平行キーの新JIS・旧JISの違いとは?1976年が境目
💬 機械メンテナンスの現場にて
部品手配の際、こう確認をされて
戸惑った経験はありませんか?
「平行キーの注文、新JISと
旧JISのどちらにしますか?」
結論からいうと、この2つの大きな違いは
「寸法体系(幅・高さ)」と
「1976年の規格改訂」にあります。
以前の規格が「旧JIS」、
以降のISO規格準拠が「新JIS」です。
「今どき古い規格なんて…」
と思うかもしれませんが、
実はメンテナンスの現場では、
今も旧JISが欠かせません。
現場で即役立つ新旧の見分け方や
使い分けを、スッキリ解説します!

キーが摩耗していたので、
在庫のキーを持って
きたんですけど…
なんか微妙にサイズが
違うんですよね。

幅は合ってる気がするのに、
高さが違うというか…。
これって不良品ですか?

いや、それは
不良品じゃないですよ。
新JISと旧JISでは、
寸法と寸法公差が
違うんです。

キーに新JISと旧JISが
あるんですか?

1976年にISO規格との
整合を図るために改訂され、
改訂以降を『新JIS』、
改訂以前を『旧JIS』
と呼んでいます。

1976年改訂なら、
そんなに古い『旧JIS』は
もう使われていないんじゃ
ないですか?

おっしゃる通りで
新規の機械設計には、
新JISしか使っていない
と思います。

ですよね。

ただ、1976年以前に
作られた機械も、
まだまだ、数多くあるので
旧JISも使われているんです。

旧JISの機械も現役で
動いているので
旧JISの平行キーも
販売されているんですね。
という、やりとりがありました。
【決定版】平行キーの新JIS・旧JISはどう選ぶ?1976年が境目の理由
「在庫のキーが微妙に合わない…」
そんな現場のトラブルをスッキリ解決!
1976年の規格改訂による寸法体系の
違いから、メンテナンス現場で今なお
旧JISが必要な理由、見分け方のコツまで、
現場目線で分かりやすくお届けします。
トラブルを防ぐ基礎知識!平行キーの「役割と材質」を再確認

そもそも『平行キー』
って何ですか?

平行キーとは、
平行キーの主な役割:
- ✔ モーター等の「回転」を
ロスなく伝える - ✔ シャフトと歯車・プーリーを
確実に連結する - ✔ 「伝動の要」として動力を
確実に伝達する
四角い棒一本に見えますが、
軸とボスの双方にある
「キー溝」に噛み合い、
大きな動力を確実に伝達します。

四角の棒をはめるだけの
簡単な仕組みで
回転を伝えているんですね。

キーとキー溝は、
『JIS B 1301』に
規定されており
JIS B 1301で規定される主な材質:
-
- ✔引張強さ:
600N/mm²以上が必要 - ✔ 主要材質:
S45C、S55C、ステンレスなど
- ✔引張強さ:
- ✔ 表面処理:
用途に応じて焼入れされる場合も
「ただの鉄棒」ではなく、強い負荷に
耐えるため厳格な強度規格(S45C等)
が定められています。
JIS B 1301:
平行キー、こう配キー及びキー溝
駆動軸と回転部品(プーリーや歯車など)
を結合し、トルクを伝達するための
キーの形状、寸法、公差、および材料の
強度について規定されている。
💡 あわせて読みたい材質の知識

サビやすい場所で使える
ステンレス製も規格に
あるんですね。

水回りや薬品を扱う現場では、
ステンレス製のキーを使うことで、
後々「サビて抜けない!」
というトラブルを防げます。
- ✔ 軸とボスの「キー溝」に噛み合い、
モーター等の回転動力を確実に
伝える「伝動の要」となる部品。 - ✔ 寸法や材質は『JIS B 1301』規定。
大きな負荷に耐えるため、
引張強さ600N/mm²以上の
性能が求められる。 - ✔ 主要材質はS45CやS55C。
用途に合わせて「焼入れ」を施し、
硬度や耐久性を高める場合もある。 - ✔ 水回りや腐食懸念の現場では、
SUS316等のステンレス製を採用。
サビによる「固着」を防ぐ鉄則。
平行キーの種類と形状|両丸・両角・片丸の違いと使い分け

平行キーの端部が
丸いものや四角のものが
ありますが違いは何ですか?

