ウォーターハンマー現象対策!スチームトラップの役割・種類・構造とは

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蒸気配管から

蒸気が漏れているので

修理して下さい。

分かりました。

どの配管から、蒸気が

漏れているんですか?

あの配管ですね。

あ~。

スチームトラップから

蒸気が漏れてますね。

修理できますか?

 

スチームトラップ本体を
交換すれば問題ないですよ。

では、スチームトラップの

交換をお願いします。

分かりました。

 

では、スチームトラップを
手配します。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、『スチームトラップ』
について、簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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スチームトラップとは

そもそも、
『スチームトラップ』
ってなんですか?

私の分かる範囲での

説明になりますが

大丈夫ですか?

よろしくお願いします。

スチームトラップは
『蒸気トラップ』とも呼ばれ、
JIS規格では

10859 トラップ
機器、配管などからドレンを自動的に
排出する自力式のバルブの総称。

10860 蒸気トラップ
蒸気機器、蒸気配管などに用いる
トラップ。
引用:JISB 01000-バルブ用語

蒸気トラップ
蒸気機器から凝縮水を自動的に
排出し、原則として閉弁の間は
生蒸気を漏らさない弁装置を
内蔵しているもの。
引用:JISB 8401-蒸気トラップ

と定義されています。

つまり、
スチームトラップとは、

蒸気を配管から漏らさずに、
ドレンのみを排出させる
自動バルブのことなんですね。

 

そうなんです。

でも、ドレンを
排出させるだけなら、
手動のボールバルブでも
良さそうな気がしますが
ダメなんですか?

 

スチームトラップが
誕生する前は、

Point

定期的にバルブを開いてドレンを
排出させたり、バルブを常時微開放
状態にして、蒸気を漏らしながら
ドレンを排出していました。

 

じゃあ、手動バルブでも

代用可能なんですね。

ただ、

Point

定期的にバルブを手動で操作して
ドレンを排出させるのは面倒ですし、
排出し忘れる可能性もあります。

 

確かにそうですね。

しかも、

Point

ドレンの発生量は一定ではなく、
外気温の変化でも変わってきます。

 

なので、手動バルブだと

Point

ドレン発生量の変化に追従できず、
ドレンがたまる可能性がある上、
蒸気が放出され続けるので、
エネルギーロスにつながります。

 

手動バルブでは

難しいですね。

なので、

Point

溜まったドレンを速やかに排出し、
蒸気をできるだけ漏らさない、
『スチームトラップ』が
必要なんです。

 

なるほど。

スチームトラップとは
  • スチームトラップが誕生する前は、
    定期的にバルブを開いてドレンを
    排出させたり、バルブを常時微開放
    状態にして、蒸気を漏らしながら
    ドレンを排出していた。

  • バルブを手動で操作してドレンを
    排出させるのは面倒なうえ、
    排出し忘れる可能性もある。

  • ドレン発生量は一定ではなく、
    外気温の変化でも変わってくる。

  • 手動バルブだと、ドレンがたまり
    すぎる可能性があるうえ、
    蒸気が放出され続けるので、
    エネルギーロスにもつながる。

  • 溜まったドレンを速やかに排出し、
    蒸気をできるだけ漏らさない、
    『スチームトラップ』が必要。

 

ドレンによる問題点

スチームトラップが

ドレンを排出させる
自動バルブだという
ことは分かりました。

ただ、
配管にドレンがたまると
なんでダメなんですか?

そもそも、『ドレン』

ってなんですか?

一つ一つ解決して
いきましょう。

まず、
ドレンはJIS規格で

41002 ドレン
a) 蒸気管系の蒸気が復水したもの
  及び空気圧系で分離した
    油水分の総称。
b) 流体から分離した物質を
    排出すること。
引用:JISB 01000-バルブ用語

と定義されています。

『腹水』ってなんですか?

腹水とは、

Point

蒸気が冷却されてできた水
のことです。

 
 

なるほど。

では、このドレンが
蒸気配管の中にたまると
どうなるんですか?

