塑性変形と弾性変形の違い?金属と樹脂の耐力とたわみとたわみ許容値

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製品を置いているトレイが

変形して元に戻りません。

塑性変形したんですね。

塑性変形って何ですか?

載せている製品をトレイから

降ろしても、元に戻らない

変形のことを言います。

どれぐらい使われたんですか?

1年程度で徐々に変形しました。

材質は、SUS304です。

厚さが薄いです。

厚くしましょう。

女性も使うので、

できれば軽くしたいです。

どうすればいいですか?

材質と厚みを見直しましょう。

よろしくお願いします。

というやりとりがありました。

今回は、塑性変形について

考えていきたいと思います。

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弾性変形と塑性変形とは

製品などのものを載せたり、

吊り上げたりすることで、

かかる力のことを

  • 荷重

と言います。

この荷重による変形を

  • 弾性変形
  • 塑性変形

と言います。

 

簡単に説明すると、

熱や力といった荷重を取り除いたときに

元の形に戻ることを

  • 弾性変形

 

それ以上に、荷重をかけてしまい

荷重を取り除いても、

元に戻らなくなってしまうことを

  • 塑性変形

と言います。

 

トレイのたわみ計算

今回のトレイが、

塑性変形してしまった原因を

考えていきたいと思います。

トレイの資料

  • 材質:SUS304
  • サイズ:500×250×2(mm)

を使用しており、
使用状況は、

  • 指示方法:500mmの両端を支持
  • 荷重:20kgf
  • 集中荷重

ということが確認できました。

 

計算方法は、難しいので

たわみ 計算
検索

で検索すると、

いろいろな計算ツールが出てくるので

使い勝手の良いもので

計算してみてください。

 

今回の条件での計算結果は、

たわみ合計:約16.34mm

最大応力:147MPa

プレート重量:約2Kg

ということが分かりました。

 

しかも、話を聞くと

4Kgのものを積み上げて
20Kgにしてから

しばらく保管する

ということなので、

積み上げるときに発生する衝撃荷重や

保管時の疲労変形も考えられます。

応力とは、
外からの力を受けた時に
部材が元に戻ろうとする力

 

塑性変形の対策

今回トレイが、塑性変形した原因は

  • 衝撃荷重による変形
  • たわみ許容値を超えて変形
  • 弾性限度を超えた

などいろいろ考えられますが、

お客様の要望に応えられないと

意味がないので

情報を聞き出すことにしました。

変更しないものはなんですか?

製品と温度です。

温度は常温です。

じゃあ、出来るのは、

トレイの変更だけですね。

そうです。

SUS304の板厚を

2→3mmにしませんか?

たわみ量16.34→約5mm
になります。

重くなりませんか?

2Kg→3Kgになります。

女性も使うので、

軽量化したい。

MCナイロンはどうですか?

厚み14mmで、たわみ3.15mm

プレート重量約2Kgです。

14mmもとれません。

アルミはどうですか?

A5052のアルミの

厚み6mmで

たわみ1.72mm

プレート重量約2Kgです。

6mmならなんとか

大丈夫です。

アルミでためして

みましょう!

曲げたり補強はいかがですか?

あまりしたくはありません。

ということで、

アルミニウム合金 A5052
500×250×6mmのプレートを
作ることになりました。

塑性変形させる要因

今回の塑性変形は、

1年程度で使えなくなったことから

様々な要因があると思います。

 

専門の設計の方からは

考え方が違う!!

とおしかりを受けるかもしれませんが、

プレートの厚みが薄くて

たわみすぎなのは間違いないです。

 

もともと、安全率は2~3と低いようなので

衝撃荷重を受けたら変形するのは

間違いないですが、

今回、目を付けたのは、

たわみ許容値です。

たわみ許容値は、
建築や鉄骨などで使用されているもので

  • 鋼構造建築基準では、1/300
  • アルミフレームでは、1/1000

と言われています。

このたわみ許容値は、

私が勝手に参考にしている値なので

あくまで参考値としてください。

 

SUS304のたわみ許容値を

勝手に1/300としたとき

500mmの長さの場合、

たわみ許容値は、1.6665mm

 

A5052の許容たわみ値は、

勝手に1/1000としたとき

500mmの長さの場合、

たわみ許容値は、0.5mmです。

 

安全率やたわみ許容値を考えて

本当は、もう少し厚くしたいところですが

装置の都合上、難しいようです。

 

ずっと使えるものを提案できれば

いいのですが、

今回のように

今よりは・・・・

ということも多々あります。

 

どのような結果になるかは

しばらく使ってみないと分かりませんが、

今よりは、

よくなるはずだと思っています。

 

まとめ

変形して
元に戻らないなぁ。

ということはありませんか?

それは、塑性変形です。

乱暴に扱ったり、

勢いよく荷物を載せたりする

衝撃荷重であったり

そもそも、

設計不良がなのかもしれませんし、

継続して使用することでおこる

疲労変形など塑性変形の原因は、

様々だと思います。

 

今回は、装置との関係で、

中途半端な回答になってしまいました。

ただ、塑性変形をおこしてしまい、

次の厚みは、どれぐらいに

しようかな?

と考えてる方の参考になれば

うれしいです。

 

ありがとうございました。