基本は四角い棒ですが、
実は「端のカタチ」に
3つのバリエーション
があります。
平行キーの主な形状(端の処理):
- ✔ 両丸形(A形):
両端が丸い。 - ✔ 両角形(B形):
両端が角ばっている。 - ✔ 片丸形(C形):
片方が丸く、片方が角。
図面上の「A形・B形」は
端部形状のこと。
まずは現物の「端部」を見て
種類を特定しましょう。

性能面に違いは
ありますか?

性能面に大きな違いは
ありません。

では、すべて両角形でも
問題ないんですか?

「溝は両丸だけど、
手元には両角しかない…」
そんな時、使えるかどうか
不安ですよね。
形状が違っても「互換性」はある?
結論は、「平行部分(側面)」の
寸法さえ合っていれば、
機能的には問題ありません。
- ✔ トルクを伝えるのは「側面の面圧」。
- ✔ 端の丸みは、あくまで
「入れやすさ」や「溝加工の都合」。 - ✔溝よりキーが長くなければOK。
端の形状にこだわりすぎるより、
まずは「幅と高さ」が正しく
噛み合っているかを優先しましょう!

じゃあ、なんで色んな
種類があるんですか?

「どれを使ってもいい」
と言われると、
逆にどれを選ぶべきか
迷いますよね。
現場で使い分ける3つの判断基準:
- ✔ 加工性:
エンドミルで溝を掘るなら
「丸形」が自然。 - ✔ 整備性:
抜きやすさ重視なら「角形」が
有利な場合もある。 - ✔ 意匠性:
露出部なら見た目の美しさで
選ぶ設計者も。
基本は「元の設計通り」が
鉄則ですが、代用品を選ぶ際は
これらの背景を知っておくと
判断がスムーズになります。

そうなんですね。

実は、現場の知恵として
「あえて1種類に絞る」
という合理的な運用も
よくあります。
なぜ「両角形」に統一する
現場が多いのか?
最大の理由は、長尺のキー材
(300mm等)を必要な長さに
切断して使う方が
「速くて安い」からです。
- ✔ 在庫管理:
1本あればどんな長さにも対応可能。 - ✔ 即応性:
特注の完成品を待つ必要がない。 - ✔ 柔軟性:
切断すれば、必然的に両角形。
端が丸くないと入らない溝でない限り、
「切り出し運用」がメンテ現場の鉄則。
無駄な在庫を増やさない知恵ですね。

形状の悩みは、
解決できました。

形状は、現場の状況に
合わせればOKです。
- ✔形状は「両丸・両角・片丸」
の3種で、図面記号では
A形・B形・C形と記される。 - ✔ 「平行部分」の寸法が
重要なため、端部形状が違っても
性能面に大きな差はない。 - ✔ 溝形状、組みやすさ、整備性
などで使い分けるが、迷ったら
「元の設計通り」が鉄則。 - ✔ 在庫管理や即応性の観点から、
長尺材を切断して「両角形」で
運用する現場も多い。
キーの種類と使い分け|形状・記号・用途を徹底解説

テーパーになっている
『キー』がありますが
あれは何ですか?

実はキーには、
| 📊 キーの種類及び記号 | ||
|---|---|---|
| 種類 | 形状の詳細 | 記号 |
| 平行キー | ねじ用穴なし | P |
| ねじ用穴付き | PS | |
| こう配キー | 頭なし | T |
| 頭付き | TG | |
| 半月キー | 丸底 | WA |
| 平底 | WB | |

という種類があります。

テーパーがかかったものは
こう配キーです。

あれは、こう配キーと
言われるものなんですね。

ところで、平行キーの
『ねじ用穴付き』って
何に使うんですか?