ドレンが蒸気配管の
中にたまると、

Point
  • 配管の断面積が小さくなり、
    蒸気の通過量が減少する。
  • 配管や機器が腐食する。
  • ドレンが凍結し、配管や機器が
    破損する。
  • ウォーターハンマーが発生する。

などの原因になります。

 

『ウォーターハンマー』
ってなんですか?

ウォーターハンマーは、
『水撃作用』とも呼ばれ

Point

バルブの急な開閉によって、
配管内でドレンの流速が急激に
変化し、配管などに大きな衝撃を
与える現象のことです。

 

蒸気が配管内を高速で
流れた時、溜まっていた
ドレンが蒸気におされて
一気に流れてしまうんですね。

そうなんです。

連休明けなどに

Point

蒸気配管に蒸気を送ると、
配管内で「カンカンカン」
という音がすると思いますが、
あれがウォーターハンマーです。

 

確かに、休み明けに
蒸気を流すと音がしますね。

ウォーターハンマーの
衝撃がひどいと、

Point

配管接合部やバルブの破損に
つながるのでご注意ください。

 

ウォーターハンマー (発生のメカニズム)
参考:もっと知りたい蒸気のお話-
   株式会社テイエルブイ

ドレンを排出しないと

大変なことになるんですね。

ちなみに海外では、

『スチームハンマー』とも

呼ばれているそうです。

ドレンによる問題点
  • 蒸気配管のドレンとは、蒸気が
    冷却されてできた水のこと。

  • ドレンが蒸気配管の中にたまると、
    「蒸気の通過量が減少する。」
    「配管や機器が腐食する。」
    「ドレンが凍結する。」
    「ウォーターハンマーが
     発生する。」などの原因になる。

  • ウォーターハンマーとは、
    バルブの急な開閉によって、
    配管内でドレンの流速が急激に
    変化し、配管などに大きな
    衝撃を与える現象のこと。

  • ウォーターハンマーの衝撃が
    ひどいと、配管接合部や
    バルブの破損につながる。

 

スチームトラップの種類

スチームトラップの

重要性は、理解できました。

でも、どうやってドレンを
排出させているんですか?

スチームトラップは、

Point

用途や条件に合ったものを使用する
必要があるので、様々な作動方式が
あります。

 

どんな作動方式が

あるんですか?

作動方式は、大きく

Point
  • メカニカル式
  • サーモスタティック式
  • サーモダイナミック式

の3つに分類されます。

 

へー。

『メカニカル式』は、

Point

代表的なものにフロート式や
バケット式があり、ドレンがたまると
フロートやバケットが浮力によって
上下し、弁を開閉させてドレンを
排出します。

 

メカニカルトラップ
参考:スチームトラップの基本-
   株式会社テイエルブイ

浮力を利用してドレンを
排出させるのが、
メカニカル式なんですね。

そうです。

つぎは
『サーモスタティック式』
ですが、代表的なものに

Point

バイメタル式・ベローズ式・
エレメント式があり、蒸気が流入すると
膨張して弁が閉じ、ドレンが流入すると
収縮して弁が開き、ドレンを排出します。

 

サーモスタティック・スチーム トラップ(バイメタル式)
サーモスタティック・スチーム トラップ(ベローズ式)
参考:スチームトラップの基本-
   株式会社テイエルブイ

蒸気とドレンの温度差を
利用して、ドレンを
排出させるんですね。

最後は、
『サーモダイナミック式』
ですが

Point

入口と出口の途中に変圧室と呼ばれる
中間圧力の部屋があり、蒸気による
温度上昇によって圧力が上がると
変圧室の弁が閉じ、ドレンによる
冷却によって圧力が下がると
弁が開きドレンを排出します。

 

サーモダイナミック・スチームトラップ
参考:スチームトラップの基本-
   株式会社テイエルブイ

蒸気とドレンの圧力差を

利用して、ドレンを排出
させるんですね。

このように、
スチームトラップには
様々な作動方式があります。

スチームトラップの種類
  • スチームトラップは、
    「メカニカル式」
    「サーモスタティック式」
    「サーモダイナミック式」
    と3つの作動方式に分類される。

