ウレタン・クロロプレン・シリコーン・NBR・EPDM合成ゴムとは

スポンサーリンク
素材

水用パッキンは、
EPDMとNBRは

どちらがいいですか?

NBRとEPDM

どちらでもいいですよ。

しいてあげると、

EPDMでしょうか?

理由は何ですか?

水道水の消毒に、

次亜塩素酸ナトリウムが

使われています。

その次亜塩素酸ナトリウムに

より耐性があるのが、

EPDMだからです。

そうなんですね。

工業用水なんですけど・・・。

工業用水にも細菌除去等で

使用されています。

分かりました。

EPDMにします。

EPDMも長時間使用すると

劣化するので注意して下さい。

というやりとりがありました。

今回は、

合成ゴムについて
考えていきたいと思います。

スポンサーリンク

天然ゴムと汎用合成ゴムと特殊合成ゴム

一口にゴムと言っても、

  • 天然ゴム(NR)
  • 合成ゴム

に分かれています。

天然ゴムは、

ゴムの木の樹液を精製して

作られたゴムです。

合成ゴムは、

原油を精製して得られる

『ナフサ』を原料として

作られたゴムのことを言います。

 

また、合成ゴムにも種類があり、

汎用合成ゴムと言われる

  • スチレンブタジエンゴム(SBR)
  • ブタジエンゴム(BR)
  • イソプレンゴム(IR)

特殊合成ゴムと言われる

  • エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)
  • クロロプレンゴム(CR)
  • アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)
  • ブチルゴム(IIR)
  • シリコーンゴム(Q,Si)
  • フッ素ゴム(FKM)
  • ウレタンゴム(U)

を代表とした合成ゴムに分かれます。

 

もともと、

天然ゴムと汎用合成ゴムは、

主にタイヤ用途を目的として

作られたゴムで

特殊合成ゴムは、タイヤ用途を
目的としたゴムにはない
耐油性・耐熱性・耐候性
といった特性を付与されて
作られた合成ゴムの事を
いいます。

 

迷ったらクロロプレンゴム(CR)

汎用合成ゴム・特殊合成ゴムと

紹介しましたが、何を基準に

選定すればいいのでしょうか?

 

汎用合成ゴムの

  • スチレンブタジエンゴム(SBR)
  • ブタジエンゴム(BR)
  • イソプレンゴム(IR)は、

自動車の発展により
タイヤの原料である天然ゴムの
慢性的な、供給不足を解消するために
開発された経緯があり、
特性が天然ゴムと似ています。

そのため、石油や石炭といった

地下資源由来の鉱物油に対して

弱い特徴があります。

鉱物油に弱いという弱点を
強化するために開発されたものが、

  • クロロプレンゴム(CR)

で、最も古い歴史を持つ合成ゴムです。

クロロプレンゴム(CR)は、

最も一般的な特殊合成ゴムで

耐候性・耐熱性・耐油性・耐薬品性等に

優れた、バランスの良いゴムです。

 

選定基準となるものが分からないと

何を選んでよいかが

分からなくなってしまうので

よほど特殊な環境ではない限り、
迷った時には

  • クロロプレンゴム(CR)

を選んでおけば、大丈夫だと思います。

 

クロロプレンゴムを基準とした選定方法

クロロプレンゴム(CR)
硬度 65°
機械的強度 B
耐摩耗性 B
耐候性 C
耐油性 C
耐熱性 100℃
耐寒性 -30℃~-40℃
耐薬品性 C
A(優)   B(良)   C(可)   D(不可)
・耐薬品性については、薬品の耐性を
確認して使用して下さい。

機械的強度・耐摩耗性をあげたい

機械的強度とは、引張強さや

圧縮といった、物理的な外力に

対しての耐久力を表します。

クロロプレンゴム(CR)より
機械的強度をアップさせたい場合は、

  • エステル系ウレタンゴム(U)

