防爆エリアで使用できる
バッテリー式の
フォークリフトを
検討しています。
確か、
- トヨタL&Fさん
- 三菱ロジスネクストさん
- コマツさん
などにありますね。
そうなんです。
ただ、メーカーさんから
「防爆検定de2G4に
合格しています。」
と言われたんですが、
正直、
ピンときていません。
確かに
分かりにくいですよね。
教えてもらっても
いいですか?
この場合、
- dとeは、防爆構造
- 2は、爆発等級
- G4は、発火度
を表しています。
はぁ。
まだ、
ピンとはきていません。
そうですよね。
詳しく教えてもらっても
いいですか?
分かりました。
という、やりとりがありました。
今回は、『防爆』について
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。
防爆とは?
そもそも『防爆』って
なんですか?
私の分かる範囲での
説明になりますが
大丈夫ですか?
よろしくお願いします。
もともと『防爆』は、
石炭の採掘作業の際に発生する、
爆発事故を防止するために
研究された技術です。
爆発を防止するから
『防爆』なんですね。
でも、
なぜ石炭を採掘すると
爆発がおきるんですか?
石炭を採掘すると
メタンガスが
発生するんです。
メタンガスって、
空気中で燃えるガス
でしたよね。
そうです。
そのメタンガスに、
採掘作業で使用している
電気機器に火花が発生すると、
火花が発火源となり爆発します。
可燃ガスがある場所では、
「普通の電気機器は危険。」
ということですね。
そのため、日本では
爆発の可能性がある環境で
使用できる電気機械器具は、
『電気機械器具防爆構造規格』
で規定されています。
電気機械器具防爆構造規格の構成
参考:公益社団法人産業安全技術協会
日本の規格ということは、
海外の防爆規格認定品は
使用できないんですか?
海外の防爆規格
認定品であっても、
国内で使用する場合には、
検定申請と検定試験が必要です。
海外の防爆認定品を
使用する場合には、
確認が必要ですね。
また、
防爆構造規格の
検定の基準は、
- 工場電気設備防爆指針
(ガス蒸気防爆 2006) - 工場電気設備防爆指針
(粉じん防爆 1982)
となっています。
ガス蒸気防爆と
粉じん防爆の
2種類があるんですね。
そうです。
ただ、
ガス蒸気防爆と粉じん防爆は、
防爆技術が違うため、互換性が
ないので注意して下さい。
なるほど。
注意が必要ですね。
-
『防爆』とは、石炭の採掘作業の
際に発生する、爆発事故を
防止するために研究された技術。 -
メタンガスのような可燃ガスに、
電気機器の火花が発火源となり
爆発する。 -
日本では、爆発の可能性がある
環境で使用できる電気機械器具は、
『電気機械器具防爆構造規格』
で規定されている。 -
海外の防爆規格認定品でも、
国内で使用する場合には、
検定申請と検定試験が必要。 -
『工場電気設備防爆指針
(ガス蒸気防爆 2006)』と
『工場電気設備防爆指針
(粉じん防爆 1982)』が、
防爆構造規格の検定基準。 - ガス蒸気防爆と粉じん防爆は、
防爆技術が違うため、
互換性がない。
防爆対策の考え方
『防爆対策』には、
どのようなものが
あるんですか?
そもそも、
『防爆対策』の考え方は、
「危険場所と発火源を共存させない
対策をたてること」が、
防爆対策の基本となります。
確かに、
危険場所と発火源が
一緒でなければ
爆発しないですね。
そのためには、
爆発性雰囲気を作らないことが
一番重要で、その後に電気機器の
防爆化を考える必要があります。
爆発性雰囲気を
作らないようにするには
どうすればいいですか?
爆発性雰囲気を
作らないようにするには、
- 爆発性ガスの漏えい・放出の防止
- 爆発性ガスの滞留防止
といった対策をとる必要があります。
どういうことですか?
