フィルムを巻き取る前に、
付着したホコリなどをとる
小型の集塵機が欲しいです。
じゃあ、『ろ過式』で
『高圧型』の集塵機が
いいかもしれませんね。
ろ過式とか高圧型って
なんですか?
結局、
種類がいっぱいあって
なにを選べばいいのか
分からないんです。
たしかに、
集塵機を選定するのは
難しいですよね。
なにを調べれば、
選定できますか?
集塵機を選定するには、
- 集塵物質
- 発生源
- 発生量
- 集塵方式
- 集塵能力
- 使用環境
- 稼働時間
- フード形状
などを調べる必要があります。
色々調査しないと
いけないんですね。
集塵したい物質や
発生源・量などは
分かりますが、
稼働時間ってなんですか?
稼働時間とは、
集塵機を連続で運転できる
時間のことで、
24時間連続で
運転したい場合は、
24時間連続運転可能な
機種を選ぶ必要があります。
分かる範囲で調べてから、
また連絡します。
という、やりとりがありました。
今回は、『集塵機』について
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。
集塵機とは
そもそも、『集塵機』
ってなんですか?
私の分かる範囲での
説明になりますが
大丈夫ですか?
よろしくお願いします。
まず集塵機は、
JIS規格で
集じん装置
処理ガスからダスト及びミストなどを
分離捕集する装置で、これに必要な
前処理及び付帯設備を含む。
引用:JIS B 9909-
集じん装置の仕様の表し方
と定義されています。
粉じん以外にもガスや
ミストなど様々な用途で、
使用されているんですね。
そうなんです。
ちなみに今回、
集塵機を設置する
目的ってなんですか?
先ほども言いましたが、
『集塵目的』です。
それ以外に、
なにかあるんですか?
集塵装置の設置目的は、
今回のように
製品不良を減らしたり、作業環境の
改善・公害防止といった集塵目的
以外にも、回収・再利用といった
用途でも使用されます。
再利用目的で『集塵』
という考えはなかったです。
そして、
発生する粉塵の名称や比重・吸湿性・
摩耗性・温度といった物質的性質や
腐食性・可燃性・引火性といった
化学的性質を調べる必要があります。
たしかに。
例えば、
アルミナのような摩耗性の高い物質や
腐食性が強い物質・爆発性の高い物質
など、それぞれの用途に合った
集塵機を選定する必要があります。
たしかに、
集塵する物質を知らないと
話にならないですよね。
他には、なにか
調べることありますか?
他には、
出来る限り発生源に近いポイントで
集塵する必要があるので、
粉塵の発生源と発生量を正確に
つかむ必要があります。
たしかに、発生源と
関係ないところに設置しても
意味ないですもんね。
ただ、発生量は
どうやって調べるんですか?
じつは、
発生量を調べるといっても、
空気中に浮遊しているので
正確にはつかみづらいんです。
じゃあ、どうすれば
いいんですか?
これについては、
初めて集塵機を設置する場合、
どれくらいの量が集塵できるか
分からないので、過去の類似例から
選定するのが一番安全なんです。
はじめて集塵機を設置する場合、
「集塵量の把握はできない。」
と思ったほうが良いですね。
そうなんです。
すみません。
-
集塵機とは、処理ガスから
ダスト及びミストなどを
分離・捕集する装置のこと。 -
集塵装置は、集塵目的以外に
回収や再利用といった用途でも
使用される。 -
発生する粉塵の名称や物質的性質・
化学的性質を調べる必要がある。 -
摩耗性の高い物質や腐食性が強い
物質・爆発性の高い物質など、
それぞれの用途に合った集塵機を
選定する必要がある。 -
出来る限り発生源の近くで
集塵する必要があるので、粉塵の
発生源と発生量を正確に把握する。 -
初めて集塵機を設置する場合、
正確な集塵量はつかめないので、
過去の類似例から選定する。
集塵機の種類
つぎは、
集塵機の種類について
教えて下さい。
集塵機は大きく
- 湿式集塵装置
- 乾式集塵装置
に分類されます。
なにが違うんですか?
