![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
金型の口金に、すべり性の良い
コーティングをしたいんですが
何か良いものないですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
DLCコーティングは
いかがですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
DLCコーティングって
何ですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
炭素系薄膜コーティングで
特徴は、硬くて耐摩耗性があり
低摩擦のコーティングです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
最高200℃ぐらいで使用しますが
問題ないですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
一般的に耐熱温度は、
300℃程度です。
種類によっては
500℃などもあります。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
じゃあ問題ないですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
とりあえず
試してみようかな?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
ただ、注意点があって
DLCコーティングの膜厚は、
1~2μmが一般的です。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
すぐ減ってしまう
ということですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
膜厚が薄いので、
基材表面の状態が
仕上がりに影響される。
ということです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
どういうことですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
基材表面がきれいだと、
きれいな仕上がりに
凸凹だと、
凸凹の仕上がりになる。
ということです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
そういうことですか・・・
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
口金は新しいものが良い
ということですね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
磨いていただくか
新しいものが好ましいです。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
じゃあ、新しく作ります。
出来たらお渡しするので
お願いします。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
分かりました。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
そういえば、
再コーティングは
できるんですか?
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/you1-2.jpg)
再コーティングは可能ですが、
メーカーの除膜方法によっては
基材が荒れるので
念のため確認しておきます。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/yuji2.jpg)
よろしくお願いします。
出来たら連絡します。
という、やりとりがありました。
今回は、DLCコーティングについて
紹介していきたいと思います。
DLCコーティングとは?
DLCコーティングは、
Diamond-Like Carbon
(ダイヤモンド ライク カーボン)
の略称で、
- 高硬度
- 耐摩耗
- 低摩擦
- 凝着を起こしにくい
などの優れた特徴を持つ
表面処理技術のことを言います。
一般的なDLCの、
ビッカース硬さは、HV3000程度で
- TiNコーティングの2倍
- 窒化処理の3倍
- 硬質クロムメッキの4倍
程度の硬度にあたります。
DLCコーティングの構造
DLCコーティングは、
非晶質構造の炭素系薄膜コーティング
のことを言います。
非晶質構造とは、
アモルファスとも呼ばれており
規則的な結晶構造の結晶質と違い
3~4倍の強度と
大きい靭性を得られます。
また非晶質構造は、
原子や分子が乱れた配列をしている
固体のことを言い、
非晶質構造のDLCは、
ダイヤモンド・黒鉛・水素の比率や
金属元素の有無によって
ダイヤモンドに匹敵する硬さを
持たせたり、導電性や耐熱性を
付加させることが出来るなど
様々な特性を持たせることが
出来ます。
そのため、
一括りで、
DLCコーティングと言っても
用途や環境によって、
適合する種類が違うので
注意して選定して下さい。
DLCコーティングの成膜方法
DLCコーティングは、
成膜方法によっても特徴が変わります。
成膜方法は、大きく分けて3種類あり、
簡単に紹介していきます。
DLCコーティングの成膜方法は、
成膜方法と特徴 | ||
種類 | 方法 | 特徴 |
CVD法 |
|
|
PVD法 |
|
|
プラズマ イオン 注入法 |
|
|
DLCコーティングは、
コーティング内の水素の量によって
物性が変化します。
水素を含まないDLCコーティングは、
高硬度となり、
水素を含む量が多くなるほど
硬度は下がる傾向にあります。
DLCコーティングの除膜と 再コーティング
DLCコーティングは、
高硬度で耐摩耗性・低摩擦性という
特性を持っているので
精密金型・治工具・切削工具・
摺動部品など様々な用途で
使用されています。
再生・再利用をする場合、
古いDLCコーティングを除幕する必要が
ありますが、
除膜が難しいという問題がありました。
除膜方法には、
- 機械的に研磨して除膜する。
- 化学的に薬品を使って除膜する。
といった方法が使われます。
これらの方法で除膜すると
基材の寸法が変わったり
表面が粗さが粗くなるといった
基材への負担が大きかったり
除膜に使用した薬品の処理など
再生・再使用には問題がありました。
酸素プラズマを用いた除膜方法
最近では、
酸素プラズマ中のイオン等を
DLC膜の炭素と反応させ、
炭素ガスとして除去する方法が
あるようです。
(私は、まだ試せていません。)
この除去方法は、
基材の肌荒れを抑えて、除膜出来る
というメリットがあるので
今までできなかった、
高価な部品の再生や再利用が
可能になったということです。
再生・再利用を検討されているので
あれば、後々のことを考えて、
メーカーに除膜方法も
確認しておくと良いかもしれません。
DLCの欠点と対策
一言でDLCと言っても
いろんな種類があります。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/nyan2.jpg)
DLCに導電性は
ないですよね。
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/piyo2.jpg)
DLCの耐熱温度は
300℃ですよね。
と言われる
お客様もいらっしゃるように
DLCコーティングに種類がある事を
知らない方が多いです。
そのため、
![](https://60you1.com/wp-content/uploads/2020/08/nyan2.jpg)
使用用途と
DLCコーティングの種類が
合っていなかった。
という話も聞きます。
DLCコーティングの欠点と対策
DLCコーティングは、
素晴らしい特性を持った
コーティングですが
一般的なDLCコーティングは、
- 欠けやすく、破片が混入する。
- 基材との密着性が悪い
- 最大2μm程度の膜厚に
限定される。
といった欠点もあります。
ところがDLCコーティングは、
ダイヤモンドや黒鉛の比率や
水素の比率・ほかの金属の有無によって
硬度・耐熱・導電性といった
色々な改善・対策が出来る
コーティングです。
そこで、DLCコーティングをかけた時の
問題と改善・対策をまとめてみました。
問題と対策 | ||
特性 | 問題 | 改善・対策 |
高硬度 |
|
|
膜厚 |
|
|
密着性 |
|
|
耐熱 |
|
|
まとめ
DLCコーティングとは、
高い耐摩耗性で低摩擦
といった特性を持った
炭素系薄膜コーティングを指します。
ただし、明確な定義がなく、
構造や成膜方法・添加物をかえることで
多様なDLCコーティングが存在しています。
そのため、同じDLCと言っても
用途によって特性の違うDLCを
選定する必要があるので、
コーティング前に、十分に検討して
使い分ける必要があります。
また、製法や種類によっては
再生・再利用が出来ない可能性があるので
高価な基材に再生を考えて、
DLCコーティングをする場合は、
除膜や再コーティングについても
調査しておいたほうが良いと思います。
ありがとうございました。