焼き入れ・焼き戻しとは?熱処理の種類や違い・処理方法を紹介します

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表面処理

部品の追加工を
お願いできませんか?

問題ないですよ。

この部品です。

追加工お願いします。

あれ?もしかして、

焼き入ってませんか?

焼きが入ってるかは
正直、分かりません。

ヤスリでこすった感じだと

焼きが入ってますね。

焼きが入っていると
何かまずいですか?

まずくはないですが、

思っているより
価格が高くなると
思いますよ。

えっ!

そうなんですか?

理由を教えてもらって
いいですか?

焼きを入れると、
材料が硬くなってしまいます。

なので、通常の加工方法では、
加工できなくなるので、
価格が高くなるんです。

なるほど・・・。

焼き入れについて
教えてもらっても
いいですか?

分かる範囲でよければ
お教えしますよ。

では、
よろしくお願いします。

と言うやりとりがありました。

テーマ

今回は、熱処理について
簡単に分かりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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熱処理とは?

そもそも、
熱処理って何ですか?

熱処理は、
JIS G 0201に、

鉄鋼製品が全体として又は部分的に
熱サイクルにさらされ、
その性質及び/又は組織に
変化をきたすような一連の操作。

備考
鉄鋼製品の化学成分がこの操作の
間に変化することもある。

と、記載されています。

難しくて
良く分かりません。

ですよね。

Point

簡単に説明すると
『赤めて冷やす』です。

 

参考:金属に命を吹き込む熱処理技術
日本金属熱処理工業会

つまり、

Point

金属熱処理とは、
加熱(赤める)と冷却(冷やす)の
組み合わせによって、製品の形を
変えることなく、性質を向上させる
加工技術のことを言います。

 

『赤めて冷やす』は
分かりやすくて
良いですね。

『性質を向上させる』と

ありますが、具体的に
教えてもらっていいですか?

ここで言う性質は、

Point
  • 強さ
  • 硬さ
  • 粘さ
  • 耐衝撃性
  • 耐摩耗性
  • 耐食性
  • 被削性
  • 冷間加工性

等を指しています。

 

過酷な働きをする部品に
熱処理が必要なんですね。

そうなんです。

熱処理とは?
  • 熱処理の定義は、
    JIS G 0201に記載されている。

  • 日本金属熱処理工業会さんの
    パンフレットには『赤めて冷やす』
    と記載されている。

  • 金属熱処理とは、加熱と冷却の
    組み合わせによって、製品の形を
    変えることなく、性質を向上させる
    加工技術のこと。

  • 熱処理は、強さ・硬さ・粘さ・
    耐衝撃性・耐摩耗性などの
    性質を向上させる。

 

熱処理の種類

いつの間にか、
熱処理の話に
なってましたが、

熱処理と焼き入れは
違うんですか?

違うと言いますか、
焼き入れは、
熱処理の中の一つなんです。

熱処理は大きく分けて

Point
  • 全体熱処理(一般熱処理)
  • 表面熱処理
  • 特殊熱処理

があります。

 

3種類も熱処理が

あるんですね。

この全体熱処理の

代表的な処理に

Point
  • 焼き入れ
  • 焼き戻し
  • 焼きなまし
  • 焼きならし

があります。

 

ここに焼き入れが

あるんですね。

次は、表面熱処理ですが、

Point
  • 高周波焼き入れ
  • 浸炭焼き入れ
  • 窒化処理

が代表的な処理になります。

 

高周波焼き入れや

窒化処理は
聞いたことがあります。

最後は、
特殊熱処理ですが

Point
  • 固溶化熱処理
  • 析出熱処理
  • 時効処理
  • 磁性処理
  • サブゼロ処理

等があります。

 

参考:その他特殊熱処理
武藤工業株式会社

一口に熱処理と言っても
色んな処理方法が
あるんですね。

熱処理の種類
  • 熱処理を大きく分けると、
    全体熱処理(一般熱処理)
    表面熱処理・特殊熱処理がある。

  • 全体熱処理は、焼き入れ・
    焼き戻し・焼きなまし・
    焼きならしが代表的な処理。

  • 表面熱処理は、高周波焼き入れ・
    浸炭焼き入れ・窒化処理
    が代表的な処理。

  • 特殊熱処理には、固溶化熱処理
    析出熱処理・時効処理・磁性処理・
    サブゼロ処理等がある。

 

全体熱処理とは?

全体熱処理について
詳しく教えて下さい。

まずは、『焼き入れ』から

紹介していきます。

焼き入れは、

Point

金属材料を硬くするために行う
熱処理で、鋼をある温度以上に加熱し
オーステナイトと呼ばれる組織にした後
水あるいは油によって、急冷し
マルテンサイトという組織にします。

 

オーステナイトとか
マルテンサイトって

何ですか?

