超硬合金の種類とは?超微粒・超々微粒やサーメットなど材種を紹介!

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素材

プレス金型のパンチと

ダイの交換頻度を

減らしたいんですが、

いい方法ありますか?

うーん、
色々確認しないと

いけないんですが、

まず、材質を変えて
みるのはどうですか?

なるほど。

いいですね。

なにかいい材質は

ありますか?

今、使用している材質は

なんですか?

確か図面には、

SKH51と記載されてた

と思います。

『ハイス鋼』を使って

いるんですね。

SKHって

『ハイス鋼』なんですか?

SKHは、
Steel Kogu High-speed

の頭文字をとっていて

高速度工具鋼材と
呼ばれています。

関連記事
 

へー。かなり、
いい材質なんですね。

『ハイス鋼』より
いいものあるんですか?

『超硬合金』は

どうですか?

『超硬合金』って

なんですか?

『超硬合金』は、
『超硬』とも呼ばれ、

製品精度の向上や

加工数量の増加に伴い、

使用が増えている材質です。

興味ありますね。

一度、
試してみたいです。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、『超硬合金』について
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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超硬合金とは?

そもそも、

『超硬合金』って

なんですか?

私の分かる範囲での

説明になりますが

大丈夫ですか?

よろしくお願いします。

まず『超硬合金』は、
JIS規格で

0101 超硬合金
耐摩耗工具では、主体となる硬質相の
炭化タングステン(WC)を結合相の
コバルト(Co)で焼結結合した
WC-Co合金及びそれを改良した合金。
引用:JIS B 0178 耐摩耗工具用語

と定義されています。

どういうことですか?

簡単に説明すると
『超硬合金』は、

Point

主成分の炭化タングステン
(タングステンカーバイト・WC)を
コバルト(Co)で焼結させた
複合材料のことです。

 

焼結って
どういうことですか?

焼結とは、

Point

粉末を融点より低い温度で加熱し
焼き固めて強度を高める技術です。

 

なるほど。

でも、なぜコバルトと

結合させる必要が
あるんですか?。

そもそも、
炭化タングステン自体は、

Point

硬く脆いセラミックなんですが、
粘り強い金属のコバルトを
結合させることで、金属の中で
最も硬く、セラミックより
強度・靭性の高い『超硬合金』に
なるからです。

 

なるほど。

そんなに硬い材質を
どうやって
加工するんですか?

『超硬合金』は、
通常の工具では
加工が困難なので、

Point

ダイヤモンド砥石による
研削加工やワイヤ放電加工・
形彫り放電加工といった
特殊加工機械で加工を行います。

 
 

ところで『超硬合金』って
サビるんですか?

『超硬合金』は、
鉄と違い、赤さびが
発生することは
ありません。

そうなんですか!

ただし『超硬合金』は

水に弱いんです。

水が付くと

どうなるんですか?

『超硬合金』に水が付くと

Point

成分のコバルトが水と反応して
溶け出すので、表面が白濁し
強度低下の原因となります。

 

湿度の高い環境や
水が付いたままで

長時間放置しないほうが
よさそうですね。

保管する際は、

Point

水分をきちんとふき取り、
急激な温度変化や湿度の高い場所を
避けて下さい。

 
超硬合金とは?
  • 一般的に『超硬合金』とは、
    主成分の炭化タングステンを
    コバルトで焼結させた複合材料。

  • 焼結とは、粉末を融点より
    低い温度で加熱し、焼き固めて
    強度を高める技術。

  • 炭化タングステン自体は、硬く
    脆い素材だが、粘り強い金属の
    コバルトを結合させることで
    強度・靭性の高い素材になる。

  • 『超硬合金』は、通常の
    工具では加工が困難なので、
    ダイヤモンド砥石による
    研削加工や放電加工といった
    特殊加工機械で加工を行う。

  • 『超硬合金』は水に弱く、
    水と反応すると、コバルトが
    溶け出すので、表面が白濁し
    強度低下の原因となる。

  • 水分をきちんとふき取り、
    急激な温度変化や湿度の高い
    場所を避けて保管する。
 

超硬合金の用途と特徴

ちなみに『超硬合金』は、
どんな用途で
使われているんですか?

『超硬合金』の用途は

ほとんど、工具関係で

Point

切削工具・耐摩耗工具・耐衝撃工具・
金型部品やボールペンのボールなどに
使用されています。

 

ハイス鋼の切削工具とは

なにが違うんですか?

『超硬合金』は、

Point

ハイス鋼より硬度が高いので、
高速切削加工が可能になり、
工具寿命を延ばすことが出来ます。

 

めちゃくちゃ良い

素材じゃないですか!