まず、
空気中に爆発性ガスの漏えい・放出を
防止するためには、
- 可燃性物質が入った容器を
開放状態で使用しない。 - 配管継手やポンプなどのパッキン類
からの漏えいを防止する。 - 装置の異常運転や誤作動・劣化・
破損による漏えいを防止する。
といった対策を行います。
日常点検や定期点検を
しっかり行うことが
漏えい・放出防止に
つながるんですね。
また、
爆発性ガスが
滞留しないように、
- 屋外や開放された建物の中に
設置する。 - 強制換気をおこなう。
といった対策を行います。
爆発性ガスの濃度が
高くならないように
するんですね。
そうです。
そして、
それらを行った後に、
設置した電気機器が、爆発事故の
発火源とならないように防爆構造を
もった電気機器を使用します。
最終手段に
防爆電気機械機具を
使うんですね。
-
『防爆対策』の考え方は、
危険場所と発火源を共存させない
対策をたてることが基本。 -
爆発性雰囲気を作らないことが
一番重要で、その後に電気機器の
防爆化を考える。 -
爆発性雰囲気を作らないように、
爆発性ガスの漏えい・放出の防止や
滞留防止などの対策を行う。 -
爆発性ガスの漏えい・放出を
防止するには、
『可燃性物質が入った容器を
開放状態で使用しない。』
『配管継手やポンプなどの
パッキン類からの漏えいを
防止する。』
『装置の異常運転や誤作動・劣化・
破損による漏えいを防止する。』
といった対策をおこなう。 -
爆発性ガスが滞留しないように、
『屋外や開放された建物の中に
設置する。』
『強制換気をおこなう。』
といった対策をおこなう。 -
最終的に、設置した電気機器が、
爆発事故の発火源とならない
ように防爆構造をもった
電気機器を使用する。
防爆構造の種類
では、そろそろ
『de2G4』にあたる
防爆構造について
教えて下さい。
分かりました。
まず、主な防爆構造の
考え方には、
- 発生源の隔離
- 電気機器の安全度の増強
- 発火能力の本質的抑制
の3つがあります。
説明お願いします。
まず、
『発火源の隔離』には、
エアーや油を使って発生源を
単純に爆発性ガスから隔離する、
- 内圧防爆構造(f)
- 油入防爆構造(o)
と
電気機器の内部で
爆発が発生しても、外部に
炎が出ない頑強な容器を使った
- 耐圧防爆構造(d)
があります。
発生源と爆発性ガスを
隔離する防爆構造ですね。
ただ、
ここで注意しないと
いけないのは、
『内圧防爆構造』に似た、
『エアパージ方式』というものが
ありますが、防爆検定の要件を
満たしていないので危険場所では
使用できません。
なぜ、
使えないんですか?
それは、
『エアパージ式』には、
『内圧防爆構造』にあるような
保護装置がないので、
内圧が下がると爆発性ガスが
侵入する危険があるからです。
なるほど。
次に、
『電気機器の安全度の増強』
には、
正常に運転していれば、
発火源にならない電気機器の
安全度をより高めて、
接触不良や断線のなど故障が
起こりにくい構造で製作された
- 安全増防爆構造(e)
があります。
火花や温度上昇の
可能性に対して
安全性を高めた構造で
製作された電気機器が、
『安全増防爆構造』
なんですね。
ただし、
正常運転していれば
発火源にならない
ということなので、
異常運転にならないよう
注意が必要ですね。
そうなんです。
最後に、
『発火能力の本質的抑制』
には、
正常運転時でも事故時でも、
電気回路に発生する火花や高温部が、
爆発性ガスに点火しない構造の
- 本質安全防爆構造(i)
があります。
どういう構造ですか?
『本質安全防爆構造』の
例は、
非危険場所に制御盤などの容器を
持っていき、危険場所に発火源と
ならない機器を設置します。
なるほど。
最初から、
発火源になるような
電気機器を非危険場所に
設置しちゃうんですね。
今出た以外の防爆構造って
あるんですか?
ありますよ。
他にあるのは、
- 特殊防爆構造(s)
- 非点火防爆構造(n)
- 樹脂充填防爆構造(m)
などがあります。
防爆構造の種類は
分かりました。
ただ、『de2G4』には、
なぜdとeの2つも
防爆構造があるんですか?
それは、
dの『耐圧防爆構造』と
eの『安全増防爆構造』の
2種類の防爆構造を組合わせて
作られた機器だからです。
単純に、
2つの防爆構造の
組合わせで作られて
いるからなんですね。
でも、どの部分が
どっちの防爆構造
なんですか?
