焼付け塗装とは?加熱乾燥と自然乾燥の違い・塗料の種類や特徴を紹介

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表面処理

機械を改造したので

カバーを作り替えて
もらえますか?

良いですよ。

塗装の色票番号を

教えて下さい。

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分からないので、

似たような色で良いです。

アイボリーでいいですね。

前回のカバーと同様、
焼付け塗装でいいですか?

焼付け塗装・・・。

前回と同じでいいです。

では、

焼付け塗装で仕上げます。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、『焼付け塗装』について、
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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塗料の乾燥方法の違いとは?

そもそも、焼付け塗装は、
普通の塗装と何が
違うんですか?

私の分かる範囲での

説明になりますが

大丈夫ですか?

 

よろしくお願いします。

焼付け塗装と
一般的な塗装は、

乾燥方法が違います。

どう違うんですか?

まず、
塗料の乾燥方法は、

Point
  • 自然乾燥
  • 強制乾燥
  • 加熱乾燥

の3つに分類されます。

 

3202 乾燥
塗付した塗料の薄層が、
液体から固体に変化する過程の総称。
塗料の乾燥機構には、溶剤の揮発、
蒸発、塗膜形成要素の酸化、重合、
縮合などがあり、乾燥の条件には、
自然乾燥、強制乾燥、加熱乾燥
などがある。
また、乾燥の状態には、指触乾燥、
半硬化乾燥、硬化乾燥などがある。
引用:JIS K 5500-塗料用語

乾燥には3種類の

方法があるんですね。

そうなんです。

まず、自然乾燥は、

Point

塗料を常温の空気中で乾燥させる方法
のことを言います。

 
3208 自然乾燥
塗料を常温の空気中で
乾燥させる方法。

引用:JIS K 5500-塗料用語

常温って
何度なんですか?

常温は、

Point

5〜35℃の温度範囲を
常温といいます。

 

なるほど。

では、強制乾燥について

教えて下さい。

強制乾燥は、

Point

ヒーターや熱風発生器などを使い
人工的に乾燥時間を短縮させる
方法です。

 

3204 強制乾燥 
自然乾燥よりも少し高い温度で
塗料の乾燥を促進する工程。
通常の焼付塗料に用いられるより
低い温度、通常は、66℃までの
温度で乾燥する場合をいう。
引用:JIS K 5500-塗料用語

自然乾燥より暖かくして
乾燥を促すんですね。

ただし、

Point

自然乾燥形の塗料を強制乾燥させると
塗膜の溶剤が早く揮発して
ピンホールなど塗装不良の原因に
なる可能性があります。

 

なるほど。
『乾燥温度を高く

すれば良い。』
ということでは、

ないんですね。

最後に加熱乾燥ですが、

Point

熱処理によって塗料を硬化させる
方法で、乾燥温度や乾燥時間は、
塗料の組成やワークの材質・
大きさによって調整する必要が
あります。

 

3201 加熱乾燥
塗り付けた塗料の層をあらかじめ
設定された最低温度で加熱して、
バインダーの架橋(分子量を増大)
を起こさせて硬化させる工程。
加熱は暖めた空気の対流、
赤外線の照射などによる。
加熱して乾燥させて得た塗膜は
一般に硬い。
通常は,66℃ (150゚F) 以上の温度で
乾燥する場合をいう。
備考 一般に加熱乾燥の温度範囲と
時間は、塗料ごとに規定されている。
引用:JIS K 5500-塗料用語

『加熱乾燥』と『焼付け』
は同じなんですか?

厳密には同じではなく、

Point

塗料を設定温度で加熱し、
硬化させる工程を『焼付け』と
言います。

 

3215 焼付け
塗り付けた塗料の層を、あらかじめ
設定された最低温度で加熱して、
バインダーの架橋(分子量を増大)
を起こさせて硬化させる工程。
加熱は暖めた空気の対流、
赤外線の照射などによる。
加熱して乾燥させて得た塗膜は
一般に硬い。
通常は、66℃以上の温度で
乾燥する場合をいう。
引用:JIS K 5500-塗料用語

加熱乾燥は、乾燥方法で
焼付けは、塗装工程の事
なんですね。

塗料の乾燥方法の違いとは?
  • 塗料の乾燥方法は、
    自然乾燥・強制乾燥・加熱乾燥
    の3つに分類される。

  • 自然乾燥とは、塗料を常温の
    空気中で乾燥させる方法。

  • 強制乾燥は、自然乾燥形塗料を
    ヒーターや熱風発生器などで
    人工的に硬化を促進させる方法。

  • 加熱乾燥は、熱処理によって
    塗料を硬化する方法。

  • 焼付けとは、塗料を設定温度で
    加熱し、硬化させる工程。
 

焼付け塗装とは?