湿式集塵装置は、
水やその他の液体によって
常時濡らして粉塵を回収する装置で
乾式集塵装置は、
水やその他の液体を使わずに、
粉塵を回収する装置です。
今回ほしいのは、
乾式集塵装置です。
では今回は、
乾式集塵装置について
説明していきます。
お願いします。
乾式集塵装置には、
- ろ過式集塵機
- 電気式集塵機
- 遠心分離式集塵機
などがあります。
集塵装置
参考:一般社団法人 粉体工学会
どんな特徴が
あるんですか?
『ろ過式集塵機』で
代表的なものは、
0.5μm以下の粒子も捕集できる
バグフィルターを使った集塵機で、
極端な悪条件でもない限り、
万能的に使えるので、公害対策で
最も有力な集塵方式です。
ろ過集塵,濾過集塵,フィルター集塵
参考:一般社団法人 粉体工学会
周りでよく見る
集塵機のほとんどは、
ろ過式集塵機ですね。
そうです。
次に
『電気式集塵機』は、
どうやって
捕集するんですか?
電気式集塵機は、
電極間でコロナ放電を発生させ、
空気やガス中の微粒子やダストを
引き寄せ捕集します。
電気集塵
参考:一般社団法人 粉体工学会
静電気の力を利用して
捕集するんですね。
しかも、
電気式集塵機は、
0.5μm以下といった極微粒子の
捕集にとても優れているので、油煙や
有害ガスなどの捕集に向いています。
油煙の捕集って、
本当に大変ですよね。
めちゃくちゃ
いいじゃないですか。
ただ、
電気集塵機は、
大型のものが多いうえ、微粒子や
ダストなどから発生する粉塵の
電気的性質や流速・滞留時間に
影響されやすいんです。
おもに電気式集塵機は、
大型設備の付帯設備として
使用されているんですね。
おもに焼却炉や溶解炉などで
使用されています。
最後に、
『遠心分離式集塵機』
について教えて下さい。
遠心分離式集塵機の
代表的なものは
サイクロン方式で、
フィルターを使わずに吸い込んだ
気体を、遠心力で個体ときれいな
気体に分離させます。
遠心力集塵
参考:一般社団法人 粉体工学会
サイクロン掃除機とか
よく聞きますよね。
フィルターがないのは、
ランニングコストが
減るので良いですね。
ただ、
一般的なサイクロン方式で集塵できる
粒子の大きさは、10~20μm程度で、
分離能力は、5μmが限界だと
言われています。
比較的大きな粒子を
捕集する場合に
使用するんですね。
あとは、
高性能集塵機前に大きい粒子を
捕集する粗取り用途で使用されます。
なるほど。
-
集塵機は、「湿式集塵装置」と
「乾式集塵装置」に分けられる。 -
乾式集塵装置は、液体を使わずに
粉塵を回収する装置のことで、
「ろ過式集塵機」「電気式集塵機」
「遠心分離式集塵機」などがある。 -
ろ過式集塵機は、フィルターを
使った集塵方式で、万能的に使える
公害対策では最も有力な集塵機。 -
電気式集塵機は、コロナ放電を
発生させ、空気やガス中の
極微粒子やダストを引き寄せて
捕集する。 -
遠心分離式集塵機の多くは
サイクロン方式で、フィルターを
使わず、吸い込んだ気体を遠心力で
個体ときれいな気体に分離させる。 - 一般的なサイクロン方式で
捕集できる粒子の大きさは、
5μmが限界だと言われている。
風量型と高圧型の違い
最初に言っていた
『高圧型』ってなんですか?
ろ過式集塵機には、
- 風量型集塵機
- 高圧型集塵機
があります。
なにが違うんですか?