オーステナイトとは、

Point

赤くなるまで熱した時に
炭素原子の並びが
変化する状態を言います。

 

『赤めて』
というやつですね。

オーステナイトは、

Point
  • 軟らかい
  • 粘い
  • サビに強い
  • 磁石につかない

という特性を持っています。

 

このオーステナイトを

急冷すると

Point

炭素原子は、拡散する時間が無くなり
マルテンサイトという別の結晶体に
変態します。

 

マルテンサイトになると

どうなるんですか?

マルテンサイトは、

Point

炭素量が多いほど硬くなります。
ただし、脆い性質も持っています。

 
 

脆いのは
問題ないんですか?

問題ですよ。

なので、

『焼き戻し』を行い
硬さと靭性の調整をします。

焼き戻しって

粘さを出すために

行うんですね。

そうなんです。

また、焼き戻しは
硬さと靭性の調整以外にも

Point
  • 残留応力の除去
  • 寸法・形状の安定化

を目的としても行います。

 

焼き入れと焼き戻しを
セットで行うことが
一般的です。

焼き入れと焼き戻しは

ワンセットなんですね。

焼き戻しには、

Point
  • 高温焼き戻し
  • 低温焼き戻し

の2種類があります。

 

高温焼き戻しは、

Point

約450~650℃の範囲で再加熱し
冷却します。
高温焼き戻しによって生まれた組織を
ソルバイトといい、
硬さは、マルテンサイトより劣りますが
粘い性質が付与されます。

 

低温焼き戻しについても

教えて下さい。

低温焼き戻しは、

Point

約100~200℃程度の低い温度で行い
硬く・耐変形・耐摩耗性に優れた性質を
得ることが出来ます。

 

高温焼き戻しは、靭性

低温焼き戻しは、硬さを
必要とする部品に
処理するんですね。

ちなみに、

Point

300~450℃の温度範囲で
焼き戻しを行うと、耐衝撃性が
急激に低下する、
『低温焼き戻し脆性』
という現象がおこるので
この範囲を避ける必要があります。

 

参考:硬さと粘り強さをあたえる焼入れ焼き戻し
株式会社不二越   

次は、
『焼きなまし』です。

お願いします。

焼きなましは、

Point

切削しやすい鋼にする熱処理で、
オーステナイトになるまで加熱し
炉の中でゆっくりと冷却し
パーライトという組織にする処理
のこと言い、『アニーリング』や
『焼鈍』とも呼ばれています。

 

簡単に言うと、

鋼を柔らかくする
処理のことを言うんですね。

通常、工具鋼メーカーから
出荷される鋼は、
焼きなまし組織で
出荷されます。

最後に『焼きならし』
について教えて下さい。

焼ならしは、

Point

鋼を標準状態にする熱処理のこと言い
オーステナイトまで加熱し、
空冷させる処理のことを言い
『焼準』とも呼ばれています。

 

標準状態って

どういう意味ですか?

鋼は、

Point

様々な製造方法で作れらていますが
どの方法で製造された鋼でも
そのままでは、ひずみが生じたまま
になってしまい、機械的性質が
十分に得られません。

 

そのため、
残留応力やひずみを
除去する必要があります。

製造や加工工程ででた
内部応力を除去する

処理なんですね。

オーステナイトまで加熱した後
水や油で冷却するのは
『焼き入れ』
炉の中で冷却するのは
『焼きなまし』

空冷するのが
『焼きならし』

ということが分かりました。

 

全体熱処理とは?
  • 焼き入れとは、金属材料を加熱し
    オーステナイト組織にした後、
    急冷し、硬くする熱処理。

  • オーステナイトとは、
    赤くなるまで熱した時に炭素原子の
    並びが変化する状態。

  • オーステナイトを急冷すると
    炭素原子は、拡散できずに
    マルテンサイトという、
    硬い別の結晶体に変態する。

  • 焼き戻しは、焼き入れの後、
    硬さと靭性の調整のために行う。

  • 焼きなましは、
    切削しやすい鋼にする熱処理で、
    アニーリングや焼鈍
    とも呼ばれている。

  • 焼ならしは、
    鋼を標準状態にする熱処理で、
    焼準とも呼ばれている。

 

表面熱処理とサブゼロ処理

『表面熱処理』についても
教えてください。

 

表面熱処理には、

Point
  • 表面焼き入れ法
  • 拡散浸透法

の2つがあります。

 

全体焼き入れと
表面焼き入れは
何が違うんですか?