ただ、

Point

硬い反面、衝撃に弱く
価格がとても高いという
デメリットもあります。

 

高いお金を払ったのに

すぐ欠けてしまったら、

ショックですね。

そうなんです。

Point

無理に『超硬合金』の切削工具を
使って加工しても、加工条件が
合ってないと、欠けてばかりで
加工が進まないこともあります。

 

どうすればいいですか?

ハイス鋼から『超硬合金』に
変える時は、

Point
  • 機械剛性の確認。
  • 材料の固定を強固にする。
  • 切削速度を上げる。

などの加工条件を調整する
必要があります。

 

ハイス鋼で加工が出来る
工作機械だからといって、
『超硬合金』も加工できる
わけじゃないんですね。

そうなんです。

『超硬合金』って

難しそうですね。

ですよね。

ただ、

Point

最近は、靭性が大幅にアップした
『超微粒超硬合金』というものが
開発されました。

 

へー。

そうなんですね。

金型の部品に使っても

面白そうです。

一度、調べてみます。

超硬合金の用途と特徴
  • 『超硬合金』の用途は工具関係が
    多く、切削工具・耐摩耗工具・
    耐衝撃工具・金型部品やボールペン
    のボールなどに使用されている。

  • 『超硬合金』は、ハイス鋼より
    硬度が高いので、高速切削加工が
    可能になり、工具寿命を
    延ばすことが出来る。

  • 『超硬合金』は硬度が高い反面、
    衝撃に弱く、価格がとても高い
    というデメリットがある。

  • 『超硬合金』で加工しても、
    加工条件が合ってないと、
    欠けてばかりで加工が進まない。

  • ハイス鋼から『超硬合金』に
    変える時は、機械剛性の確認・
    材料の固定を強固にする・
    切削速度を上げる、といった
    加工条件を調整する必要がある。

  • 靭性が大幅にアップした
    『超微粒超硬合金』
    というものが開発された。

 

超硬合金の種類と分類

先ほど『超微粒超硬合金』
とかありましたが、
『超硬合金』には、

どんな種類があるんですか?

『超硬合金』は
JIS規格で、

Point
  • 超硬合金
  • 超微粒超硬合金
  • サーメット
  • 被覆超硬合金

の4つに分類されています。

 

違いを教えて下さい。

分かりました。

材料記号も併せて

紹介していきます。

材料記号 HW
金属及び硬質の金属化合物から成り、
その硬質相中の主成分が
炭化タングステンであり、硬質相粒の
平均粒径が1 μm以上であるもの。
一般に、超硬合金という。

材料記号 HF
金属及び硬質の金属化合物から成り、
その硬質相中の主成分が
炭化タングステンであり、硬質相粒の
平均粒径が1 μm未満であるもの。
一般に、超微粒超硬合金という。

また、色んな
メーカーさんから
『超微粒超硬合金』を
より微細化した
『超々微粒超硬合金』なども
商品化されています。

へー。
超微粒より細かい、

超々微粒もあるんですね。

では、続けていきますね。

材料記号  HT
金属及び硬質の金属化合物から成り、
その硬質相中の主成分がチタン、
タンタル(ニオブ)の、炭化物、
炭窒化物、窒化物であって、
炭化タングステンの成分が
少ないもの。
一般に、サーメットという。

材料記号 HC
上記の超硬合金の表面に炭化物、
炭窒化物、窒化物(炭化チタン・
窒化チタンなど)、酸化物
(酸化アルミニウムなど)、
ダイヤモンド、ダイヤモンドライク
カーボンなどを、1層又は多層に
化学的又は物理的に被覆させたもの。
一般に、被覆超硬合金という。

引用:JIS B 4053 
切削用超硬質工具材料の使用分類
及び呼び記号の付け方

 

