害虫がいっぱい
工場内に入ってくるので
本当に困ります。
温度・湿度ともに
害虫が繁殖しやすい
気候ですからね。
そうなんです。
ちなみに、
外部侵入型害虫は、
- 飛翔性害虫
- 歩行性害虫
に分類され、
工場内の害虫混入や付着の
原因の70%以上が
飛翔性害虫だと
言われています。
圧倒的に
飛翔性害虫による
問題が多いんですね。
そうなんです。
ただ、飛翔性害虫の
ほとんどは、侵入後
1~3日以内に死亡します。
数は多いですが、
短命なんですね。
ただ、一部の種類は、
屋内で繁殖するので
注意して下さい。
屋内で繁殖したら
もう大変ですよ。
では、歩行性害虫は、
どうやって侵入して
くるんですか?
歩行性害虫は、
開いてる出入口やドアの
隙間から侵入してきます。
歩行性害虫って
アリ・クモ・ムカデ
みたいな虫ですよね。
そうです。
一般的に、歩行性害虫の
混入や付着の頻度は
低いとされています。
ただ、侵入後の寿命は
比較的長く、特にクモ類は
工場内で繁殖するので
注意が必要です。
侵入を防止する
良い対策があれば
教えて下さい。
害虫の侵入を防止するには、
- 発生源の除去
- 工場への誘引防止
- 工場への侵入防止
- 侵入害虫の即時駆除
を段階的に行う必要が
あります。
これらの防虫対策を
段階的に行うと
効果がありそうですね。
という、やりとりがありました。
今回は、
『外部侵入型害虫の侵入防止対策』
について簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。
発生源の除去
『外部侵入型害虫の
侵入防止対策』には、
どういう方法が
ありますか?
私の分かる範囲での
説明になりますが
大丈夫ですか?
よろしくお願いします。
まず、
工場内に侵入してくる
害虫の多くは、「工場の
敷地内で発生している」
のはご存じですか?
そうだったんですか!
言われてみれば、
あんなに小さな虫が
遠くから移動してくるとは
考えにくいですもんね。
そのため、
外部から侵入してくる害虫の
侵入防止対策の第1段階は、
『発生源の除去』になります。
『発生源の除去』には、
どんな方法がありますか?
まず、
外部から侵入してくる害虫の
発生源の多くは、
緑地や水がある場所です。
じゃあ、工場内の
緑地をなくせば
いいじゃないですか。
そんなに簡単には
いかないんですよ。
なぜですか?
じつは、
ある一定の規模を超えた工場は、
工場立地法により、緑地の設置が
義務付けられており、緑地を
なくすことはできないんです。
そうなんですか!
そのため、
- 敷地内に生えている雑草を
定期的に除草する。 - 緑地を工場の出入口や開口部・
搬入・搬出口から離す。
など、害虫の発生や侵入を防止する
環境づくりが大切になります。
どれぐらい距離をとれば
いいですか?
そうですね。
工場建物と緑地は、出来る限り
遠ざけるのが原則で、一般的に
3M以上が基準と言われています。
なるほど。
特に出入口・開口部などの
虫の侵入口は、できる限り
距離を取る必要があります。
また、一般的に
針葉樹(松を除く)は、虫が付きにくく
広葉樹には、虫が付きやすい
と言われており、針葉樹主体の
緑地がおすすめです。
なるほど。
他には、
- 噴水や池を作らない。
- 道路や駐車場の水たまりをなくす。
などを行い、繁殖を防いでください。
わかりました。
これらの対策を行うと
同時に、
定期的に殺虫剤を散布して、
建物に侵入する害虫の
数を減らしてください。
分かりました。
-
外部からの害虫侵入防止対策の
第一段階は『発生源の除去』。 -
外部侵入型害虫の発生源の多くは、
緑地や水がある場所。 -
雑草の定期的な除草や、
工場建物と緑地を出来る限り
遠ざけることで、害虫の発生や
侵入を減らすことができる。 -
針葉樹は、虫が付きにくく、
広葉樹には、虫が付きやすい。
と言われている。 -
噴水や池・道路や駐車場の
水たまりをなくし、繁殖を防ぐ。 -
定期的に殺虫剤を散布して、
害虫の数を減らす。
工場への誘引防止
では、第2段階の
『工場への誘引防止』
について教えて下さい。
分かりました。
まず、
外部にいる害虫が
工場に寄ってくる原因は、
なんだと思いますか?
