オーバーホール後の罠!ウォーム減速機のオイルゲージが破損した意外な原因と「慣らし運転」の重要性

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ウォーム減速機の外観と放熱フィンのクローズアップ。オーバーホール後のトラブル検証。 おすすめ
想定外のオイルゲージ破損トラブルを検証。

先日、

ウォーム減速機の
油漏れがひどい。

という依頼があったので、
減速機をオーバーホールさせて
いただきました。

しかし、オーバーホールからわずか2日。
「完璧に直した」という自信が、
一本の電話で吹き飛びました。

また、油が漏れている
んだけど…….。

という連絡を受けたので
確認しに行ってきました。

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現場に駆けつけ、
脂汗をかきながらカバーを外した
私が見たのは、予想外の光景でした。

🔎 現場検証

【原因究明】
新品のオイルゲージが、
なぜ数日で破損したのか?

油漏れの正体は、オイルゲージの
耐熱温度を超えた「熱」による変形と
クラック
でした。
「透明なら何でもいい」は大間違い。
オイルゲージに隠されたスペックの
正体から、ウォーム減速機が持つ
発熱メカニズムまで、徹底検証します。

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7年越しの油漏れを完治せよ!内部調査で見えた劣化の真実

今回のミッションは、油漏れが深刻化した
ウォーム減速機の修復です。
設置から7年間、一度もメンテナンス
してこなかったという減速機を
分解・調査したところ、
漏れの原因が明確になりました。

🔍 内部調査の結果
  • オイルシールの著しい劣化:
    ゴムの硬化・弾性喪失。
  • 軸(シャフト)の段付摩耗:
    接触面が削れて細くなっている。

この2点が重なり、
密閉性が完全に失われていました。

清掃後、支給いただいた
ベアリング・オイルシール、
そして摩耗した軸を新品へと交換し、
心臓部をリフレッシュさせました。

「ただパーツを替えるだけ」
では直りません。
摩耗した軸まで見逃さずに
手を入れることで、再び現場で
戦える状態へと復旧させました。

コンマ数ミリ以下のシビアな据付調整。そこで受けた「追加の依頼」

組み上がった減速機は、
およそ70kgの重量級。
しかも設置場所が狭く複雑なため、
レバーブロックを駆使して
慎重に吊り上げ、コンマ数ミリ以下の
狂いも許さないシビアな芯出しを
行いながら据え付けを完了させました。

🛠️ 現場の判断:
オイルゲージの追加交換

据え付けが完了し、いよいよオイル注入。
そのタイミングでお客様から
ひとつのご依頼をいただきました。
「ゲージが汚れて中が見えにくいから、
ついでに予備の新品に変えておいてよ」

オイル量は、多すぎれば
「異常発熱や漏れ」を誘発し、
少なすぎれば
「潤滑不足によるギアの焼き付き」
を招く極めて重要な管理項目。
正確な油面を把握するため、
支給された新品ゲージへの交換は、
現場判断として「正解」のはずでした。

●まだ、誰も知らない犯人。

この「良かれと思って行った交換」が、
後に予想だにしないトラブルを
引き起こす「真犯人」になるとは……。

再発した油漏れの盲点!新品ゲージが破損した「真犯人」とは

100分の1ミリを争うシビアな
芯出し調整
を行い、
試運転も立会いのもとクリア。

万全の状態で現場を後にしました。
しかし、その直後に届いた
「オイルゲージ破損」の一報。

なぜ、新品のオイルゲージが壊れたのか?

据え付け不良か、潤滑油の不足か、
あるいは選定容量のミスか……。
現場へ急行し、検証した結果、
ひとつの「盲点」が浮かび上がりました。

技術者

「スペックは満たしていたはず。
一体、何が起きたのか……?」

💡 現場検証の結果

真犯人は「想定外の温度上昇」と
「ゲージの耐熱限界」でした。

支給いただいたオイルゲージの
最高使用温度は90℃
対して、オーバーホール直後の
ウォーム減速機は「ならし運転」が
不足しており、一時的な摩擦熱で
この上限を突破。
耐えきれなくなった樹脂が熱変形し、
破損に至ったと推測されます。

※据え付け精度や油量、容量選定については
再確認しましたが、異常は見られませんでした。
やはり原因は、この「温度のミスマッチ」に
集約されます。

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潤滑の選定ミスも同様の事態を招きます。

【解決編】ウォーム減速機の宿命を克服する「ならし運転」の極意

ウォーム減速機は、他のギアに比べて
「滑り接触」の割合が非常に高く、
使い始めに最も熱を持ちやすいという
特性があります。
そのため、多くのメーカーでは
取説に以下のステップでの
慣らし運転を推奨しています。

標準的な「ならし運転」のステップ例

Step 1
定格トルクの
1/4 トルク
Step 2
定格トルクの
1/2 トルク
Step 3
定格トルクの
3/4 トルク

数時間程度 かけて、歯面の当たり
(なじみ)を確認しながら
徐々に負荷を上げていきます。

具体的な手順や時間は、必ずメーカーの
 取扱説明書を確認してください。

💡 CHECK POINT

ならし運転の「真の目的」とは?

それは、歯面の「当たり(なじみ)」
完璧にすることです。
初期の微細な凹凸を低負荷でなだらかに
削り取ることで、接触面積が広がり、
摩擦係数が安定します。
この工程を飛ばしていきなり全負荷で
回すと、局所的な摩擦熱が急上昇し、
今回のオイルゲージ破損のような
「発熱異常」を招く原因となるのです。

まとめ:ウォーム減速機の油漏れを防ぐ!慣らし運転とパーツ選定の重要性

Summary(まとめ)

ウォーム減速機の「滑り伝動」
に発熱はつきもの。
ですが、100℃超の異常発熱は
運用上の問題が潜むサインです。

  • ならし運転の徹底:
    OH直後は負荷を段階的に上げ、
    歯面を馴染ませるのが鉄則。
  • 耐熱スペックの確認:
    樹脂部品(ゲージ等)の限界温度を
    把握し、余裕を持った選定を。
  • 一言の添えでリスク回避:
    「ならし不足は破損の恐れあり」
    の助言が、設備と信頼を守ります。

初期運用のリスク管理を周知する
大切さを痛感した一件でした。

常にメカニズムに立ち返り、
一歩先のアドバイスを。

正しい知識と丁寧な運用で、
止まらない現場を。

今は『古い会社を中から変える』
という挑戦の真っ最中です。
そのリアルなドタバタ劇を
物語にしてみました。
もしよかったら、
第1話だけでも覗いてみてください。
📖 【第1話】密室の甘い毒

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。