オイルシールの漏れ原因と対策とは!規格・種類・構造・メーカー紹介

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減速機から油が
漏れているんです。

急いで直して
もらえませんか?

オイルシールが
ついているところから
油が漏れていますね。

オイルシール
ですか・・・。

前回は、
いつ交換しましたか?

多分、
一度も交換したこと
ないと思います。

オイルシールは、
消耗品なので定期的に

交換したほうが良いですよ。

オイルシールを
交換しなかったら
どうなりますか?

今回のように
油が漏れます。

しかも、硬化や変形したり
異物の付着などによって
主軸が摩耗する
原因にもなります。

オイルシールって
大事なんですね。

一度確認してみますが
主軸が摩耗してなければ
オイルシールの交換で

大丈夫だと思います。

オイルシールの型式を
減速機メーカーに
問い合わせてみます。

ほかにも、
Oリングやガスケットなど
があれば手配お願いします。

出来ればベアリングも

交換したほうが良いですよ。

分かりました。

部品図もらって
手配しておきます。

ばらして確認しましたが、

主軸は摩耗して
いませんでした。

良かった~!

もし、
主軸が摩耗していたら

どうなってました?

主軸の摩耗を直すために
溶射加工で肉盛りする
必要がありました。

関連記事
 

次からは、早めに
点検・交換します。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、オイルシールについて
簡単に分かりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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オイルシールとは?

そもそも、
『オイルシール』
って何ですか?

オイルシールは、
JIS B 2402で

Point

変形可能な部分と、通常、それに
接続する金属性の保持部とをもち、
リップ先端によって与えられる
半径方向の内向き又は外向きの
締付け力に基づいて流体又は
グリースの漏れを
防止することができるシール。 

 

と定義されています。

正直ちょっと
良く分からないです。

簡単に説明すると

Point

オイルやグリースなどの
密封された流体が、装置から外部に
漏れ出ないことを目的とした
シール材のことを言います。

 

シール材って何ですか?

シール材とは、

Point

液体や気体が漏れないように
隙間をふさぐもののことを
言います。

 

そんな重要なもの
なんですね。

正直、装置に組み込まれて
いるものなので、あまり
なじみがありません。

そうですよね・・・。

ただ、オイルシールには、

他にも

Point

外部からのほこり・水・泥・
ゴミといった、異物の浸入も
防いでくれる役割もあります。

 

装置の中にコンタミが
浸入するのも防いで
くれるんですね!

他にも、

Point
  • 比較的低トルクで使用できる。
  • 構造が簡単。
  • 取り付けスペースが小さい。
  • 低速でも高速でも使用できる。
  • 軸ブレにも追従する。
  • 密封性に優れている。
  • 耐油性がある。
  • 取付交換が簡単。
  • 回転軸用シール材で最も安価。

等の特徴があります。

 

オイルシールって
優れたシール材
だったんですね。

ただし、

Point

使用する目的や環境・条件
によって種類・構造・形状・
材質を選定する必要があるので
注意が必要です。

 
オイルシールとは?
  • オイルシールは、
    JIS B 2402に
    規定されている。

  • シール材とは、液体や気体が
    漏れないように隙間をふさぐ
    もののこと。

  • オイルシールは、外部からの
    異物の浸入も防いでくれる
    ダストシールの役割もある。

  • オイルシールは、密封性が
    高く、取扱いが簡単なのに
    回転軸用シール材で最も安価。

  • 使用する目的や環境・条件
    によって種類・構造・形状・
    材質を選定する必要がある。

 

オイルシールの種類と構造

オイルシールの
種類と構造について
教えて下さい。

オイルシールは、

Point

JIS B 2402で

  • ばね入り回転軸用オイルシール
  • ばねなしオイルシール

の2種類に分類されています。

 

ばね入りとばねなしが

あるんですね。

しかも、『ばね入り
回転軸用オイルシール』は、

Point

『ゲージ圧0~30KPaの
低圧条件で使用し、構造によって
6タイプに分類する。』
と規定されています。

 

ばね入りだけで

6タイプもあるんですか!

そうなんです。

『ばね入り回転軸用
オイルシール』は、

ばね入り回転軸用オイルシールの構造区分例
タイプ 名称
タイプ1 ばね入り外周ゴム
タイプ2 ばね入り外周金属
タイプ3 ばね入り組立形外周金属
タイプ4 ばね入り外周ゴム保護リップ付
タイプ5 ばね入り外周金属保護リップ付
タイプ6 ばね入り組立形外周金属保護リップ付

の6タイプがあります。

違いは何ですか?

