメーカー別記号一覧|ZZ・DDU・LLUの違いを徹底解説

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6201Z C3と刻印された深溝玉軸受。シールド記号Zと内部すきま記号C3の解説例
▲ベアリングの金属シールドに刻印された型式
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その「Z」一つで、機械の寿命が変わる?

現場担当者

「至急!6002Zの
ベアリングが
欲しいんです!!」

現場から焦った様子で連絡がありました。
ここで「はい分かりました」
と鵜呑みにするのは、実は少し危険です。

なぜなら、型式の末尾にある「Z」
「ZZ」という記号には、ベアリングの
寿命を左右する「シールの種類」という
重要な意味が隠されているからです。

ゆういち

「それ、ベアリングの
両側に『6002Z』
と書いてないですか?」

と尋ねたところ、

現場担当者

「あ、本当だ!
両側にあります!」

という回答。
やはり「6002ZZ(両側金属シールド)」
が正解でした。

🛠️ 今回のテーマ

絶対に間違えられない!
「ベアリング型式」の読み解き術

現場の「急ぎ!」でうっかり間違えやすい
末尾記号(Z/ZZ/DDUなど)の意味を
世界一わかりやすく解説します。

ベアリングの基礎知識と役割:なぜ回転機器に欠かせないのか?

重いピラミッドの石を運ぶとき、その下に
「丸太」を敷いて転がした歴史があります。

ベアリングの原理。ピラミッドの丸太(転がり摩擦)と現代のボールベアリングを比較したイラスト

古代の知恵が凝縮されている、現代のベアリング

ベアリングの原理もこれと同じ。
内部でボールやローラーを転がすことで、
「滑り摩擦」を「転がり摩擦」に変え、

回転を劇的にスムーズにしています。

💡 CHECK POINT

ベアリングの最大の役割は、
回転運動の「摩擦熱」と「摩耗」を
最小限に防ぐこと。
これによって機械の故障を回避し、
寿命を飛躍的に延ばしているのです。

ベアリングの主な種類(ラジアルとスラスト)

現場で扱うベアリングは、大きく分けて
2つの「荷重(かかる力の方向)」
で使い分けられます。
この向きを間違えると、ベアリングは
一瞬で破損するため注意が必要です。

📍 Radial Load

ラジアルベアリング

軸に対して「垂直(直角)」にかかる
荷重を支える、最も一般的なタイプです。

主な用途:
モーターの回転軸、コンベアのローラー、
車のホイールなど

※ 現場で単に「ベアリング」と言えば、
多くはこのラジアルを指します。

📍 Thrust Load

スラストベアリング

軸に対して「平行(横方向)」にかかる、
押し付けるような荷重を支えます。

主な用途:
扇風機の首振り軸、旋盤の主軸受、
ジャッキの回転部など

※ 構造上、横方向の力には強いですが、
垂直方向の荷重には不向きです。

ラジアル荷重とスラスト荷重の方向とベアリング構造の違いを解説した図解

図:【徹底比較】ラジアル荷重とスラスト荷重の違い

今回は、保全現場で最も目にする
「6000番台(ラジアル)」と、
荷重を支えるスペシャリスト
「50000番台(スラスト)」
型式の読み方について詳しく解説します。

🛠️ベアリング型式の見方:各記号を徹底解説

ベアリングの型式って、
メーカーのカタログで見ようとすると、
情報が多すぎてどこを見ればいいか
迷いませんか?
実は、型式の並びには
決まったルールがあります。

現場でパッと判別できるように、
重要なポイントを凝縮してまとめました。

単列深溝玉軸受「6002ZZC3」を例に、形式番号、寸法系列、内径番号、シールド記号、内部すきま記号の意味を矢印で示した解説図

ラジアルベアリングの型式構成。

スラストベアリング「51410」を例に、形式番号「5」から始まる各記号の意味を解説した図解

スラストベアリングの型式構成。

① 形式番号(ベアリングの種類)

型式の「最初の数字」は、
ベアリングの種類を表しています。
現場でよく使う4つは、形と一緒に
セットで覚えてしまいましょう!