なるほど。

また『切削用超硬質
工具材料』も、JIS規格で
分類されています。

ただ、外観では
違いが分からないので、
6つの識別色が
設定されています。

識別記号:P 
識別色:青色
被削材:鋼- 鋼、鋳鋼

識別記号:M
識別色:黄色
被削材:ステンレス鋼-
オーステナイト系、オーステナイト/
フェライト系、ステンレス鋳鋼 

識別記号:K
識別色:赤色
被削材:鋳鉄- ねずみ鋳鉄、
球状黒鉛鋳鉄、可鍛鋳鉄 

識別記号:N
識別色:緑色
被削材:非鉄金属-アルミニウム、
その他の非鉄金属、非金属材料 

識別記号:S
識別色:茶色
被削材:耐熱合金・チタン-鉄、
ニッケル、コバルト基耐熱合金、
チタン及びチタン合金 

識別記号:H 
識別色:灰色
被削材:高硬度材料-高硬度鋼、
高硬度鋳鉄、チルド鋳鉄 

引用:JIS B 4053 
切削用超硬質工具材料の使用分類
及び呼び記号の付け方

以上の6種類に、
分類されています。

なるほど。

色分けされていると

何用の切削工具か
分かりますね。

また、
この識別記号の後に
数字がついており、

Point

数字の小さい方が
耐摩耗性に優れており、
仕上げ加工に向いています。

 
超硬合金の種類と分類
超硬合金の分類
材料名 材料記号 分類
超硬合金 HW 炭化タングステン粒の平均
粒径が1 μm以上であるもの。
超微粒
超硬合金
HF 炭化タングステン粒の平均
粒径が1 μm未満であるもの。
サーメット HT 主成分がチタン化合物で、
炭化タングステンの
成分が少ないもの。
被覆
超硬合金
HC 超硬合金にコーティング
したもの。
切削用超硬質工具材料の分類
被削材 識別色 識別番号 使用分類記号
青色 P 01~50
ステンレス鋼 黄色 M 01~40
鋳鉄 赤色 K 01~40
非鉄金属 緑色 N 01~30
耐熱合金 茶色 S 01~30
高硬度材料 灰色 H 01~30
  • 使用分類記号の数字が小さい方が、
    耐摩耗性に優れており、
    仕上げ加工に向いている。

 

サーメットとは?

先ほど出てきた、
『サーメット』
について、もう少し
詳しく教えて下さい。

『サーメット』は、

Point

『超硬合金』の代替として、
セラミックスの硬さ・高温強度と
金属の靭性の複合化を目的として
開発された素材です。

 

『サーメット』って
セラミックスと金属の

複合素材のことなんですね。

なので、

Point

ceramics(セラミックス)と
metal(金属)から名前をとって、
cermet(サーメット)と
名付けられたと言われています。

 

なるほど。

では、『サーメット』の

特徴を教えて下さい?

『サーメット』は、

Point

チタン化合物を主体とした焼結材で、
超硬合金より硬く、耐摩耗性に
優れていますが、熱伝導率が低く
欠けやすいという特徴があります。

 

どういう場所で

使用されてますか?

『サーメット』は元々、

Point

ジェットエンジン材料として、
研究開発されたものですが、靭性に
問題があり採用されませんでした。

 

ダメじゃないですか!

ところが日本で、

Point

窒素が添加された『サーメット』が
開発されてからは、溶射加工や
鋼の高速切削・仕上げ加工用の工具
として使用されるようになりました。

 
 

なぜ、
仕上げ用なんですか?

それは、

Point

『サーメット』の主成分である
チタン化合物が、炭化タングステン
より刃先に鋼が凝着しにくいため、
きれいな加工面に仕上がるからです。

 

なるほど。

ちなみに、『超硬合金』原料の
タングステンは、産出国が
特定の国に偏っているので
供給リスクが非常に高いんです。

へー。

そうだったんですね。

そのため、

Point

タングステンの使用低減や
代替材料の開発を目的として、
『サーメット』を中心に
研究開発が進められています。

 

『超硬合金』の代替として
『サーメット』が
研究されているんですね。

サーメットとは?
  • 『サーメット』は、『超硬合金』の
    代替として、セラミックスの硬さ・
    高温強度と金属の靭性の複合化を
    目的として開発された素材。

  • 『サーメット』はチタン化合物を
    主体とした焼結材で、超硬合金より
    硬く、耐摩耗性に優れていますが、
    熱伝導率が低く欠けやすいという
    特徴がある。

  • 『サーメット』は、
    ジェットエンジンの材料として、
    研究開発されたものだが、靭性に
    問題があり、採用されていない。

  • 『サーメット』の主成分である
    チタン化合物は、炭化タングステン
    より刃先に鋼が凝着しにくいため、
    きれいな加工面に仕上がる。

  • タングステンの使用低減や
    代替材料の開発を目的として、
    『サーメット』を中心に
    研究開発が進められている。

 

まとめ

切削加工や塑性加工において、
加工の高速化や高精度化が
強く求められています。

それに伴い、超微粒超硬合金や
超々微粒超硬合金の生産や
サーメットの研究開発も
進んでいくと思われます。

超硬合金や超微粒超硬合金などの
長所をよく理解して使用することで
コスト削減や精度向上に
つながると思います。

ありがとうございました。