連休前に、ローラーチェーン
呼び番号200のチェーンを
1箱ほしい。
と依頼いただきました。
ここまで大きいのは、
社内に在庫がないので
メーカーに手配をかけてみると、
メーカーが、
すでにお休みをとっていました。
メーカーが、お休みなので
他のメーカーで入手できる
相当品でもよろしいですか?
と聞いてみたら、
メーカーには、
こだわってないからいいよ。
と言っていただいたので、
他のメーカーに
置き換えることにしました。
なぜ、メーカーが違っても
交換できるのでしょうか?
今回は、
それを考えていきたいと思います。
標準ローラーチェーンはJIS規格
伝動用の標準ローラーチェーンは、
色々な用途で使用される
機械要素部品なので
性能と互換性を確保するために
日本工業規格(JIS B1801)で
規格化されているんです。
その為、
各メーカーとも、同じ形状と
寸法で製作しているので
スプロケットを交換しなくても、
チェーンのみを変更するだけで
使用することが出来ます。
機械的性能とは?
他メーカーに変えても
すぐ切れない?
という質問もされます。
他のメーカーにしたからと言って
すぐに切れたら嫌ですよね。
なのでJIS規格では、
形状および寸法だけではなく
機械的性能も定義されています。
JIS規格で定められている
最小引張強さのことで、
これを下回る低い荷重で
破断すると、不合格になります。
ジョイントリンク・
オフセットリンク・
アタッチメント付きチェーンには
適用されないので注意してください。
JISで決められた、
測定荷重をかけた時に決められた
「長さの許容差」の規定に
適合しているかを測定するもの。
規定から外れると不合格になります。
各部品の表面硬さを測定した時、
JISで決められた表面硬さの規定の
いずれかに適合しているかを
測定するもの。
規定から外れると不合格になります。
以上、3点がJIS規格で規定されている
機械的性能です。
ただし、これは最低限度の規定なので
各メーカーJIS規格以上に厳しい
製品規格・社内規格を設け
品質向上を続けています。
そのため、以前は
世界シェアNo.1の椿本チエインは、
長持ちする!!
と言われていましたが、
最近は、どのメーカーも
製造技術が上がったこともあり、
最近ではお客様が、
既存チェーンとは違うメーカーを
使うようになってきています。
メーカー比較表
では、どのようなメーカーがあるのかを
表にまとめてみました。
メーカー名 | 標準型式 |
株式会社椿本チエイン | RS |
大同工業株式会社 | DID |
ゼクサスチェン株式会社(旧日立機材) | SBR形 |
片山チェン株式会社 | KCM |
オリエンタルチェン工業株式会社 | OCM |
株式会社三興製作所 | SANKO |
プルトンチェン株式会社 | PULTON |
アールケー・ジャパン株式会社 | RK |
株式会社江沼チェン製作所 | EK |
加賀工業株式会社 | KCM |
和泉チェン株式会社 | ES |
その他の規格
BS/DIN規格
おもにヨーロッパの設備に使用される
ISO<B>に該当するチェーン。
- BS規格は、イギリスの国家規格
- DIN規格は、ドイツの国家規格
JIS規格のローラーチェーンとは、
ピッチ以外の寸法が違うので、
専用のスプロケットを使用します。
RoHS
RoHS規制適合については、
きちんと記載している
メーカーがありますが、
記載が分かりにくいメーカーも
ありますので、不安な場合は
各メーカーに確認してください。
アタッチメント規格
アタッチメントとは、
通常のチェーン形状から、
プレートを舌状に突き出させた
形状を言い、『SA1、SK1、A1、K1』
などJIS規格で規格化されています。
特注ではない限り互換性があります。
ピンの形状(RPとCPの違い)と切断作業
チェーンの本体のピンには、
RPとCPがあります。
内リンクと内リンクを外リンクで
連結するときにカシメを行って
連結させたもの。
チェーン切断作業の際には、
ピンの頭をグラインダーで
落とす必要がある。
内リンクと内リンクを外リンクで
連結するときに、割りピンを使って
連結させたもの。
RPより少し価格が高いが、
チェーン切断作業の際に、
ピンの頭をグラインダーで
落とす必要がない。
まとめ
標準ローラーチェーンは、JIS規格で
形状と寸法が決まっているので、
互換性があります。
標準アタッチメントの形状の種類も
JIS規格で決められているので
特注ではない限り、
変更しても問題ありません。
ただし、JIS規格で決められているのは、
標準ローラーチェーンの形状と寸法、
そして最低限の機械要素です。
どうしても強度が心配であれば
一度、各メーカーの機械要素の数値を
調べてみてはいかがでしょうか?
ありがとうございました。