「飛んで火にいる夏の虫」
というくらいなので、
明るいところに寄って
くるんだと思います。
他に、なにかありますか?
外部から侵入してくる
害虫の多くは、
- 光源
- 臭気
- 熱源
- 気流
の要因に誘引されて工場内に
侵入してきます。
光は当たってました。
大抵の昆虫は、
光に集まる習性を
持っています。
中でも飛翔性害虫は、
光に集まる虫が
特に多いです。
確かに夜の光に
集まってる虫って
だいたい飛んでますね。
しかも、
夜行性の害虫は、ブラックライトや
水銀灯など、光の波長が
300~400nmの紫外線を多く
放射する光源に誘引されます。
「虫対策」虫でお困りではありませんか?
参考:岩崎電気株式会社
夜は光ってると
目立ちますもんね。
そのため、
400nm以下の波長が、ほとんど
発生しないLEDやUVカットランプ
を使用することで、紫外線に誘引される
害虫を抑制することが出来ます。
だから、LEDライトに
「防虫効果がある。」って
言われているんですね。
このように、
害虫の多くは、照明などの光源に
誘引されるので、
- 照明の光を外に漏らさない。
- 紫外線カットの照明を使う。
- 紫外線カットのフィルムを貼る。
- 窓をなくす。
などの対策を行う必要があります。
屋外に光が漏れてたら
虫を引き寄せる
原因になりますもんね。
他の要因についての
対策も教えて下さい。
他要因の対策は、
廃棄物や生ゴミ・排水関係などから
出る悪臭が害虫を誘引するので、
清掃を徹底して行い、臭気を
発生させないようにする。
や
外気温が下がる時期や夜間に
暖を求めて、害虫がやってくるので
排気口に防虫ネットを張ったり
出入口やカベなどの隙間をなくし、
害虫の侵入を防止します。
清掃をこまめに行うことや
隙間をなくすことが、
害虫の侵入対策に
なるんですね。
最後は気流ですが、
『陰圧』と言われる、工場の
外側から内側に空気が流れ込む
状態だと、簡単に害虫が内側に
吸い込まれてしまいます。
なるほど。
そのため、
内側から外側に空気が流れる、
『陽圧』にすることで
害虫の侵入防止が行えます。
工場内を『陽圧』に
することが、防虫対策に
なるんですね。
このように、
害虫の誘引要因を理解し、
対策を行うことで、
工場に侵入してくる害虫が
間違いなく減少します。
確かに、誘引要因を
理解することで、
工場内に侵入してくる
害虫を減らせますね。
-
外部から侵入してくる害虫の
多くは、光源・臭気・熱源・
気流に誘引される。 -
多くの害虫は、
光・紫外線に誘引されるので、
「照明の光を外に漏らさない。」
「紫外線をカットする。」
などの対策を行う必要がある。 -
廃棄物や生ゴミ・排水関係などの
悪臭が害虫を誘引するので、
清掃を徹底して行い、
臭気を発生させない。 -
暖を求めてやってくる害虫には、
防虫ネットを張ったり、出入口や
カベなどの隙間をなくし、
害虫の侵入を防止する。 -
『陰圧』だと、簡単に害虫が
内側に吸い込まれるので、
内側から外側に空気が流れる、
『陽圧』にして侵入を防止する。
工場への侵入防止
では、第3段階の
『工場への侵入防止』
について教えて下さい。
基本的に、
害虫が侵入してくる量は、
工場の立地条件や構造、
人・資材が出入りする頻度に
よって大きく変わります。
確かに、市街地にあるか
山林にあるかで
発生率は違いますよね。
そうなんです。
そして、侵入箇所は
- 出入口のドアやドア周り
- シャッターやシャッター周り
- 天井や窓・サッシ・壁のスキマ
- 換気扇・排水溝・給排気口
など、ありとあらゆる隙間や
開口部から侵入してきます。
害虫は、どこからでも
侵入してきますね。
1mmのスキマがあれば
侵入してくる害虫がいる。
と言われています。
どうすれば、
侵入を防止できますか?