最初に話した通り、キーは
シャフトの回転を効率よく
歯車やプーリーといった
ボスに伝えます。

ただ、
ねじで固定する事で、
ねじ用穴付き(PS)が選ばれる理由
- ✔ ボスの位置調整:
回転を伝えたまま、ボスを軸方向に
スライド(摺動)させたい時に必要。 - ✔ 浮き上がり防止:
キーをねじで軸にがっちり固定し、
ボスの移動による脱落を防ぐ。 - ✔ メンテナンス性:
固着したキーを、ねじ穴を利用して
安全に引き抜くことができる。

どのような用途で
使用するんですか?

主に、
主な活躍シーン:クラッチや変速機
「回転を伝えたままスライドできる」
特性を活かし、動力の断続やギヤの
切り替えが必要な場所で重宝されます。
摺動運用なら、
溝の「面取り・バリ取り」が鉄則。
カジリを防ぐ丁寧な仕上げが
寿命を分けます。

平行キーがボルトで
固定されていたら
軸方向に摺動する装置
ということですね。

では、
『こう配キー』についても
教えて下さい。

こう配キーは、
強力な固定力:こう配キーの特徴
1/100程度の「傾斜(こう配)」
がついたキーです。
打ち込むことで強力な「くさび効果」
が生まれ、ガタつきを徹底的に抑えて
抜けにくくなるのが最大の特徴です。
逆方向に叩かないと抜けないほどの
固定力。振動が激しい箇所や、
絶対に位置をズラしたくない場所で
頼りになる存在です。

1/100こう配って何ですか?

1/100こう配とは、
1/100こう配の具体的なイメージ
「横に100mm進むと、
高さが1mm変化する」という
非常に緩やかな傾斜のことです。
この絶妙な角度が、打ち込んだ時に
「戻ろうとする力」を抑え、
強力な摩擦力を生み出す鍵。
平行キーにはない、
こう配キーだけの独自の規格です。

頭付きと頭なしの
違いは何ですか?

頭がついていると
抜きやすくて便利です。

そういう理由なんですね。

最後に『半月キー』について
教えて下さい。

半月キーは、もともと
自動車用の規格
だったようです。

確かに調べてみたら、
バイクや車が
ほとんどでした。

半月キーは、
調整がラク!半月キーの得意分野
キー溝の中で「首を振る(傾く)」
ことができるため、角度のついた
テーパー軸にピタッと馴染みます。
取付・取外しが非常にスムーズ
なのが最大の利点です。
ハンドル車やフライホイールなど、
頻繁に脱着する箇所で大活躍。
その扱いやすさから、工作機械や
農機具の回転部でもよく見かける
「現場の味方」です。

ただし、
知っておきたい半月キーの限界
その形状ゆえに「軸の溝」が
どうしても深くなってしまいます。
そのため、軸の強度が落ちやすく
大きなトルク(回転力)の伝達には
向いていません。
負荷の大きい動力部には「平行キー」、
精密な位置決めや脱着重視の箇所には
「半月キー」という使い分けが、
機械を長持ちさせるポイントです。

丸底と平底は
何が違うんですか?

丸底・平底の違いは、
丸底(WA)と平底(WB)の違い
主な違いは底面の形状ですが、
流通しているのは圧倒的に
「丸底(WA)」です。
丸底は専用のカッターで彫った形状
そのままで使えるため、
加工の手間が少なく合理的。
特別な設計指示がない限りは
「丸底」を選べば間違いありません。
- ✔ キーは大きく「3種類」に
分類され、それぞれに2つの
形状バリエーションがある。 - ✔ ねじ用穴付き(PS)は
固定に優れ、ボスを軸方向に
「スライド」させる際に必須。 - ✔ こう配キーは「1/100の傾斜」
によるくさび効果で、ガタを
無くし強力な固定力を発揮する。 - ✔ 半月キーは取付・取外しが
極めて簡単。テーパー軸に
馴染み、ハンドル車等に最適。 - ✔ 半月キーは溝が深く軸強度が
下がるため、「大トルクの伝達」
には向かない点に注意。
【新旧JIS比較】キー寸法の違いと見分け方を徹底解説

どうやって
新JISと旧JISを
見分ければいいですか?

