塗装の色見本帳にある、マンセル値と日塗工の色票番号との違いとは?

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規格

外壁が色あせてきたので、
塗りなおしをお願いします。

かなり、色あせてますね。

色の指定はありますか?

『○○(会社名)グリーン』

でお願いします。

『○○グリーン』では、

分からないです・・・。

えっ!
そうなんですか!

日塗工の色票番号は

分かりませんか?

分からないです。

では、マンセル値は

分かりますか?

そっちも分かりません。

分かりました。

色見本帳で一緒に確認して

色を決めましょう。

お願いします。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、『色票番号』について、
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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色の表現とは?

考えてみると
色を表現するって

かなり難しいですね。

ですよね。

色を表現する場合、

どうすればいいですか?

私の分かる範囲での

説明になりますが

大丈夫ですか?

よろしくお願いします。

もし、あなたが
色を表現するとき、
どうしますか?

『赤』『白』『黄色』
など、色名を言います。

ですよね。

ただ、黄色の中にも
『明るい黄色』
『暗い黄色』
『赤みのある黄色』
など、違いがあります。

確かにそうですね。

 

以前、2社に分けて
黄色の安全柵を

作ってもらった時、

1社は明るい黄色で
1社はくすんだ黄色で
作ってきました。

そうなんです。

Point

同じ『色』でも、個人差による
感覚的な違いが生まれるので
正確な色を、客観的に伝えることは
たいへん難しいことなんです。

 

確かにそうですね。

しかも、

Point

部品を組み上げる工業製品の外観色や
設備の改造や安全対策で使用する
追加部品と既存設備との外観色が
不揃いだと、大きな問題に
発展する場合があります。

 

確かに、安全柵も色に
統一感がなかったので
格好悪かったです。

そうなんです。

そのため、

 

Point

客観的に

  • 色を伝える。
  • 色を共有する。
  • 色を再現する。

ということが大切になるので
『色のモノサシ』
が必要になってきます。

 

指定通りの色かどうかを
客観的に判断するために
『色のモノサシ』が

必要になるんですね。

色の表現とは?
  • 同じ色名でも、個人差による
    感覚的な違いが生まれるので
    正確な色を、客観的に伝える
    ことは、たいへん難しい。

  • 組み上げた工業製品や追加部品と
    既存設備の外観色が不揃いだと
    大きな問題に発展する場合がある。

  • 客観的に『色を伝える。』
    『色を共有する。』
    『色を再現する。』には、
    『色のモノサシ』が必要。

 

色のモノサシと標準色票

色を指定するには、

『色のモノサシ』が

必要になることは

分かりました。

ただ、
『色のモノサシ』
ってなんですか?

通常、
『色のモノサシ』には、

Point

国際的な表色系である、
『マンセル表色系』が用いられます。

 

マンセル表色系って

なんですか?

マンセル表色系は、
JISでは、

3025 マンセル表色系 
マンセル (A. H. Munsell) の
考案による色票集に基づき、
1943年に米国光学会
(Optical Society of America) の
測色委員会で尺度を修正した表色系。
マンセルヒュー、マンセルバリュー、
マンセルクロマによって
表面色を表す。 
マンセルヒューは色相を、
マンセルバリューは明度を、
マンセルクロマは彩度を表す。 
引用:JIS Z 8105 色に関する用語

と定義されています。

どういうことですか?

簡単に説明すると、

Point

マンセル色票系とは、『色相(H)』
『明度(V)』『彩度(C)』の
3つの属性を組み合わせて、
一つの色を表すシステムのことです。

 

「色あい」「明るさ」「あざやかさ」。
色の世界は、3つの要素の組み合わせ。
参考:コニカミノルタジャパン株式会社

そして、

Point

『色相(H)』『明度(V)』『彩度(C)』
の順に、記号や数値で表現したものを
マンセル記号やマンセル値と呼びます。

 

マンセル表色系とは
参考:DICカラーデザイン株式会社 

なるほど。

そして、

このマンセル表色系は、
JIS規格にも採用されており

Point

日本規格協会が発行している
マンセル表色系を基準値とした
色を属性ごとに配列した色見本
『JIS標準色票』があります。

 

JIS Z 8721準拠 
JIS標準色票 光沢版(第9版)
参考:一般財団法人 日本規格協会(JSA)

『標準色票』
ってなんですか?

標準色票は、JISで、

2035 色票
色の表示などを目的とする色紙又は
類似の材料による表面色の標準試料。
特定の基準、例えば、JIS Z 8721
に基づいて作成した色票を
標準色票という。
備考 特定の色の属性が一定である
色票を平面上に配列したものを
カラーチャートcolourchartといい、
色票集は、カラーチャートを編集して
作られる。
引用:JIS Z 8105 色に関する用語

とされています。

・・・?