風量型は、
換気扇のように空気に浮遊している
粉塵を吸い込む集塵機のことです。
空気清浄機みたいですね。
そして、
風量は、1分間に吸引できる
空気量のことで、
単位は『m3/min』で表します。
20m3/minだと、
「1分間に20m3の空気を
吸い込むことが出来る。」
ということですね。
そういうことです。
なので風量型は、
大風量を生かして集塵できるように、
ダクトホースは大口径で吸込フードを
広げて使用するのが一般的です。
広範囲の空気を
取り込めるように、
開口面積を大きくして
使用するんですね。
次に『高圧型』は、
掃除機のように高い圧力で、
近くにあるものを吸い込むことに
特化した集塵機です。
なるほど。
この吸い込む力を
『静圧』と言い
静圧は、空気の流れに無関係な
状態における圧力のことで
単位は『kPa』で表します。
静圧の値が大きいほど、
吸引力が上がるんですね。
そうです。
そして高圧型は、
空気を取り込む隙間を小さくすると
大きな風速を得ることが出来るので、
吸込みフードの開口面積を
小さくするのが一般的です。
開口面積を小さくすることで
静圧が高くなり、付着した粉塵でも
集塵することが出来るんですね。
-
ろ過式集塵機には、
「風量型集塵機」と
「高圧型集塵機」がある。 -
風量型は、換気扇のように
空気に浮遊している粉塵を
吸い込む集塵機のこと。 -
風量型は、1分間に吸引できる
空気量を『m3/min』で表し、
大風量を生かして集塵できるよう、
開口面積を大きくする。 -
高圧型は、掃除機のように
高い圧力で、近くにあるものを
吸い込むことに特化した集塵機。 -
高圧型は、吸い込む力『静圧』を
『kPa』で表し、空気を取り込む
隙間が小さいほど大きな風速を
得るので、開口面積を小さくする。
吸込フードとダクトの注意点
『吸込フード』について
教えて下さい。
というか、吸込フード
ってなんですか?
フードは日本語で、
頭巾やカバー・覆いと訳され、
粉塵の発生源を覆う形で設置する
吸込口のことです。
発生源を覆うから
フードなんですね。
そして、
吸込フードは
発生源の出来るだけ近くに、
適した形状・大きさのものを
取り付ける必要があります。
場所に合った吸込フードを、
特注で作ったほうが
集塵効率が良さそうですね。
そうなんです。
現場の作業内容に
よっては、
取り付けた吸込フードが
邪魔になってしまう場合が
あるので注意が必要です。
たしかに、
作業の邪魔になると
勝手に取り外される
可能性がありますね。
なので、
作業者とよく打ち合わせを行い、
必要に応じて実物模型を作るなど
現場に合った形状のものを
製作する必要があります。
たしかにその通りです。
また、集塵機は
離れた場所に設置し、
その間をダクトで
つなぐのが一般的です。
たしかに、
粉塵発生源のすぐそばに、
集塵機を設置することは
ほとんどないですね。
そうですよね。
しかも、
使用されるダクトやダクトホースは、
長期間ほとんど点検もなく
使用され続けます。
たしかに。
そのため、どれだけ
空気抵抗がかからない
方法で設置したとしても
長期間使用すると粉塵が堆積し、
圧力損失が大きくなったり、摩耗・
騒音・閉塞などの原因になります。
たしかに、
ダクト内の点検を
したことはないです。
なので、
ダクトを点検しやすい構造にして、
半年から1年に1度程度は、
点検をおこなうと良いですよ。
そう言われれば、
最近、吸込みが
弱くなった気がする
場所がありますね。
せっかくなので、
一度調査してみます。
-
フードは日本語で、頭巾やカバー・
覆いと訳され、吸込フードは
粉塵の発生源を覆う形で設置する
吸込口のこと。 -
吸込フードは、発生源の出来るだけ
近くに、適した形状・大きさの
ものを取り付ける必要がある。 -
取付けた吸込フードが、
作業の邪魔になる場合があるので、
実物模型を作るなど現場に合った
形状のものを製作する必要がある。 -
ダクトやダクトホースは、
長期間使用すると粉塵が堆積し、
圧力損失が大きくなったり、摩耗・
騒音・閉塞などの原因になる。 -
ダクトを点検しやすい構造にし、
半年から1年に1度程度は、
点検をおこなうと良い。
まとめ
集塵機は、作業環境の改善だけでなく
粉塵の回収・再利用にも使用されます。
そして、集塵機を設置する際には、
粉塵やガスの特性によって集塵方式を
選定したり、発生源や発生量を調査する
必要があります。
ただし、どんなに優れた集塵機でも
100%粉塵の回収が出来るわけでは
ないので、どの程度まで「漏れを
許容できるか?」「吸込フードは
どの位置まで持っていけるのか?」など
現場と作業者・技術者といった方々と
よく打ち合わせを行って設置して下さい。
ありがとうございました。