先ほど、

自然乾燥形塗料

と言っていましたが、

焼付け塗装に使う

塗料は違うんですか?

実は、そうなんです。

焼付け塗装に使うのは、

焼付け塗料で

Point

加熱乾燥によって、化学反応をおこし
塗膜を硬化させる塗料のことです。

 

1104 焼付け塗料
生地に塗ってから加熱して塗膜が
形成できるように作った塗料。
加熱の温度は、
通常100℃以上とする。
引用:JIS K 5500-塗料用語

焼付け塗料を使う、
焼付け塗装のメリットは
何ですか?

焼付け塗装のメリットは、

Point

乾燥に時間がかかる自然乾燥形塗料
と違い、乾燥時間が短くてすみます。

 

加熱乾燥を行うことで、
乾燥時間が短く
なるんですね。

しかも、

Point

温度や湿度といった外的要因に
影響されにくいので、塗膜の品質に
バラツキが少ないんです。

 

短時間で乾燥ができ、品質に

バラツキが少ないのであれば、
大量生産に向いてますね。

そうなんです。

塗装工数の管理が
しやすいんです。

 

自然乾燥形塗装と
焼付け塗装の性能の
違いを教えて下さい。

そうですね。

性能については、
塗料の種類にもよるので

何とも言えませんが、

Point

一般的に、焼付け塗装は、
自然乾燥形より硬く・密着性のある
塗膜になります。

 

焼付け塗装の方が、

塗膜は硬いんですね。

焼付け塗装とは?
  • 焼付け塗装とは、
    焼付け塗料をワークに塗布し、
    加熱・硬化させる塗装。

  • 焼付け塗料とは、加熱乾燥に
    よって、化学反応をおこし
    塗膜を硬化させる塗料。

  • 焼付け塗装は、自然乾燥と違い
    乾燥時間が短くてすむ。

  • 焼付け塗装は、温度や湿度など
    外的要因に影響されにくいので、
    塗膜の品質にバラツキが少ない。

  • 焼付け塗装は、自然乾燥形より
    硬く・密着性のある塗膜になる。

 

焼付け塗料の種類と特徴

焼付け塗料の種類を

教えて下さい。

焼付け塗料には、

Point
  • 溶剤形塗料
  • 粉体塗料

があります。

 

何が違うんですか?

溶剤形塗料は、

Point

名前の通り、溶剤で溶かした塗料で、
引火や溶剤中毒などの危険性がある
塗料です。

 

溶剤形塗料は、

体に悪そうですね。

反面、粉体塗料は、

Point

有機溶剤を使わないので、
人体への影響が極めて小さい
塗料です。

 

粉体塗料の特徴やその種類、用途とは
参考:大日本塗料株式会社

すべて、粉体塗装にすれば
良いじゃないですか。

そうなれば
いいのですが、

Point

粉体塗料は、溶剤形塗料に比べ、

  • 焼付温度が高い。
  • 膜厚が厚い。
  • 簡単に調色できない。

といった特徴があります。

 

なるほど。

溶剤形塗料をなくすのは

難しそうですね。

しかも、溶剤形塗料は、

現在も工業製品に
多く使用されています。

なるほど。

なので、今回は、
この溶剤形塗料の種類と
特徴を紹介していきます。

よろしくお願いします。

溶剤形焼付け塗料には、

Point
  • メラミン樹脂塗料
  • アクリル樹脂塗料
  • フッ素樹脂塗料

などがあります。

 

メラミン樹脂塗料から

教えて下さい。

メラミン樹脂塗料の
特徴は、

Point
  • 比較的安価。
  • 低温・短時間で焼付けが可能。
  • 硬度が高く、光沢がある。
  • 耐油性・耐摩耗性がある。

といった特徴があり、
焼付け塗装で最も多く
使用されています。

 

メラミン樹脂塗料は、

一般的な焼付け塗料

なんですね。

次は、アクリル樹脂塗料の

特徴ですが、

Point

アクリル樹脂塗料は、
メラミン樹脂塗料より、
耐候性・耐摩耗性に優れており、
屋外での使用に向いています。

 
 

メラミン樹脂塗料は屋内、

アクリル樹脂塗料は屋外、
といった感じですね。

最後に、フッ素樹脂塗料の

特徴ですが、

Point

フッ素樹脂塗料は、耐候性・耐食性・
耐汚染性など非常に優れていますが、
価格も他の塗料より高価です。

 
 