📌 主要な4つの形式
6 :単列深溝玉軸受

一番メジャー。
高速回転が得意で、
ラジアル荷重を支えます。

5 :スラスト玉軸受

軸を押し付ける力
(スラスト荷重)を
支える専用品。

3 :円すいころ軸受

テーパーローラー。
重荷重や、ラジアル・スラスト
両方を支える車輪などに。

2 :自動調心ころ軸受

軸が少したわんでもOK。
大型機械や製紙機械などで活躍。

※メーカーカタログには他にも多くの
番号がありますが、まずはこの
「2・3・5・6」をマスターすれば
現場での判断スピードが上がります。

② 寸法系列記号

「寸法系列記号」は、ベアリングの
「幅(高さ)」と「外径(大きさ)」の
組み合わせ
を数字で表したものです。
これ単体でサイズが決まるわけではなく、
形式や内径とセットになって、ベアリングの
「ボリューム感」を決定します。

💡 ざっくりイメージ

同じ「内径(軸の太さ)」でも、この番号が違うと…

「0」や「2」系 標準・スリム
(一般的な軽荷重用)
「3」や「4」系 肉厚・タフ
(重荷重・高剛性用)

要するに、数字が大きくなるほど
「肉厚で頑丈なベアリング」
になっていく、
と覚えておけば現場では十分です!

※設計時にはカタログで「外径」と「幅」の
数値を必ず確認しますが、交換時は
現物の型式(例:6205の「2」の部分)を
そのままなぞるのが鉄則です。

③ 内径番号(シャフト径)

ベアリングの内径(軸を通す穴のサイズ)
を示す番号です。
「03まで」と「04から」で
ルールが変わる
のが、現場で
混乱しないための最大のポイントです!

暗記必須!例外の4パターン(00〜03)
00
φ10
01
φ12
02
φ15
03
φ17
💡 現場で使える「×5」の法則

内径番号「04」以降は、
以下の計算式で一発回答!

内径番号 × 5 = 内径(φ)
● 6204 ➡ 04 × 5 = φ20mm
● 6305 ➡ 05 × 5 = φ25mm
● 6008 ➡ 08 × 5 = φ40mm

※04以降は5mm単位で大きくなります。
ちなみに内径200mm(番号40)を
超えるような大型ベアリングでも、
この法則は使えます!

現場で「この軸、何ミリだっけ?」
となった時、ベアリングの刻印を見て
すぐに答えられると、
周りからの信頼度がグッと上がります。

④ シールド・シール記号(保護構造)

内部のグリースを漏らさず、外からの
ゴミを防ぐための「蓋」の役割です。
末尾に何も付かないものは「開放型」
と呼ばれ、定期的な給油が
必要な箇所に使用されます。

📌 メーカー別:互換記号早見表
シールの種類 KOYO NSK NTN NACHI
非接触金属シールド
(抵抗が少ない)
ZZ ZZ ZZ ZZE
非接触ゴムシール
(防塵×低トルク)
2RU VV LLB 2NKE
接触ゴムシール
(最強の防塵・防水)
2RS DDU LLU 2NSE
💡 現場での選び方ポイント:
ホコリや水気が多い過酷な場所なら、
迷わず「接触ゴムシール(DDUやLLU)」
を選びましょう。
逆に、高速回転させて熱を持たせたくない
場合は、摩擦抵抗の少ない金属シールドや
非接触シールが向いています。

⑤ 内部すきま記号

ベアリングの「すきま」とは、
内輪と外輪の間にあるわずかな
「遊び」のことです。
「普通すきま(CN)」の場合は型式に
表示されません
が、特殊な環境では
この遊びの調整が不可欠になります。

📌 すきまの大きさ順
微小(精密)➔標準➔大きい(高温用)
C1 < C2 < CN < C3 < C4 < C5

▼ 隙間を小さくする(C1, C2)

  • 回転の振れを抑えたい
    (高剛性)
  • 騒音や振動を最小限にしたい
  • 主に精密機械や静かな
    モーターなどに使用

▲ 隙間を大きくする(C3, C4)

  • 温度上昇が激しい場所
    (熱膨張対策)
  • 軸とハウジングの
    しまりばめが強い場合
  • 乾燥機やボイラー周り
    などの高温箇所に使用
💡 ここがプロの視点:
ベアリングは運転中に温度が上がると、
中のボールや内輪が熱で膨張します。
最初から「すきま」がないと、膨張したとき
行き場を失ってロックしてしまいます。
だからこそ、熱を持つ場所ではあえて
ガタがあるC3などを使うのが鉄則です!