つまり、

Point

色票とは色見本サンプルのことで、
特に、JIS Z 8721の
『色の三属性による表示』に
基づいて作成された色見本サンプル
のことを標準色票と言います。

 

『色相(H)』『明度(V)』
『彩度(C)』の
三属性を数値化した
色見本サンプルが
標準色票なんですね。

そうです。

そして、

Point

標準色票を特定の属性ごとに
配列・編集したものを、
色票集や色見本帳と言います。

 

標準色票をまとめたものが

色見本帳なんですね。

色のモノサシと標準色票
  • 『色のモノサシ』には、
    国際的な表色系で
    JIS規格にも採用されている
    『マンセル表色系』が用いられる。

  • マンセル表色系は、『色相(H)』
    『明度(V)』『彩度(C)』の
    3つの属性を組み合わせて、
    一つの色を表すシステム。

  • 『色相(H)』『明度(V)』
    『彩度(C)』の順に、
    記号や数値で表現したものを
    マンセル記号やマンセル値と呼ぶ。

  • 日本規格協会が発行している
    マンセル表色系を基準値とした
    色を属性ごとに配列した色見本
    『JIS標準色票』がある。

  • 色票とは色見本サンプルのことで、
    JIS Z 8721に基づいて
    作成された色見本サンプルの
    ことを標準色票という。

  • 標準色票を特定の属性ごとに
    配列・編集したものを、
    色票集や色見本帳という。

 

マンセル値と色票番号

塗料の色を指定する
場合は、マンセル値を
伝えれば大丈夫ですね。

実は、
そうではないんです。

えっ?

どういうことですか?

塗料をお願いする場合、

Point

一般社団法人 日本塗料工業会(JPMA)
略して『日塗工』が発行している
『塗料用標準色』の色票番号で
手配したほうが都合が良いです。

 

色票番号について
参考:一般社団法人 日本塗料工業会(JPMA)

色票番号って
色票についている
番号ってことですよね。

そうです。

ただ、色票番号とは、

Point

JIS標準色票に各業界・団体が
定めた固有の番号のこと

 

を言います。

業界ってなんですか?

例えば、

Point
  • 色の研究機関
  • 建築業界
  • 塗料業界
  • 印刷業界

等があります。

 

その他の色見本帳:国内
参考:一般社団法人 日本塗料工業会(JPMA)

なるほど。

業界によって色票番号が

違うんですね。

でも、
なぜマンセル値より
日塗工の色票番号で
依頼したほうが
良いんですか?

それは、

 

Point

マンセル値で塗料の色を
指定した場合、あまりにも多くの
種類があるので、塗料で再現
できない可能性があるからです。

 

なるほど。

マンセル値で指定しても

塗料で再現できないと
意味ないですもんね。

そうなんです。

なので、日塗工さんの

Point

『塗料用標準色』には、色票番号と
マンセル値が掲載されていますが、
マンセル値のみでは、色を特定
できないので、『塗料用標準色』の
色票番号で手配する必要があります。

 

塗料を依頼する場合、
色票番号を指定する

必要があるんですね。

そうです。
塗料でのマンセル値は、

あくまで参考値なんです。

ちなみに、

Point

色見本帳『塗料用標準色』は、
有効期限が、3年と決まっており
2年ごとに発行されます。

 

色見本帳は、一度
購入すれば、更新する
必要はないでしょう。

実は、
そうでもないんです。

Point

『塗料用標準色』の色見本帳は、
実際の塗料を使用して製作している
ので、色あせや変色などが発生し、
原色と同じ色を10年も20年も
保つことが、ほぼ出来ません。

 

だから、有効期限が

3年なんですね。

他にも、

Point

色票番号の表記変更や塗料の変更
によって、微妙に色合いが変化する
場合があるので、注意が必要です。

 

確かに、塗料の原料が
環境負荷低減のために、
変更になる場合とか
ありますもんね。

また、今回、

Point

2022年発行予定の『塗料用標準色』
のM型とオートペイントカラーズは、
販売中止になっているので
注意して下さい。

 

塗料用標準色M版
(ポケット版、ワイド版)※及び
2022オートペイントカラーズの
発行中止について
参考:一般社団法人 日本塗料工業会(JPMA)

 
マンセル値と色票番号
  • 塗料をお願いする場合、
    『日塗工』が発行している
    『塗料用標準色』の色票番号で
    手配したほうが都合が良い。

  • 色票番号とは、JIS標準色票に
    各業界・団体が定めた固有の
    番号のこと。

  • マンセル値で塗料の色を
    指定した場合、あまりにも
    多くの種類があるので塗料で
    再現できない可能性がある。

  • 色見本帳『塗料用標準色』は、
    有効期限が、3年と決まっており
    2年ごとに発行される。

  • 色票番号の表記変更や
    塗料の変更によって、微妙に
    色合いが変化する場合が
    あるので注意が必要。

 

色合わせと注意点

ところで、

色見本に合わせた色って
どうやって作るんですか?