屋根や壁のような、
耐久性が長期間必要な所に
使用するんですね。

焼付け塗料の種類と特徴
  • 焼付け塗料には、
    溶剤形塗料と粉体塗料がある。

  • 溶剤形塗料は、溶剤で溶かした
    塗料で、引火や溶剤中毒などの
    危険性がある。

  • 粉体塗料は、有機溶剤を
    使わないので、人体への影響が
    極めて小さい。

  • 溶剤形焼付け塗料には、
    メラミン樹脂塗料・
    アクリル樹脂塗料・
    フッ素樹脂塗料などがある。

  • メラミン樹脂塗料は、
    比較的安価なうえに、優れた特徴を
    持っているので焼付け塗装で
    最も多く使用されている。

  • アクリル樹脂塗料は、
    メラミン樹脂塗料より、
    耐候性・耐摩耗性に優れており、
    屋外での使用に向いている。

  • フッ素樹脂塗料は、
    耐候性・耐食性・耐汚染性が
    非常に優れているが、価格も高価。

 

焼付け塗装の工程と注意点

焼付け塗装と自然乾燥の

使い分けはありますか?

うーん、難しいですね。

ただ、
一般的に焼付け塗装は、

Point

塗装後、乾燥炉に入れる必要が
あるので、軽車両や小型機械などの
金属部品に使用されます。

 

乾燥炉に入らないような

大きさのものは

そもそもダメなんですね。

そうなんです。

なので、

Point

乾燥炉に入らないような建築や
船舶・重車両などの大型部品は
自然乾燥になります。

 

なるほど。

焼付け塗装の工程を

教えてもらえますか?

一般的な
焼付け塗装の流れは、

焼付け塗装の流れ
1 塗装前処理
2 下塗り
3 下塗り乾燥
4 上塗り
5 上塗り乾燥

となります。

塗装前処理とは

どんな作業ですか?

塗装前処理は、

  • 脱脂
  • 研磨
  • ブラスト
  • 化成処理

などの素地調整になります。

素地調整とは何ですか?

素地調整は、

Point

塗装に備えて表面の油脂や汚れ・
ゴミ・サビなどを除去をする
全ての方法を指します。

 

きれいな塗装にする
ために、油脂や汚れを
除去するんですね。

では、下塗りはなぜ

するんですか?

下塗りは、

Point

塗装系の中で素地に初めに行う処理で、
下地を作り、素地の影響を防止し、
付着性を増加させるために行います。

 

下塗りは、上塗りとの

密着性を上げるために

行う処理なんですね。

下塗り乾燥は、素地の種類や
下塗り塗料の種類に応じた
処理を行います。

 

次に、上塗りですが、

Point

下地塗膜の上に、上塗り用の
塗料を塗り、最終塗膜を美しく
仕上げるための処理です。

 

上塗り乾燥は、上塗り塗料を
設定された温度で加熱し、
硬化させる処理です。

サイズが大きいものに

焼付け塗装を行う場合は、

乾燥炉のサイズを確認する
必要がありますね。

そうなんです。

確認して依頼する必要が
あります。

また、

Point

形状が複雑な場合は、
熱が均一に伝わらない可能性が
あるので注意して下さい。

 
焼付け塗装の工程と注意点
  • 焼付け塗装は、乾燥炉に入れる
    必要があり、小型の金属部品に
    使用される。

  • 建築や船舶・重車両などの
    乾燥炉に入らないような
    大型部品は、自然乾燥になる。

  • 焼付け塗装の流れは、 塗装前処理・
     下塗り・ 下塗り乾燥・ 上塗り・
     上塗り乾燥の順で行われる。

  • 前処理は、塗装に備えて表面の
    油脂や汚れ・ゴミ・サビなどを
    除去をする処理。

  • 下塗りは、下地を作り、
    素地の影響を防止し、付着性を
    増加させるために行う。

  • 上塗りは、最終塗膜を美しく
    仕上げるための処理。

  • サイズが大きいものに焼付け塗装を
    行う場合は、乾燥炉のサイズを
    確認する必要がある。

 

まとめ

焼付け塗装は、自然乾燥形塗料に比べ
硬い塗膜を得ることが出来ます。
しかも、光沢があり、化学的性質にも
優れています。

温度・湿度といった、外気に
影響されないので、短時間で
塗膜の品質にバラツキが少なく
仕上げることが出来ます。

今施工している塗装が、
用途に合った塗装かどうか、
確認してみて下さい。

ありがとうございました。