ばね入り回転軸用
オイルシールは
『JIS B 2042』で、

タイプ1

Point

環の外周全面がゴム材質で覆われ、
かつ接着されているオイルシール。

 

タイプ2

Point

環にゴム材料が接着されているが
環の外周全面がゴム材質で
覆われていないオイルシール。

 

タイプ3

Point

内環及び外環をもち、
その環の一つにシールリップが
接着されているオイルシール。

 

タイプ4

Point

環がゴム材質で覆われ、
接着しており、かつ
保護リップがあるオイルシール。

 

タイプ5

Point

環にゴム材質が接着されているが
環の外周は、ゴム材質で
覆われていない保護リップがある
オイルシール。

 

タイプ6

Point

内環及び外環をもち、その環の一つに
シールリップが接着されており、かつ
保護リップがあるオイルシール。

 

と規定されています。

よく分かりません。

簡単に説明すると、

Point
  • タイプ1は、
    外周ゴムのオイルシール。
  • タイプ2は、
    外周金属のオイルシール。
  • タイプ3は、内環・外環の部品から
    なる外周金属のオイルシール。
  • タイプ4は、タイプ1に
    保護リップがついたオイルシール。
  • タイプ5は、タイプ2に
    保護リップがついたオイルシール。
  • タイプ6は、タイプ3に
    保護リップがついたオイルシール。
 

です。

参考:オイルシール&Oリング-KOYO
株式会社ジェイテクト

参考資料をみると

タイプ1.2.4.5が標準で

タイプ3.6は特殊オイルシール
扱いになるんですね。

そうですね。

Point

タイプ3と6は、
外径寸法が150mm以上の
大型寸法で使用されることが
多いみたいです。

 

ところで保護リップって

なんですか?

保護リップは、

Point

ダストリップ・補助リップとも呼ばれ
通常のオイルシールより、異物の
浸入を防止するためについており
ダスト・水・ゴミなど異物の多い
環境で使用します。

 

なるほど。

では、外周がゴムと金属の

違いは何ですか?

それは、

Point

オイルシールをはめ込む場所の
材質によって使い分けます。
アルミやプラスチックのような
熱変形・熱膨張が大きい材質の場合は
外周ゴムのオイルシールを使います。

 

なるほど。

では、

『ばねなしオイルシール』
について教えて下さい。

『ばねなしオイルシール』
には、

ばねなしオイルシールの構造区分例
タイプ 名称
タイプ1 ばねなし外周ゴム
タイプ2 ばねなし外周金属
タイプ3 ばねなし組立形外周金属

の3種類があります。

ばね入りとばねなしの

違いは何ですか?

 

『ばねなしオイルシール』は

Point

低速回転用として使用されるほか、
グリースやダスト用のシールや
他のオイルシールと併用されます。

 

メーカーが独自で開発した
オイルシールなどもあるので
使用前には確認して下さい。

 
オイルシールの種類と構造
  • オイルシールは、
    『JIS B 2402』で
    規定されている。

  • 『ばね入り回転軸用
    オイルシール』と
    『ばねなしオイルシール』
    の2種類に分類される。

  • 『ばね入り回転軸用
    オイルシール』は、構造によって
    6タイプに分類される。

  • 保護リップは、ダストリップ・
    補助リップとも呼ばれ
    通常のオイルシールより
    異物が多い場所で使用される。

  • 外周の材質は、オイルシールを
    はめ込む場所の材質によって
    使い分ける。

  • アルミやプラスチックといった
    熱変形・熱膨張が大きい材質に
    外周ゴムのオイルシールを使う。

  • 『ばねなしオイルシール』は、
    構造によって3タイプに
    分類される。

  • 『ばねなしオイルシール』は、
    低速回転用やグリース・ダスト
    のシールや他のオイルシールと
    併用さることが多い。

 

オイルシールの材質

オイルシールのゴムには
どんな種類があるんですか?