それは、

Point

色見本と同じ色に合わせることを
『色合わせ』や『調色』といい、
その方法には、

  • 加法混色
  • 減法混色

の2種類があります。

 

2023 等色(とうしょく)、
色合わせ(いろあわせ)
与えられた色刺激と、色が等しく
見える別の色刺激を作る行為。
引用:JIS Z 8105 色に関する用語

加法混色や減法混色
ってなんですか?

加法混色とは、JISで

2019 加法混色
複数の色刺激を、網膜の同じ箇所に
同時に若しくはフリッカを生じない
程度の高い周波数で交互に入射
させるか、又は分解して見えない
程度の細かいモザイク状などの配置で
結像させて行う色刺激の混合方法
引用:JIS Z 8105 色に関する用語

と定義されています。

どういうことですか?

簡単に説明すると、

加法混色とは、

Point

RGBと言われる、光の3原色
赤(R)・緑(G)・青(B)の
混合比率を変えて、
色を作り出す方法です。

 

なぜ加法なんですか?

色の調色に、光の色を
足していく必要が
あるので、加法混色と
言われているようです。

なるほど。

では、次に減法混色を

教えて下さい。

減法混色は、JISで

2021 減法混色
色フィルタ等の選択性がある
吸収媒質の重ね合わせによって、
個々の吸収媒質とは異なった色を
作る混合方法。
引用:JIS Z 8105 色に関する用語

と定義されています。

どういうことですか?

簡単に説明すると、

Point

CMYと言われる、色の3原色
シアン(青緑・C)・
マゼンタ(赤紫・M)・
イエロー(黄・Y)の混合比率を
変えて色を作り出す方法で、塗料の
色の調色は、この方法を使います。

 

確かに、
インクジェット
プリンターの
カラーインキや
レーザープリンターの
カラートナーに
使われていますね。

そうですね。

なぜ、減法なんですか?

色を足していくと
明るさが減って黒に
近づくことから、
減法混色と
言われているようです。

そういえば、
インクジェット
プリンターの

カラーインキには、黒も
入れて4色ありますよ。

それは、

Point

理論上、C・M・Yだけで黒を表現できる
と言われています。しかし実際は、
インキの不純物などで、完全な黒が
表現できないため、黒を追加して完全な
黒を表現するために使用しています。

 

なるほど。

ところで、色合わせは、

どのように行うんですか?

色合わせは、

Point
  1. 見本色の確認
  2. 原色の確認
  3. 配合
  4. かくはん
  5. サンプル作成
  6. 比較
  7. 調整

の段階で行われます。

 

初心者には

難しそうですね。

そうですね。

ただ、

Point

ロックペイント株式会社さんの
調色作業支援/補助ツールが
あるので、自分で色合わせする
場合は、参考にして下さい。

 

調色作業支援/補助ツール
参考:ロックペイント株式会社

ありがたいですね。

ただし、

Point

色合わせをする場合、
明るさや光源の色・見る向きに
よって、色合いが違って見える
ので注意して作業して下さい。

 

分かりました。

色合わせと注意点
  • 色見本と同じ色に合わせることを
    『色合わせ』や『調色』といい、
    加法混色・減法混色と
    2種類の方法ある。

  • 加法混色とは、RGBと言われる、
    光の3原色、赤(R)・緑(G)・
    青(B)の混合比率を変えて、
    色を作り出す方法。

  • 減法混色とは、CMYと言われる、
    色の3原色、シアン(C)・
    マゼンタ(M)・イエロー(Y)
    の混合比率を変えて色を作り出す
    方法で、塗料の色の調色は、
    この方法を使う。

  • 色の3原色は、理論上、
    C・M・Yだけで黒を表現できる
    と言われていますが、実際は、
    完全な黒を黒色を追加して
    完全な黒を表現している。

  • 色合わせをする場合、
    明るさや光源の色・見る向きに
    よって、色合いが違って見える
    ので注意して作業して下さい。

 

まとめ

色を表現する場合は、『黄』『青』『赤』
などの色名を使って表現します。

ただし、色にも濃淡や明暗などの違いが
ある上、個人の感覚差や天候・照明の
具合によっても、見え方が変わってきます。

そのため、塗装の共通ルールとして
『日塗工』さんの『塗料用標準色』が
あるので、色を決める際には、
参考にしてみてはいかがでしょうか。

ありがとうございました。

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