⑥ 精度記号(公差等級)

ベアリングがどれだけ精密に
作られているかを表す指標です。
日本の現場で使われる
「メートル系ベアリング」は、
すべてJIS規格に基づいています。

📌 等級のルール(JIS規格)

数字が小さくなるほど、
精度が「高く」なる!

標準
無表示
(0級)
高精度
P6 / P5
(6級/5級)
超精密
P4 / P2
(4級/2級)

※一般工業用(モーターやコンベアなど)は、
ほとんどが「無表示(0級)」です。

💡 現場でのアドバイス:
型式の最後に「P5」や「P4」が付いている
ベアリングは、工作機械の主軸など、
ミクロン単位の振れ精度が求められる
場所に付いています。
「値段の桁が違う」こともあるので、
見積もりや発注時には記号の見落としに
絶対注意しましょう!

出典・参考文献

軸受の公差と等級(JTEKT)

ベアリングの精度等級、各部公差、および
規格による対応表の解説
(株式会社ジェイテクト)

⑦ 潤滑記号(封入グリース)

ベアリング内部にどのようなグリスが
封入されているかを表す記号です。
使用環境(高温・高速回転・低温など)に
よって最適なグリスが異なるため、
交換時には「現在何が使われているか」を
必ずチェックしましょう。

📌 メーカー別:主要グリス記号一覧
グリスの種類 KOYO NSK NTN NACHI
アルバニアグリース2
(最も標準的な万能タイプ)
A2 AS2 /2AS (AV2)
ビーコン325
(低温・高速回転向け)
B5 ENS 3E BC325
マルテンプSRL
(静音・低トルク・長寿命)
SR NS7 /5K MTSRL
マルテンプPS2
(精密・微小回転向け)
PS2 /1K PS2
⚠️ 現場での重大な注意点: 標準的なグリス(アルバニア等)が
指定されている場所に、特殊な高速用
グリスを混ぜて使うのは絶対にNGです。

「基油(オイル)」や「増ちょう剤
(石けん成分など)」の相性が悪いと、
グリスが液状化して流れ出し、最悪の場合、
軸受の焼き付きを引き起こします。

「形が同じだから」と油断せず、
型式の末尾にあるグリス記号まで
しっかり確認して手配しましょう。

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まとめ|正しい知識で「最短・安全」な現場復旧を!

Summary(まとめ)

「ただの数字の羅列」
に見えるベアリングの型式。
しかし、その一文字一文字には、
荷重・サイズ・寿命・精度という、
機械を安定して動かすための
極めて重要な情報が刻まれています。

ベアリング選定・交換の3箇条

  • 末尾の「保護構造」を必ず確認:
    Z・ZZ(金属)とDDU・LLU(ゴム)
    は、防塵・防水性能が全く違います。
    現場の環境に合わせて
    正しく選びましょう。
  • 内径番号の「×5」をマスター:
    04以降なら、番号に5を掛ければ
    軸径(φ)が分かります。
    例外の00〜03(10, 12, 15, 17mm)
    は暗記が鉄則です。
  • 「隙間」と「精度」の見落とし厳禁:
    熱を持つ場所ならC3、工作機械なら
    高精度(P5等)など、特殊記号が
    ついている場合は代用品選びに
    細心の注意を。
  • 公式情報の参照:
    確実な選定のため、実際の交換時は
    JTEKT(KOYO)やNSK等の
    メーカー最新カタログ
    を必ず併せてご確認ください。

設備が止まった緊急時こそ、焦って
「似ているもの」を付けるのではなく、
型式が持つ正確な意味
読み解いてみてください。
その「正しい一文字」の選択が、機械の
長寿命化と現場の安心に直結します。

正しい規格の知識で、
止まらない現場と安心のモノづくりを。

今は『古い会社を中から変える』
という挑戦の真っ最中です。
そのリアルなドタバタ劇を
物語にしてみました。
もしよかったら、
第1話だけでも覗いてみてください。
📖 【第1話】密室の甘い毒

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。