もともと、
オイルシールのリップ材には、
皮が使用されてたんです。

ただ、今ではほとんど
合成ゴムが使われています。

Oリングと同じように

合成ゴムが使用されて
いるんですね。

 

一般的に使用されている
オイルシールの材質と
特徴をまとめてみました。

各種ゴム材質の使用温度と特徴
名称 使用温度範囲 特徴
ニトリルゴム
(NBR)
-30℃~100℃ 最も使われている
材質で、耐熱・
耐寒耐・摩耗性の
バランスが良い。
水素化
ニトリルゴム
(HNBR)
-30℃~140℃ ニトリルゴムより、
耐熱性・耐摩耗性に
優れている。
アクリルゴム
(ACM)
-20℃~150℃ ニトリルゴムより、
耐熱性が優れている。
シリコーンゴム
(VMQ)
-50℃~170℃ 広い温度範囲で
使用できる、
耐候性に優れたゴム。
フッ素ゴム
(FKM)
-20℃~180℃ 高い耐熱性をもち、
優れた耐油性と
耐薬品性も併せもつ
性能が高いゴム。

ゴム材質の種類も

たくさんあるんですね。

そうです。

とはいえ、

Point

オイルシールの材質は、
『ニトリルゴム(NBR)』が
80%と言われているほど
ほとんどニトリルゴムです。

 

そうなんですね。

先ほどの材質以外にも

Point
  • エチレンプロピレンゴム
    (EPDM)
  • ブチルゴム
    (IIR)
  • スチレンブタジエンゴム
    (SBR)
  • クロロプレンゴム
    (CR)
  • パーフロロゴム
    (FFKM)
  • 四フッ化エチレン樹脂
    (PTFE)
 

等があります。

ニトリルゴムより
耐油性が必要な場合は、

  • 水酸化ニトリルゴム
  • フッ素ゴム

ニトリルゴムより

耐熱性が必要な場合は、

  • 水酸化ニトリルゴム
  • アクリルゴム
  • シリコーンゴム
  • フッ素ゴム

ニトリルゴムより

耐寒性が必要な場合は、

  • シリコーンゴム

ニトリルゴムより

耐薬品性が必要な場合は、

  • フッ素ゴム
  • パーフロロゴム
  • 四フッ化エチレン樹脂

を検討してみては
いかがでしょうか?

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オイルシールの材質
  • オイルシールのリップ材は、
    最初、皮が使用されていた。

  • 現在は、ほとんど
    合成ゴムが使われている。

  • 様々な材質があるが、
    オイルシールの80%は、
    NBRが使われている。

  • NBRより耐油性が必要な場合、
    水酸化ニトリルゴム・フッ素ゴム
    などがある。

  • NBRより耐熱性が必要な場合、
    アクリルゴム・シリコーンゴム
    フッ素ゴムなどがある。

  • NBRより耐寒性が必要な場合、
    シリコーンゴムなどがある。

  • NBRより耐薬品性が必要な場合、
    フッ素ゴム・パーフロロゴム・
    四フッ化エチレン樹脂
    などがある。

 
 

オイルシールメーカーと型式比較

オイルシールのメーカーは

どのくらいあるんですか?

オイルシールの
メーカーさんは

Point
  • NOK株式会社
  • 光洋シーリングテクノ株式会社
  • 武蔵オイルシール工業株式会社
  • 株式会社荒井製作所
  • 株式会社東洋オイルシール製作所

等があります。

 

結構ありますね。

まだまだありますが、

とりあえず5社だけ

あげさせてもらいました。

簡単に比較表を

作成してみたので

参考にして下さい。

ばね入り回転軸用オイルシール型式比較表
タイプ NOK KOYO 武蔵 荒井 東洋
タイプ1 SC MHS AD S SO
タイプ2 SB HMS AC   SM
タイプ3   HMSH ACS-2   SA
タイプ4 TC MHSA UE SD TO
タイプ5 TB HMSA UD   TM
タイプ6   HMSAH UDS-2   TA

組立形は、
あまり生産されて
いないんですね。

そうですね。

型式があっても特注扱いに
なっているようです。

次は、
ばねなしオイルシールの

型式比較表です。

ばねなしオイルシール型式比較表
タイプ NOK KOYO 武蔵 荒井 東洋
タイプ1 VC MH KE SO VO
タイプ2 VB HM KD   VM
タイプ3          

ばねなしオイルシールには

タイプ3がないんですか?

私には、
確認できなかったので

知っていたら教えて下さい。

オイルシールメーカーと型式比較
  • オイルシールメーカーさんは
    紹介した5社以外にも
    まだまだある。

  • 組立形は特殊オイルシール
    になり、型式を付けていない
    メーカーさんもある。

  • ばねなしオイルシールの
    組立形は確認できていない。
 

まとめ

オイルシールは、安価で使いやすく
密封性が高いシール材ですが、
定期点検を怠ると、
オイルシールの劣化や異物による
損傷・軸の摩耗などによって
油漏れが発生します。

オイルシールを消耗品だと考えて
定期的に点検・交換を
行ってください。

ありがとうございました。