それは、
主体となる部分の防爆構造記号を
はじめに表示する決まりがあるので、
本体や制御盤やモーターが
『耐圧防爆構造』です。
では、
バッテリーやホーンなどの
部分が、『安全増防爆』に
なるんですね。
そうなんです。
-
主な防爆構造の考え方には、
『発生源の隔離』
『電気機器の安全度の増強』
『発火能力の本質的抑制』
の3つがある。 -
『発火源の隔離』には、
エアーや油を使って発生源を
単純に爆発性ガスから隔離する
『内圧防爆構造(f)』
『油入防爆構造(o)』と、
電気機器の内部で爆発が
発生しても、外部に炎が出ない
頑強な容器を使った
『耐圧防爆構造(d)』がある。 -
『内圧防爆構造』に似た、
『エアパージ方式』は、
防爆検定の要件を満たしていない
ので危険場所では使用できない。 -
『電気機器の安全度の増強』には、
接触不良や断線のなど故障が
起こりにくい、安全度を高めた
構造で製作された
『安全増防爆構造(e)』がある。 -
『発火能力の本質的抑制』には、
電気回路に発生する火花や高温が、
爆発性ガスに点火しない構造の
『本質安全防爆構造(i)』がある。 -
上記の防爆構造以外に、
『特殊防爆構造(s)』
『非点火防爆構造(n)』
『樹脂充填防爆構造(m)』
などがある。 -
2種類の防爆構造を組合わせて
作られた機器の場合、主体となる
部分の防爆構造記号をはじめに
表示する決まりがある。
防爆等級と発火度
では、
『爆発等級』についても
教えて下さい。
『爆発等級』は、
『電気機械器具防爆構造規格』に、
『火炎逸走限界』と記載されています。
二 爆発等級 | |
火炎逸走限界(単位 ミリメートル) | 記号 |
〇・六をこえるもの | 1 |
〇・四をこえ〇・六以下 | 2 |
〇・四以下 | 3 (3a・3b・3c・3n) |
3aは水性ガス及び水素を、3bは二硫化炭素を、 3cはアセチレンを、3nはすべてのガス又は蒸気を 対象とするものを示す。 |
参考資料:電気機械器具防爆構造規格
『火炎逸走限界』って
なんですか?
『火炎逸走限界』は、
『最大安全すきま』
とも言われ、
JIS規格では、
3.7 最大安全すきま
IEC 60079-1-1に規定する条件で
10回試験を行った結果、
内部爆発(火炎)の伝ぱ(播)を
防止する奥行き25 mmの
接合面における最大すきま。
引用:爆発性雰囲気で使用する
電気機械器具−
第1部:耐圧防爆構造“d”
JIS C 60079-1
と定義されています。
どんな試験を
おこなうんですか?
それは、
標準容器と言われる
容器の内側と外側に、
爆発性ガスや蒸気と空気の
混合ガスを充満させた後、
内側で爆発させます。
爆発させて、
なにをみてるんですか?
爆発の炎が、
容器の内側から外側に広がるのを
防止してくれる、スキマの値が
『防爆等級』になります。
防爆性ガスの種類による
炎の広がり方の違いを
スキマの大きさで
分類しているんですね。
ちなみに、標準容器って
どんなものなんですか?
標準容器とは、
フランジ接合面に、奥行き25mmの
スキマがある内容積8リットルの
球状容器のことで、スキマの値が
変化できるようになっています。
『爆発等級』とは、
爆発性ガスや蒸気の
爆発の炎が広がるのを
防止してくれる、
スキマの大きさのこと
なんですね。
では、『発火度』に
ついても教えて下さい。
『発火度』は、
爆発性ガスが、自然発火する
温度を表しており、
5段階に分類されています。
三 発火度 | |
発火点の値(単位 度) | 記号 |
四五〇をこえるもの | G1 |
三〇〇をこえ四五〇以下 | G2 |
二〇〇をこえ三〇〇以下 | G3 |
一三五をこえ二〇〇以下 | G4 |
一〇〇をこえ一三五以下 | G5 |
そして、
これらをまとめたものが
となります。
つまり、de2G4は、
爆発等級が1~2で
発火度がG1~G4の中
であれば使用できる機器
だということですね。
そういうことです。
-
『爆発等級』は、『電気機械器具
防爆構造規格』に『火炎逸走限界』
と記載されている。 -
『防爆等級』とは、混合ガスを
充満させた標準容器を内側で
爆発させときに、炎が外側に
広がるのを防止してくれる
標準容器のスキマの値。 -
標準容器とは、フランジ接合面に
奥行き25mmのスキマがある
内容積8リットルの球状容器。 -
『発火度』は、爆発ガスが
自然発火する温度を表しており、
5段階に分類されています。
まとめ
導入する際は、現在使用している
爆発性ガスもしくは蒸気や液体の
爆発等級と発火度を把握し、
それに合った機器を導入して下さい。
電気機械器具であっても、
厚生労働省の登録検定機関に確認して、
検定合格証を取得して使用して下さい。