給水設備などに
銅製のバルブが
多く使われていますが
なぜですか?
銅は、抗菌性と高い耐食性を
持っているため、給水設備に
多く使用されています。
では、
バルブに黄銅・青銅と
種類がありますが、
何が違うんですか?
黄銅は、亜鉛との合金で
5円硬貨に
使われている素材です。
5円玉って
黄銅なんですか!
青銅は、錫(すず)
との合金で、10円硬貨に
使われている素材です。
10円玉は
青銅なんですね!
黄銅と青銅は、
どちらが耐食性に
優れているんですか?
一般的に、
青銅の方が黄銅より
耐食性に優れている。
と、言われています。
使い分ける基準など
あるんですか?
日本バルブ工業会さんの
一般社団法人日本バルブ工業会
–JIS規格
を見ていただくと
分かると思いますが
青銅にJIS規格はありますが
黄銅にはありません。
本当ですね。
JIS B 2011:2010に
青銅弁はありますが、
黄銅は
見当たらないですね!
官公庁などでは
設備や用途によって
決められた製品が
使用されます。
官公庁では、
青銅バルブが多く
使われているんですね。
という、やりとりがありました。
今回は、黄銅・青銅バルブの使い分け
について、簡単に分かりやすく
紹介していきたいと思います。
黄銅と青銅ってなに?
黄銅と青銅のことを
もっと詳しく
教えて下さい。
私の分かる範囲で
紹介します。
まずは、
銅の種類から説明します。
銅に種類があるんですか?
銅には種類があり
大きく分けて
- 純銅
- 銅合金
の2種類があります。
純銅と銅合金・・・。
純銅は、
銅の純度が99.90%以上の素材で
- 無酸素銅
- タフピッチ銅
- リン脱酸銅
が該当します。
純銅は、耐食性に
優れていますが
変形しやすい
柔らかい素材です。
柔らかい素材でバルブが
作れるんですか?
そのため、
純銅に様々な元素を添加して
強度・耐食性といった性質を
向上させたものが
黄銅や青銅といった銅合金
なんです。
黄銅や青銅は、
銅合金になるんですね。
黄銅には、何が添加されて
いるんですか?
黄銅は、
銅に亜鉛を45%まで添加した
合金の事を言い、
亜鉛の量によって
『丹銅』や『真鍮』とも
呼ばれています。
丹銅や真鍮の意味は
何ですか?
丹銅の丹は、
赤色を意味していて、
赤っぽい銅
を表しています。
真鍮は、江戸時代からすでに
呼ばれていたみたいです。
青銅のことも
教えて下さい。
青銅は、
銅にすずを添加した
合金のことを言い、
青銅に亜鉛を10%以下添加した
合金は『砲金』とも
呼ばれています。
なぜ、
砲金なんですか?
砲金は、大砲の砲身に
使われていたことから
そう呼ばれています。
黄銅と青銅の違いは
合金元素の違い
なんですね。
-
銅には、『純銅』と『銅合金』の
2種類がある。 -
銅の純度が99.90%以上のものを
『純銅』と言い
『無酸素銅』『タフピッチ銅』
『リン脱酸銅』が該当する。 -
純銅に様々な元素を添加して
強度・耐食性などの性質を
向上させたものが銅合金。 -
黄銅は、銅に亜鉛を45%まで
添加した合金で
『丹銅』や『真鍮』
とも呼ばれている。 -
青銅は、銅にすずを15%まで
添加した合金。 -
青銅に、亜鉛を10%以下
添加した合金は
『砲金』とも呼ばれている。
黄銅と青銅の違い
純銅と黄銅・青銅は
何が違うんですか?
黄銅は、
切削加工性が良く、銅の中で、
最も多く使用されている銅合金で
純銅の代わりに使用されています。
純銅と黄銅の耐食性に
違いはないんですか?
純銅と黄銅の
一般的な耐食性は、
あまり変わりません。
ただし、黄銅は、
短期間の使用にもかかわらず
折れたり破損して水が漏れる
『脱亜鉛腐食』
と呼ばれる腐食現象が
起こる可能性があります。
脱亜鉛腐食って何ですか?
亜鉛成分が多い黄銅の
亜鉛が優先的に溶解する
腐食現象の事を言います。
原因は何ですか?
脱亜鉛腐食の原因は、
- 水のPH
- 硬度・温度
- 塩化物イオンの濃度
などに影響を受ける
と言われていますが、
明らかな原因は分かっていません。
そうなんですね。
とはいえ、
よほどの特殊用途でもない限り
黄銅バルブを使用することに
なんの問題はありません。
また、耐脱亜鉛腐食銅という
黄銅にすずやアルミニウムの
元素を添加した特殊な黄銅も
あるようです。
青銅の耐食性は
どうですか?
