エア式の工場扇を使うと
油が飛散するんです。
それって普通ですか?
エアモータは、
『油が混ざったドレンが
排出される。』と取説に
記載されています。
普通なんですね・・・。
じゃあ、油が製品に付着
するので給油をやめても
大丈夫ですか?
無給油で使える
モータもありますが
1度でも給油したなら
給油し続けないと
ダメですよ。
そうなんですか・・・。
なぜ、給油をやめたら
ダメなんですか?
通常のエアモータだと
当然、給油は必要です。
無給油タイプでも、
1度給油してしまうと
塗布されてた潤滑剤が
流れてしまう可能性が
あるからです。
もともと塗布されてた
潤滑剤がなくなるので
給油し続ける必要が
あるんですね。
油漏れ対策で、何か
いい方法ありませんか?
実は、エアモータには
排気ポートがあり、
この排気ポートから
油を含んだエアーや
ドレンが排出されます。
排気ポートから
油を含んだドレンが
出ていたんですね。
なので、
そのまま使い続けるなら
エキゾーストクリーナー
を付けてオイルミストを
回収したり、
排気ポートに配管して
『ドレンを補集容器に
集める』などの対策を
行って下さい。
分かりました。
もし、
工場扇を交換するなら、
無給油(オイルフリー)の
エア式工場扇を
選んで下さい。
分かりました。
一度、検討してみます。
という、やりとりがありました。
今回は、エアモータについて
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。
エアモータとは?
そもそも、エアモータ
って何ですか?
私が分かる範囲での
説明になりますが
大丈夫ですか?
よろしくお願いします。
まず、エアモータは、
JIS規格で
2205 エアモータ
圧縮空気によって駆動するモータ。
参考:JIS B 0142
油圧・空気圧システム及び機器−
用語
と定義されています。
圧縮空気が動力源の
モータをエアモータ
と言うんですね。
そうです。
『アクチュエータ』とも
呼ぶ人がいますが
何か違うんですか?
あー、確かにいますね。
アクチュエータは、
JIS規格で
2201 アクチュエータ
流体エネルギーを機械的エネルギーに
変換する機器。
例 :モータ、シリンダ
参考:JIS B 0142
油圧・空気圧システム及び機器−
用語
と定義されており、
モータも
2202 モータ
回転運動を提供するアクチュエータ。
参考:JIS B 0142
油圧・空気圧システム及び機器−
用語
と定義されています。
アクチュエータという
グループの中の1つが
モータなんですね。
そうなんです。
-
エアモータとは、
圧縮空気によって駆動する
モータのこと。 -
アクチュエータは、
流体エネルギーを
機械的エネルギーに変換する機器 -
モータは、回転運動を
提供するアクチュエータ。
エアモータと電気モータの違い
では、エアモータと
電気モータって
何が違うんですか?
大きな違いは、
- エアモータは、圧縮空気
- 電気モータは、電気
という動力源の違いです。
それぐらいは、
分かってます。
じゃあ、
エアモーターを使う
メリットって何ですか?
メリットですか・・・。
では、1つづつ
紹介していきますね。
まず、エアモータは、
電気モータのように、焼損や
発熱などのトラブルがありません。
では、エアモータに
負荷がかかった場合は
どうなるんですか?
エアモータは、
負荷が増加すると、
徐々に減速していきます。
さらに負荷が増加していくと
過負荷状態になり停止します。
過負荷で停止すると
どうなるんですか?
過負荷で停止しても
エアモータに問題はないので、
負荷を取り除いてあげれば
再び元の状態に戻ります。
火花とかは、
出ないんですか
圧縮空気で動く
エアモータは、
スパークする危険性がないので、
爆発性ガス・粉塵爆発雰囲気等
の可燃性のある危険な環境下でも
使用可能なんです。
確かに、エア式工場扇を
使っている工場は
防爆エリアでした。
念のため、
防爆エリアで使用する場合は、
必ず防爆対応の製品かどうか
確認を行ってから使用して下さい。
分かりました。
しかも、
空気圧の断熱膨張による
自己冷却効果によって高温下でも
使用可能なんです。
断熱膨張って何ですか?
断熱膨張は、
空気の体積が膨張すると
温度が下がる現象のことです。
押すだけで、雲ができたり消えたり
参考:日本ガイシ株式会社
後は、
- 小型で軽量
- 構造が簡単
- 修理しやすい
といったメリットがあります。
ちなみに、
デメリットは何ですか?
デメリットは、
圧縮空気がないと使えないので
コンプレッサーが必要になります。
当然そうなりますよね。
コンプレッサーが必要な場合
『初期費用が高くなる。』
ということですね。
後は、
- 排気音がうるさい
- エネルギーコストが
電気モータより高い
等があります。
なるほど。
エアモータは、
電気が使えないような
過酷な場所で
使用されてるんですね。
-
エアモータは、焼損や発熱などの
トラブルがない。 -
過負荷になってもエアモータに
問題はなく、負荷を取り除けば
再び元の状態に戻る。 -
圧縮空気で動くエアモータは、
スパークする危険性がないので、
可燃性のある危険な環境下でも
使用できる。 -
空気圧の断熱膨張による
自己冷却効果によって
高温下でも使用可能。 -
エアモータは、
圧縮空気がないと使えないので、
コンプレッサーが必要。 -
排気音がうるさい・
エネルギーコストが
電気モーターより高いといった
デメリットもある。
エアモータの種類とオイルフリー
エアモータには、
どんな種類が
あるんですか?