まず、網戸の場合
市販の網戸は、16~20メッシュが多く
工場で問題となる微小の害虫は、
侵入してくる可能性があります。
では、
網目を小さくすれば
侵入防止になりますね。
そうですね。
ただ、
40~60メッシュの細かい網目だと、
侵入防止に大きな効果はありますが、
もともとの空気を取り込む役目が
果たせなくなります。
そうなると、
「はめ殺し」にして、
空調で温度を管理
したほうがよいですね。
そういった方法も
ありますね。
では、
スキマをなくすには
どうしたらいいですか?
そうですね、
外壁や屋根・窓などの穴やスキマに
コーキングを行うなど、スキマを
なくして侵入を防ぐ方法があります。
では、出入口などの
人が頻繁に通る場所は
どうしたらいいですか?
そういった場合は、
出入口の前に風除室や前室を設けたり、
エアシャワーやエアカーテンを
設けて侵入を防止します。
物の出入りの場合は
どうしたらいいですか?
資材や製品の
搬入や搬送は、
高速シャッターやビニールカーテン
などを取り付け、防虫対策を行います。
-
害虫の侵入してくる量は、
立地条件や構造、人・物が
出入りする頻度で大きく変わる。 -
出入口・シャッター・天井・窓・
壁のスキマや排水溝・給排気口
など、ありとあらゆる隙間や
開口部から侵入してくる。 -
16~20メッシュの市販の網戸は、
工場で問題となる微小の害虫が
侵入してくる可能性がある。 -
40~60メッシュの細かい網目は、
侵入防止に大きな効果はあるが、
空気を取り込む役目は果たせない。 -
外壁や屋根・窓などの穴や
スキマにコーキングなどを行い、
スキマをなくして侵入を防ぐ。 -
出入口の前に風除室や前室を
設けたり、エアシャワーや
エアカーテンを設けて
侵入を防止する。 -
高速シャッターや
ビニールカーテンなどを
取り付け、侵入を防止する。
侵入害虫の即時駆除
これらの対策を行っても
工場内に侵入してきた時は、
どうしたらいいですか?
工場内に害虫が
侵入してしまったなら、
製品に混入する可能性があるので、
速やかに駆除する必要があります。
どのような方法が
ありますか?
殺虫剤を使った駆除は
もちろんですが、
他には、
- 電撃殺虫器
- 吸引捕虫器
- 粘着捕虫器
などを使って駆除します。
誘虫灯で誘引させて
駆除するものですね。
そうです。
光に誘引される害虫を
早期駆除するには、
大変有効なものです。
ただし、
取付け方を間違えると、
- 外部から誘引してしまい、
逆に増加する。 - 生産ラインに近づけて設置すると、
混入の危険性が増す。
などの危険が増すので、
注意して取り付けて下さい。
外から見える場所に
誘虫灯を設置すると
逆に、その光に
害虫が寄ってきて
増えちゃいますね。
-
侵入した害虫を見つけた場合、
製品に混入する可能性が
あるので、速やかに駆除する。 -
殺虫剤以外に、電撃殺虫器・
吸引捕虫器・粘着捕虫器などを
使って駆除する。 -
殺虫器・捕虫器の取付け方を
間違えると、侵入数や混入の
危険性が増すので注意が必要。
まとめ
最近は、環境への負荷や
食の安全への要望が高まり、
殺虫剤を使わない防虫対策が
求められています。
そのため、侵入してくる害虫の
生態を理解し、工場敷地内で
繁殖・侵入させないような
対策を行う必要があります。
ただ、これらの対策を行っても、
侵入してくる害虫はいるので、
殺虫器や殺虫剤を使って、
製品に混入しないよう、
速やかに駆除して下さい。
外部から侵入してくる
害虫の種類や生態を調査し、
自分の工場に合った防虫対策を
行ってください。
ありがとうございました。