青銅は、
黄銅に比べ
- 応力腐食に強い
- 脱亜鉛腐食がない
といったメリットがあります。
耐食性は、青銅バルブの方が
良いんですね。
耐食性は、
青銅バルブのほうがよく
埋設が可能です。
黄銅は埋設できないんですね。
しかも、青銅バルブは、
JIS規格にも規定されているので
官公庁でよく使用されます。
黄銅バルブのメリットは
何ですか?
黄銅は、青銅に比べ
安価に購入できます。
なぜ、黄銅は青銅と比べて
安価なんですか?
黄銅と青銅の価格の差は、
-
青銅は、銅成分が多く鋳造での
製作になるので高価。 -
黄銅は、銅成分が少なく鍛造で
大量生産できるため安価。
なんです。
材質の指定が無く、
数が多い場合に、
黄銅を選ぶんですね。
-
黄銅は、切削加工性が良く、
最も多く使用されている銅合金。 -
黄銅は、
『脱亜鉛腐食』と呼ばれる
腐食現象に注意が必要。 -
青銅は、黄銅に比べ
『応力腐食に強い』
『脱亜鉛腐食がない』
など耐食性が良い。 -
青銅バルブは、埋設が可能で
JIS規格にも規定されている。 -
黄銅は、銅成分が少なく鍛造で
大量生産できるため、
青銅より安価。
青銅の種類
黄銅には特殊黄銅が
ありましたが青銅には
ないんですか?
青銅にも
- アルミニウム青銅
- 珪素青銅
があります。
アルミニウム青銅は
どんな性質なんですか?
アルミニウム青銅は、
銅にアルミニウムを添加した素材で
耐酸・耐海水性に優れており
熱交換器管などに使用されています。
珪素青銅の
特徴も教えて下さい。
珪素青銅は、
すずの代わりに珪素を添加した
銅合金で機械的強度や溶接性が
向上した合金です。
かなり特殊仕様ですね。
汎用品ではないので
かなりの特殊用途での
使用になります。
-
青銅には、『アルミニウム青銅』
『珪素青銅』という種類がある。 -
アルミニウム青銅は、銅に
アルミニウムを添加した素材で
耐酸・耐海水性に優れている。 -
珪素青銅は、すずの代わりに
珪素を添加した銅合金で
機械的強度や溶接性が
向上した合金。
銅合金と緑青
銅合金製のバルブに
緑色のものが
付着しているんですが
あれは何ですか?
あれは、銅に発生する
『緑青』(ろくしょう)
と呼ばれるサビの1種です。
銅にもサビが
発生するんですね。
そうなんです。
銅合金が耐食性に優れている
と言っても、
長期間使用していると
『緑青』が発生します。
どうして緑青は、
発生するんですか?
緑青は、銅が酸化してできる
皮膜で、水分が最大の原因です。
緑青が発生すると
何か問題がありますか?
緑青自体は、
無害であることが確認されており、
銅管を腐食から守ってくれます。
緑青が保護膜の役割を
してくれるんですね。
なので、銅は
抗菌性や耐食性が強く、
サビても人体に影響がない
ことから、給水設備などに、
多く使われています。
じゃあ、緑青が発生しても
放っておいて大丈夫ですね?
緑青自体には、
問題はありませんが
緑青が長期間生成され大きくなると
バルブの開閉部に詰まるなどの
動作不良を引き起こす可能性が
あります。
配管詰まりの可能性も
ありますね?
しかも
緑青が発生しているということは、
水が漏れている可能性があるので
早めの交換をお勧めします。
大きな問題になる可能性が
あるので、交換したほうが
良さそうですね。
-
耐食性に優れている銅合金でも、
長期間使用すると『緑青』という
銅のサビが発生する。 -
緑青自体は、人体に影響がなく
銅管を腐食から守る保護膜の
役割をする。 -
銅は、抗菌性や耐食性が強く、
サビても人体に影響がないため
給水設備などに使われている。 -
緑青が長期間生成され
大きくなると、バルブの開閉部に
詰まるといった動作不良を
引き起こす可能性がある。 -
緑青が発生している
ということは、
水が漏れている可能性がある。
まとめ
水や油・ガスといった流体用に
様々な設備や装置に使用されている
黄銅・青銅バルブですが、
良く分からずに交換していませんか?
以前、黄銅・青銅で作られたバルブには
鉛が数%含まれていましたが、
現在では、基準が改正され
水質基準が厳しくなったので
鉛フリーの銅合金が開発されています。
飲料水などに使用する場合、
材質選びに不安がある場合は
バルブメーカーさんに
相談して下さい。
ありがとうございました。
KITZ (キッツ) 10K キーパロイ (鉛フリー青銅) ボールバルブ (ロングネック・フルボア形) TLNF 呼び径 1・1/2 (40A)
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