放電加工機のメリットとは?加工の原理・電極材質・精度・種類を紹介

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すみません。

こんな形の治具を

作りたいんですが

製作可能ですか?

             

加工は大丈夫ですけど、

『放電加工』で
加工するので

かなり高くなりますよ。

一般的な切削加工では
ダメなんですか?

四角穴の加工は、

刃物を回して加工する
切削加工では
加工できません。

確かに、エンドミルは

回転させて加工するので、
角部が丸くなりますね。

四角ボルトの頭を
回すだけなので

出来るだけ安くしたいです。

では、角部を逃がすなど

形状を変えて

加工しましょうか?

角部を逃がした加工で

お願いできますか?

分かりました。

よろしくお願いします。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、『放電加工』について
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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放電加工とは?

そもそも、『放電加工』
ってなんですか?

私の分かる範囲での

説明になりますが

大丈夫ですか?

よろしくお願いします。

まず『放電加工』は、
JIS規格で特殊加工機械に

分類されている
『放電加工機』を使って

行う加工のことです。

『放電加工機』って

どんな加工をする
加工機なんですか?

放電加工機は、

JIS規格で

13100 放電加工機
工作物と電極との間の放電現象を
利用して除去加工を行う工作機械。
引用:JIS B 0105
   工作機械−名称に関する用語 

と定義されています。

正直、
よく分かりません。

工作物とか電極って

なんですか?

工作物は、
加工される材料のことで

電極は、電流を流すために

使う導体のことです。

なるほど。

そして

『放電加工』は、

Point

加工液の中で工作物と電極の間に
毎秒数千回~数万回もパルス状の
アーク放電を繰り返し発生させて
工作物を溶融除去する加工法です。

 

パルスってなんですか?

ここで言うパルスとは、

Point

短時間で電流をON/OFFする
切換えのことです。

 
 

では、アーク放電って

なんですか?

身近な例でいうと、

Point

電気が流れている電化製品の
プラグをコンセントから
引き抜いた時にできる隙間に、
発生する火花がアーク放電です。

 
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なるほど。

電気による火花を人工的に
発生させて、工作物を

溶かす加工が『放電加工』

なんですね。

そうです。

でも、
火花で溶かすなんて

めちゃくちゃ高温

になりませんか?

そうなんです。

Point

アーク放電で出る火花の温度は、
およそ6000℃と、とても高温です。

 

そうですよね。

なので、

Point

工作物の冷却や加工ゴミの排出を
行うために、電気を通さない油や
導電率を低くした水といった
加工液の中で加工を行います。

 

加工による工作物の
発熱を防ぐために
加工液の中で
加工するんですね。

放電加工とは?
  • 『放電加工』とは、工作物と
    電極の間に毎秒数千回~数万回も
    パルス状のアーク放電を発生させ
    工作物を溶融除去する加工法。

  • 『放電加工』でいうパルスとは、
    短時間で電流をON/OFFする
    切換えのこと。

  • 電気が流れている電化製品の
    プラグをコンセントから
    引き抜いた時に発生する
    火花もアーク放電。

  • アーク放電で出る火花の温度は、
    およそ6000℃と、とても高温。

  • 工作物の冷却や加工ゴミの排出を
    行うために、電気を通さない油や
    導電率を低くした水といった
    加工液の中で加工を行う。

 

放電加工の用途と特徴

『放電加工』が、
アーク放電で加工する
ことは分かりました。

でも、どういうときに

『放電加工』が

必要なんですか?

まず『放電加工』は、
アーク放電による加工の為、

Point

導電性を持つ素材であれば、
焼入れ材や超硬合金など、切削加工では
歯が立たないような硬い素材でも
『放電加工』を行うことが可能です。

 
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導電性の素材であれば
どんな硬い素材でも
加工できるんですね!

しかも、最近では

Point

補助電極を使えば、絶縁性セラミック
でも加工が可能と言われています。

 

加工を検討されている方は、
一度、加工屋さんに
相談してみて下さい。

絶縁性セラミックの様な
切削加工が難しい
素材でも加工できるかも
しれないんですね。

 

『放電加工』は、

Point

刃物のように回転させる必要が
ないので、角穴加工が可能なうえ、
切削加工では難しい小径の深穴加工や
細い溝加工が可能なんです。

 

なるほど。

好きな形状に加工が

できるのはいいですね。

でも、なぜ『放電加工』は、
加工費が高くなるんですか?

『放電加工』は、

Point

工作物を少しづつ溶かしながら
加工するので、切削加工より
加工速度が遅くなってしまい
加工費が高くなってしまいます。

 

加工に時間がかかるので
加工費が高く
なってしまうんですね。

ちなみに、アーク放電で
加工すると、加工面は
どうなりますか?

『放電加工』での加工は、

Point

アーク放電による火花を繰り返し
発生させ、クレーター状の
小さなくぼみを無数に作り
目的の形状に仕上げていきます。

 

無数のクレーターを
作る加工だと、表面が
ザラザラになりませんか?