簡単な表を作りましたので
確認してみて下さい。
| 📊 出力軸別キー寸法比較表(幅×高さ mm) | |||
|---|---|---|---|
| 軸径 | 新JIS (B×h) |
旧JIS 1種 (並級) |
旧JIS 2種 (精級) |
| Φ15 | 5 × 5 | 5 × 5 | 5 × 5 |
| Φ25 | 8 × 7 | 7 × 7 | 7 × 7 |
| Φ35 | 10 × 8 | 10 × 8 | 10 × 8 |
| Φ45 | 14 × 9 | 12 × 8 | 12 × 8 |
| Φ55 | 16 × 10 | 15 × 10 | 15 × 10 |
🏛️ 外部リンク・出典資料
(JIS B 1301:1996 / JIS B 1301:1959 [旧JIS] 抜粋)
三木プーリー株式会社:伝動・制御機器の専門メーカーによる公式技術データ

旧JISに1種・2種とありますが
何が違うんですか?

旧JISの1種はプラス
2種はマイナス
の許容差になっていて
はめあいが違います。

通常は2種で
締込みたい時は1種を
使っていたんですね。

では、新JISでは
どうなっているんですか?

新JISの改正では、
新JISで変わった
「はめあい」の合理化
〜 ISO規格への準拠 〜
キー本体の寸法(許容差)は
「1種類」に統一。
その代わり、
「キー溝側の寸法(許容差)」
を調整することで、用途に合わせた
最適な「はめあい」を実現する
仕組みに変わりました。
キーの種類を減らしつつ、現場の
加工指示(緩め・きつめ)で精度を
コントロールする、合理的かつ
現代的な考え方です。

キー溝ではめあいを
決めているんですね。

減速機とプーリーのキーが
新JISと旧JISだった場合
どうすればいいですか?

新旧対応の
『段付きキー(異形キー)』
などもあるので、
メーカーに聞いてみて下さい。
- ✔ 旧JISの区分:
1種・2種の分類があり、それぞれ
「はめあい」の基準が異なる。 - ✔ 新JISの合理化:
ISO準拠により、キー本体の
寸法・許容差は「1種類」に
集約された。 - ✔ はめあいの調整:
新JISではキー側ではなく、
「キー溝の許容差」
側で調整を行う。 - ✔ 最終手段:
新旧で規格が合わない場合は、
段差で調整した「段付きキー」
による対応も可能。
💡 あわせて読みたい規格の知識
まとめ|新旧JISの正しい理解でトラブルのない軸設計を
急に「新JISと旧JISのキー、
どちらですか?」と聞かれて
戸惑うこともあるかと思います。
現代の主流は新JISですが、
旧規格の機械もまだまだ現役で
活躍しているのが現場のリアルです。
- 規格の混同に注意:
軸径によっては新旧で「幅」や
「高さ」が異なります。
必ず現物の軸径を測定し、
今回の比較表で確認してください。 - 新JISは「溝」が主役:
キー本体は1種類に集約されました。
用途に応じた「はめあい」は、
キー溝側の加工指示(Js9/P9など)
で調整するのが現代のルールです。 - 困った時の「段付きキー」:
新旧の規格が入り混じる
補修現場では、無理に加工せず
「段付きキー」を活用することで、
安全かつ確実な取り付けが可能。
あなたが新JISと旧JISのキーで悩み、
「どっちを使えばいいんだ…?」
と困った時に、この記事を
思い出していただければ幸いです。
安全なメンテナンスを。

今は『古い会社を中から変える』
という挑戦の真っ最中です。
そのリアルなドタバタ劇を
物語にしてみました。
もしよかったら、
第1話だけでも覗いてみてください。
📖 【第1話】密室の甘い毒
ありがとうございました。