がおすすめです。

ただし、エステル系ウレタンゴムは、

水に反応して分解反応が起きる

加水分解を起こすので注意して下さい。

 

耐候性をあげたい

耐候性とは、紫外線・光・温度変化

といった、気候の変化への

耐性のことを言います。

クロロプレンゴム(CR)より
耐候性をアップさせたい場合は、

  • エチレンプロピレンジエンゴム
    (EPDM)
  • シリコーンゴム(Q,Si)
  • フッ素ゴム(FKM)

がおすすめです。

ただし、

エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)

は、クロロプレンゴム(CR)より

耐油性が下がります。

特殊合成ゴムの種類を変える場合は、

他の特性も確認してから

使用してください。

耐油性をあげたい

耐油性とは、

油状物質が長時間付着しても劣化せずに、

性能を維持できる耐久性を表します。

クロロプレンゴム(CR)より
耐油性をアップさせたい場合は、

  • アクリロニトリルブタジエンゴム
    (NBR)
  • フッ素ゴム(FKM)

がおすすめです。

アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)

は、クロロプレンゴム(CR)より

耐候性が下がります。

特殊合成ゴムの種類を変える場合は、

他の特性も確認してから

使用してください。

耐熱性・耐寒性・耐薬品性

耐熱性・耐寒性と耐薬品性は、

クロロプレンゴム(CR)より
耐薬品性がよいと言われているのが

  • フッ素ゴム(FKM)
  • ブチルゴム(IIR)

となっています。

合成ゴムの種類によって

耐えれる温度や薬品の種類が違うので

特性資料や耐薬品資料を確認してから

ゴムの種類を切り替えてください。

ゴムの劣化の原因

ゴムは、金属・プラスチックといった

素材と比べて劣化しやすい

弱点があります。

ゴムの劣化の要因を紹介していきます。

長期保管による劣化

合成ゴムは、劣化を防止する

老化防止剤などが添加されているが

長期間放置しておくと
老化防止剤などが表面に出てくる
「ブルーム現象」
と呼ばれる劣化がおこることがあります。

熱による劣化

耐熱温度を超えて使用すると

軟化や効果によるひび割れ現象などの

劣化が起こる場合があるので

連続使用温度を確認して
使用してください。

光による劣化

屋外で使用すると、

光や紫外線といった

太陽光による劣化が
起こる場合があります。

オゾンによる劣化

大気中のオゾンは、

年々増えていると言われています。

屋外での使用の場合、
オゾンによる劣化の可能性があるので
耐オゾン性の高い合成ゴムを
使用したほうが良いです。

残留塩素による劣化

水道水などの殺菌に使用される

次亜塩素酸ナトリウムの
残留塩素によっておこる劣化。
クラック・軟化による
黒粉現象があります。

金属劣化

水に接触するような設備では、

一部が水に溶けだし、金属イオンとなり

ゴムの自動酸化反応を促進させる

触媒的作用によって

劣化させられることを言います。

特に銅に敏感で、銅害と呼ばれるほど
銅と接触してるだけで劣化が
進行することがあります。

溶剤による劣化

溶剤による劣化は、

合成ゴムが溶剤を吸収して

体積が増加する

「膨潤作用」

が起こります。

膨潤作用により、キズが広がったり
老化防止剤などが溶出してしまい
急激に劣化が進行することを言います。

まとめ

特殊合成ゴムは、汎用合成ゴムと比べて

  • 耐油性
  • 耐熱性
  • 耐寒性
  • 耐候性
  • 耐薬品性

といった機能を向上させたゴムです。

特殊合成ゴムは、

種類によって全く特性が違います。

そのため、用途を間違えると

寿命が短かくなったり

軟化・膨潤・黒粉現象といった

トラブルが発生します。

なので、

劣化現象を正確に把握し、

使用用途に合った

特殊合成ゴムを使用して下さい。

 

ありがとうございました。