ザラザラになります。

なので、このくぼみを

小さくすればするほど
表面粗さや精度をよく
することが出来ます。

なるほど。

そして、表面粗さは

Point
  • 放電エネルギー
  • 加工速度
  • 加工液
  • 電極精度

で調整することが出来ます。

 
 

製品の要求に応じた

条件で加工する

必要があるんですね。

さらに必要に応じて、

加工面を磨くなどして

表面粗さを仕上げます。

放電加工の用途と特徴
  • 導電性を持つ素材であれば、
    どんな硬さでも『放電加工』を
    行うことが可能。

  • 補助電極を使えば、
    絶縁性セラミックでも加工が
    可能と言われている。

  • 『放電加工』は、刃物のように
    回転させる必要がないので、
    角穴加工が可能なうえ、小径の
    深穴加工や細い溝加工が可能。

  • 『放電加工』は、工作物を少しづつ
    溶かしながら加工していくため、
    加工費が高くなってしまう。

  • 『放電加工』は、アーク放電による
    火花を繰り返し発生させて、
    目的の形状に仕上げていく。

  • 放電エネルギー・加工速度・
    加工液・電極精度などで
    精度や表面粗さを調整する。

 

形彫り放電加工とワイヤ放電加工

『放電加工機』の種類に
ついて教えて下さい。

『放電加工機』は、

大きく分けて

Point
  • 形彫り放電加工機
  • ワイヤ放電加工機

の2種類があります。

 

詳しく教えて下さい。

まず、
形彫り放電加工機は、
JIS規格で

13101 形彫り放電加工機
工作物と総形又は棒状の
工具電極との間の放電現象を
利用して加工を行う放電加工機。
引用:JIS B 0105
   工作機械−名称に関する用語 

と定義されています。

どういうことですか?

形彫り放電加工機は、

Point

切削加工等によって製作した
電極を、放電加工で工作物に
転写する放電加工機です。

 

また、

Point

電極の回転を制御することで
スパイラルやねじれ形状といった
複雑な形状の加工も出来ます。

 

ワイヤ放電加工機に
ついても教えて下さい。

ワイヤ放電加工機は、

JIS規格で

13102 ワイヤ放電加工機
工作物と走行するワイヤ電極との
間の放電現象を利用して
加工を行う放電加工機。
引用:JIS B 0105
   工作機械−名称に関する用語 

と定義されています。

どういうことですか?

ワイヤ放電加工機は、

Point

直径0.02~0.3mmの導電性ワイヤを
電極として、糸のこぎりのように
切り抜く放電加工機です。

 

また、

Point

上下のワイヤの位置を制御することで
ワイヤを傾けることが可能となり、
テーパカットや上下異形状に
加工することが出来ます。

 
形彫り放電加工とワイヤ放電加工
  • 『放電加工機』は、大きく
    分けて、形彫り放電加工機と
    ワイヤ放電加工機の2種類がある。

  • 形彫り放電加工機とは、
    切削加工等によって製作した
    電極を、放電加工で工作物に
    転写する放電加工機のこと。

  • 形彫り放電加工機は、
    電極の回転を制御することで
    スパイラルやねじれ形状といった
    複雑な形状の加工も出来る。

  • ワイヤ放電加工機とは、直径
    0.02~0.3mmの導電性ワイヤを
    電極として、糸のこぎりのように
    切り抜く放電加工機のこと。

  • ワイヤ放電加工機は、上下の
    ワイヤ位置を制御することで
    テーパカットや上下異形状に
    加工することが出来る。

 

電極の種類

形彫り放電加工に使う
電極の材質には、

どんな種類がありますか?

形彫り放電加工に
使用する電極の材質には、

Point
  • 純銅
  • グラファイト
  • タングステン合金

などがあります。

 

なにが違うんですか?

形彫り放電加工の電極は、

Point

コストが安価で、電気抵抗が少なく
熱伝導率が高い『純銅』が、
最も多く使用されています。

 

電極の素材は、
『純銅』が多いんですね。

ただ『純銅』は、

Point

剛性が低いので反りやバリが
発生しやすいうえ、熱膨張が大きいので
加工中に発生する熱によって寸法変化が
起きやすいという弱点があります。

 

安価で使いやすいけど、

変形しやすいんですね。

そうなんです。

では次に、
『グラファイト』
について教えて下さい。

炭素からできている

『グラファイト』は

Point

一般用や精密用といった
製法や粒度によって特性が違う
製品グレードがあります。

 

目的に応じた

製品グレードを選ぶ
必要があるんですね。

そうなんです。

ただ『純銅』と比べ、

Point
  • 機械加工による変形が少ない
  • 熱膨張が小さい
  • 電極の消耗が小さい

といった特徴があり、最近では
高速加工や微細加工などで多く
使用されるようになってきました。

 

最近では、
『グラファイト』の電極が

増えてきているんですね。

そのようです。

最後に
『タングステン合金』を

教えて下さい。

『タングステン合金』は、
主に

Point
  • 銅タングステン
  • 銀タングステン

が電極に使用されています。

 

どんな特徴がありますか?

『タングステン合金』は、

Point

価格がとても高いのが難点ですが、
高硬度な素材なので微細で高精度な
加工ができ、超硬合金の放電加工に
使用されます。

 
電極の種類
  • 形彫り放電加工に使用する電極の
    材質には、純銅・グラファイト・
    タングステン合金などがある。

  • 形彫り放電加工の電極は、
    コストが安価で、電気抵抗が少なく
    熱伝導率が高い『純銅』が、
    最も多く使用されている。

  • 『純銅』は、剛性が低いので
    反りやバリが発生しやすいうえ、
    熱膨張が大きいので加工中に
    発生する熱によって寸法変化が
    起きやすい。

  • 『グラファイト』は、
    変形が少ない・熱膨張が小さい・
    電極消耗が小さいといった
    特徴があり、最近では高速加工や
    微細加工などに多く使用される。

  • 『タングステン合金』は、価格が
    とても高いが、高硬度なため
    微細で高精度な加工ができ、
    超硬合金の放電加工に使用される。

 

まとめ

『放電加工』は、耐久性が必要な部品や
切削加工では困難な部品の加工に
使用されています。

ただし『放電加工』は、加工速度が遅く
電極の製作が必要なため、
加工費が高くなってしまいます。

なるべく『切削加工』で製作し、
付加価値の高い加工の場合だけ
『放電加工』を行うことを
お勧めします。

ありがとうございました。