全体焼き入れは、
ガスや電気を熱源にした
加熱炉を使って全体を
加熱しますが

表面焼き入れは、鋼の
表面層のみを加熱・急冷し、

マルテンサイト組織を
形成する方法です。

表面だけを
焼入れするんですね。

表面焼き入れ法の
代表的な処理に、

 

Point
  • 火炎焼き入れ
  • 高周波焼き入れ
  • レーザー焼き入れ
  • 電子ビーム焼き入れ

等があります。

 

『火炎焼き入れ』って

一番焼いてるって

感じしますね。

火炎焼き入れは、

Point

アセチレンガス・プロパンガス・
天然ガス等のガスの炎で加熱し、
急冷させる焼入れ方法です。

 

どんな特徴があるんですか?

形状や寸法に制限がない

というメリットがあります。

反面、炎の調整が難しいので
温度制御が困難という

デメリットもあります。

では次に、
『高周波焼き入れ法』
について教えて下さい。

高周波焼き入れは、

Point

高周波コイルにより、材料表面に
誘導電流を発生させ、加熱し、
水冷する処理です。

 

高周波焼き入れの特徴を

教えて下さい。

高周波焼き入れは、
低コストで処理できるので
最も多く利用されている
表面焼入れ法なんです。

『レーザー焼き入れ』と

『電子ビーム焼き入れ』
についても教えて下さい

レーザー焼き入れと

電子ビーム焼き入れは
よく似た処理で、

Point

レーザーもしくは電子ビームを
材料表面に照射し、
急速加熱します。

 

冷却しないんですか?

レーザーもしくは
電子ビームが切れると

材料に熱をとられるので
強制冷却が不要な
熱処理なんです。

レーザーと電子ビームは

何が違うんですか?

単純に、

Point

レーザーは『光』で大気中でも
処理が可能なんですが、
電子ビームは『電子』の粒子なので
クリーン雰囲気下での処理となります。

 

高周波焼き入れと
比べてどうなんですか?

高周波焼き入れと比べると
非常にクリーンな処理であり、
ひずみや変形も少ないです。

ただ、処理コストが高いので
小さい品物や刃先の処理に
多く利用されています。

では、『拡散浸透法』
についても教えて下さい。

拡散浸透法は、

Point

材料の表面に各種元素を
拡散浸透させることで、
表面に硬化層を作る熱処理のこと言い

  • 浸炭焼き入れ
  • 窒化処理

等が代表的です。

 

では、『浸炭焼き入れ』
から教えて下さい。

浸炭焼き入れは、

Point

表面層の炭素濃度を高めて
焼き入れする方法で、
表面層にのみマルテンサイトの
硬化層が形成さます。

 

内部はどうなって
いるんですか?

内部は低炭素のままなので
硬さが低く、靭性が良い
ものになります。

表面が硬く、内部は軟らかい
処理方法なんですね。

浸炭焼き入れの方法は、

Point
  • 塩浴浸炭
  • ガス浸炭
  • 真空浸炭

等があります。

 

『窒化処理』についても

教えて下さい。

窒化処理は、

Point

鋼の表面に、窒素を拡散浸透・
吸収させて硬化層を得る処理
を言います。

 

窒化処理の特徴を
教えて下さい。

窒化処理の特徴は、

Point

焼き入れ・焼き戻しの必要がなく
低温で処理を行うので寸法変化や
熱ひずみが少ないんです。

 

窒化処理の方法に

Point
  • 塩浴窒化
  • ガス窒化
  • プラズマ窒化

等があります。

 

特に、プラズマ窒化は
無公害という特徴が
あります。

へー。

そうなんですね。

ちなみに、たまに聞く
『サブゼロ処理』
って何ですか?

サブゼロ処理は、

Point

0度以下の温度に冷却する
処理のことを言い、
深冷処理とも呼ばれています。

 

0度以下に冷却すると

どうなるんですか?

焼き入れ後に
サブゼロ処理を行うと

Point

焼き入れ後の残留オーステナイトが
マルテンサイト化するので
硬度上昇・硬度の均一化・
内部応力の減少ができ、
機械的性能を向上させます。

 

硬度上昇や経年劣化を
抑制させるんですね。

参考:材料を強くする熱処理
株式会社不二越

まとめ

熱処理は、『赤めて冷やす』の通り
加熱と冷却により、性能を向上させる
加工技術です。

激しい摩耗や摩擦が起こる過酷な環境で
使用される部品や安全を確保する部分に
使われています。

焼き入れ処理を行うと、
材料が硬くなるので通常の切削加工では
歯が立たなくなり特殊な加工が
必要になるので注意して下さい。

ありがとうございました。