  • メカニカル式は、ドレンが
    たまるとフロートやバケットが
    浮力によって上下し、弁を開閉
    させてドレンを排出する。

  • サーモスタティック式は、蒸気が
    流入すると膨張して弁が閉じ、
    ドレンが流入すると収縮して
    弁が開き、ドレンを排出する。

  • サーモダイナミック式は、
    蒸気による温度上昇によって
    圧力が上がると変圧室の弁が閉じ、
    ドレンによる冷却によって圧力が
    下がると弁が開きドレンを排出する。

 

スチームトラップの取付方法

スチームトラップに

色んな種類がある事は

分かりました。

でも、
どうやって使い分けて

いるんですか?

用途に合わないタイプを
選んでしまうと

Point

動作不良によってドレンが排出
できなかったり、ひどいときには
蒸気が吹き出す場合もあるので
十分注意して下さい。

 

怖いですね。

スチームトラップの取付は、

Point
  • ドレンの流れ方向
  • 取付方向
  • メンテナンススペース

などに注意して取り付けて下さい。

 

ふむふむ。

まず、
スチームトラップには

Point

ドレンの流れ方向が矢印などで
明示されているので、必ず流れ
方向を確認して取付けて下さい。

 

次に取付方向ですが、

Point

メカニカル式は基本、垂直配管用と
水平配管用があり、それぞれ専用の
取付方法でしか使用できません。

 

メカニカル式は、

浮力で弁を開閉させるから

取付ける方向を間違えると、
上手く作動しないんですね。

そうなんです。

スチームトラップの
取付方向は、

Point

構造と作動原理に基づいて決まって
いるので、取付方向が正しくないと
正しく作動しません。

 

では、
サーモダイナミック式は
どうなんですか?

サーモダイナミック式は、

Point

基本、垂直配管と水平配管の
どちらでも使用できます。

 

圧力の変化で弁を開閉
させるから、どちらでも
使用可能なんですね。

そうなんです。

では、
サーモスタティック式は
どうなんですか?

基本的に
サーモスタティック式も

Point

垂直配管と水平配管のどちらでも
使用できます。

 

ただし、

Point

垂直配管に取付けた場合、
ドレンのたまり方によっては、
温度にムラが出来、動作が
不安定になることがあります。

 
トラップの取付方向
参考:もっと知りたい蒸気のお話-
   株式会社テイエルブイ

条件付きで
垂直配管に使用可能
という感じですね。

最後は
メンテナンススペース
ですが、

Point

通常、スチームトラップは経年劣化
によって正常に作動しなくなります。
そのため、将来交換作業が容易に
行えるよう、周囲にスペースを十分
確保して取り付けて下さい。

 

正常に作動しなくなっても
スチームトラップのみ
交換できると楽ですね。

 
スチームトラップの取付方法
  • スチームトラップには、
    ドレンの流れ方向が必ず、
    矢印などで明示されているので
    方向を確認して取り付ける。

  • メカニカル式は、垂直配管用と
    水平配管用があり、それぞれ
    専用の取付方法で使用する。

  • サーモダイナミック式は、
    垂直配管と水平配管の
    どちらでも使用できる。

  • サーモスタティック式も垂直配管・
    水平配管のどちらでも使用できるが
    垂直配管に取付けた場合、
    ドレンのたまり方によって温度に
    ムラが出来、動作が不安定になる。

  • スチームトラップは経年劣化に
    よって正常に作動しなくなるので、
    将来交換作業が容易に行えるよう、
    周囲にスペースを十分確保する。

 

まとめ

スチームトラップは、蒸気配管から
なるべく蒸気を漏らさずに、ドレンのみを
排出させる自動弁の一つです。

蒸気配管の中にドレンがたまると
熱伝導効率が低下したり、
ウォータハンマーによって
配管や機器の破損や腐食の原因にも
なるので、スチームトラップで
速やかに排出させる必要があります。
 
そのため、用途に合った
スチームトラップを正しく
取り付けて使用して下さい。

ありがとうございました。