エアモータには、
色々な種類が
ありますが、
一般的に用いられているのは
- ベーンモータ
- ラジアルピストンモータ
です。
どんな動きをするんですか?
ベーンモータは、
JIS規格で
2212 ベーンモータ
ケーシング(カムリング)に
接している放射状に配列された
ベーン(羽根)をロータ内にもち、
ベーンの間に流入した流体によって
ロータが回転する形式のモータ。
参考:JIS B 0142
油圧・空気圧システム及び機器−
用語
と定義されています。
なんだか難しいですね。
確かに難しいですよね。
つまり、
風車や水車などの羽根を意味する
『ベーン』に圧縮空気を当てて
回転させるモータがベーンモータです。
エアモーター式ベーンポンプ
参考:アクアシステム株式会社
ベーンモータの特徴を
教えて下さい。
ベーンモータは、
- 構造が簡単
- 小型化できる
- 安価
- 高回転で低トルク
という特徴があります。
なるほど。
では、次に
ラジアルピストンモータ
ですが、JIS規格で
2218 ラジアルピストンモータ
ピストンの往復運動の方向が出力軸に
放射状に配置されたピストンモータ。
参考:JIS B 0142
油圧・空気圧システム及び機器−
用語
と定義されています。
これも、よく
分からないですね。
つまり、
星形に設置されているピストンに
圧縮空気を入れて稼働させる
モータです。
ラジアルピストン式ベーンポンプ
参考:アクアシステム株式会社
では、
ラジアルピストンモータ
の特徴を教えて下さい。
ラジアルピストンモータは、
ベーンモータに比べ
- 空気消費量が少なく効率が良い
- 始動トルクが安定している
- 低回転で高トルク
といった特徴があります。
なるほど。
ところで、給油タイプと
無給油タイプがありますが、
何が違うんですか?
まず、給油タイプの
エアモータは、
給油が不十分だと
ピストンやスリーブなど摺動部分が
焼き付くなどのトラブルが発生します。
その為、
供給側にルブリケーターなどの
給油装置の設置が必要になります。
潤滑をきちんとして
焼き付きを防止
するんですね。
それに対し、
無給油タイプは、
自己潤滑性のある部品を使ったり
部品・構造を変え、潤滑剤が
吐出空気に含まれないように
なっています。
-
一般的に用いられている
エアモータは、ベーンモータと
ラジアルピストンモータが多い。 -
ベーンモータとは風車や水車などの
羽根を意味する『ベーン』に
圧縮空気を当て回転させるモータ。 -
ベーンモータは、構造が簡単で
小型化できる・安価・高回転で
低トルクという特徴がある。 -
ラジアルピストンモータは、
星形に設置されている
『ピストン』に圧縮空気を
入れて稼働させるモータ。 -
ラジアルピストンモータは、
空気消費量が少なく効率が良い・
始動トルクが安定している・
低回転で高トルク
といった特徴がある。 -
エアモータの給油が不十分だと、
ピストンやスリーブなどの
摺動部分が焼き付くといった
トラブルが発生する。 -
無給油タイプは、
自己潤滑性がある部品や
構造を変え、潤滑剤が吐出空気に
含まれないようになっている。
エアモータの速度調整と正逆回転
エアモータの
速度調整は
どうすればいいですか?
エアモータの
速度調整は、
- スピードコントローラ(絞り弁)
による流量調整 - レギュレータ(減圧弁)
による圧力調整
等によって行います。
スピコンは、
シリンダーとかにも
使いますよね。
あれって、
メーターインと
メーターアウトと
ありますが
何が違うんですか?
エアモーターの
速度制御は、
給気流量を調整する
メーターイン方式が
多く使用されます。
次に
メーターアウト方式は、
排気側の流量を調整する方式で
複動シリンダーやホイストの
巻き上げ等、往復運動があるものに
利用されます。
なるほど、1方向だけを
制御する場合は
メーターイン方式が
良いんですね。
よくある質問
参考:株式会社日本ピスコ
レギュレータによる
圧力制御は、
給気圧力を変えて
回転数を制御する方法で、
停止時のトルク調整が
必要な場合に使用します。
流量調整は回転速度・
圧力調整はトルクに
影響するんですね。
ところで、
エアモータって
回転方向を変えることは
出来ますか?
エアモータは、
給気口を切り換えることで
簡単に正逆回転を
切り替えることが出来ます。
ただし、
ねじ付きシャフト仕様だと
回転方向によっては、
ネジが緩んではずれる恐れが
あるので注意して下さい。
-
エアモータの速度調整は、
スピードコントローラによる
流量調整とレギュレータによる
圧力調整で行う。 -
エアモータの速度制御は、
給気流量を調整する
メーターイン方式が
多く使用される。 -
メーターアウト方式は、
排気側の流量を調整する方式で
往復運動があるものに使用される。 - レギュレータによる圧力制御は、
給気圧力を変えて回転数を
制御する方法で、停止時の
トルク調整が必要な場合に使用。 -
エアモータは、給気口を
切り換えることで、簡単に
正逆回転の切り替えが出来る。 - ねじ付きシャフト仕様だと
回転方向によっては、
ネジが緩んではずれる恐れが
あるので注意が必要。
まとめ
エアモータは、圧縮空気を
動力源として回転運動を得る
空気圧機器の1つです。
圧縮空気を動力源としているので
電気モータでは使えない
引火・爆発の恐れのある環境下でも
使用できるモータです。
電動工場扇を置けない工場に
エアーモータ式工場扇を
検討してみてはいかがでしょうか?
ありがとうございました。