加工屋さんが困る「ダメな図面」の特徴|コスト高・納期遅れを防ぐ製図の基本とマナー

製図用紙に描かれたボルトとナットの断面図。横には鉛筆と製図道具が置かれている。
「適当な図面」は、思わぬトラブルやコスト増を招く原因になります。

※本ページはプロモーションが含まれています

この図面で製作してください。

この図面で製作すると

高くなりますよ。

何でですか?

安く仕上げてください。

この場合、エンドミルと呼ばれる

円柱状の刃物を使って削るので

角が丸くなってしまいます。

どうしても角は必要ですか?

そういうことですね。

製品を重ねたいだけです。

そういうことなら、

こういう形状でどうですか?

取り出しやすいように

指も入るようにしましょう。

 

使いやすくなりそうです。

これでお願いします。

という、やりとりがありました。

今回は、
「丁寧な図面」
について考えていきたいと思います。

 

図面って何ですか?

そもそも図面って何ですか?

ということなんですが、

それっぽく描いておけば、

何とかしてくれる!

って思っていませんか?

それは、大きな間違いです。

図面で加工をお願いするということは、
加工指示書にあたります。

そのため、
設計者さんの考えやイメージが
明確にされておらず、適当な指示だと
適当なものが出来あがってきます。

私も先日、図面をいただき安全柵を

製作させていただいたんですが、

納品後、別の方から

この安全柵は、
なんで角を丸くする

安全対策をしてないの?

他の柵はしてるでしょ?

と言われました。

えっ?

となりましたが、

いただいた図面を見ていただき

うちの指示が悪かったんですね。

すみません。

と言っていただけましたが、

どちらも、後味の悪い仕事になりました。

 

外注の加工屋さんにお願いする場合、

材質や表面処理、加工精度が適当だと

あっ!この人理解していない・・・

トラブルになりそうだから、

やめておこう

と思われてしまうので、注意が必要です。

 

とはいえ、

専門で図面を書かれている方なら

しっかり指示ください!!

と言えるんですが、

最近では、

現場で作業されている方なのに

CADが使えるというだけで、強引に

現場の改善で、
図面を書くように指示された。

という話もよく聞きます。

 

あなたが加工屋さんとのトラブルに

巻き込まれないように

気を付けたいポイントを

紹介していきたいと思います。

図面不良によるトラブルとは?

加工屋さんとのトラブルを例に挙げて

お話しさせていただきます。

 

適当な図面を描くと

加工屋さんは困ってしまいます。

トラブルの例 加工屋さんの問い合わせ・回答
SPCCの板厚3㎜
  • 標準厚み3.2mmなんですが?
  • 3.2mmから削ってつくるの?
掘り込み部分の
角が直角
  • うちでは加工できない
  • 加工費が高くなる。
上手くはまらない
  • 公差の指示がなかった
納期遅れ
  • 寸法指示無いから後回し
面取りされていない
  • 面取りの指示がなかった
サビている
  • 表面処理の記載なかった。
加工ができない
  • 取り扱える材質ではない
  • 加工ジャンルが違う
  • 図面が見にくい
  • 精度が出ない材質
ズレている
  • 基準位置がおかしい
  • 寸法が見にくい
  • 指示がない
  • 中心線がずれていた

といったトラブルをよく聞きます。

加工屋さんは、加工するのが仕事ですから

問い合わせや確認事項は、

出来る限り減らしてほしい。

と思っています。

対応を間違えると、

お宅の仕事は二度としない!!

といった

トラブルにまで発展しかねないので

注意して下さい。

機械加工と加工精度

最近は、新人教育に時間が

取れないこともあるのか

工作機械を見たことが無い!

加工精度って何ですか?

という方と

お話しする機会が増えてきました。

とはいえ、

部品の形状や寸法は、もちろんですが、

用途・重要箇所を一番理解しているのは

設計者です。

最低限の機械加工や製図の基本を
知っておくことは、
仕事を円滑に進めるために必要ですし、
「自分を守る。」
ことにもつながる大事なことです。

機械加工とは

機械加工は、大きく3つに分類されます。

機械加工の種類 作業内容
切削加工
  • 刃物で材料を削るの加工方法。
  • 旋盤加工・フライス加工・
    穴あけ加工など
    切粉が出るのが特徴。
塑性加工
  • 材料に力をかけて
    変形させる加工方法。
  • プレス加工など材料の無駄なく
    加工できるのが特徴。
  • 金型が必要なものが多いので、
    少量生産には向いていません。
付加加工
  • 材料を接合させる加工方法。
  • アーク溶接が代表的
  • 圧接・ろう接などの
    手法もあります。

が代表的な加工方法です。

 

切削加工1つとっても、

数多くの加工方法があるので

別の機会に説明させていただきます。

加工精度とは

例えばシャフトと穴が同じサイズだった時

はめ込むことが出来ません。

 

シャフトを少し小さく、

穴を少し大きくすることで

はめ込むことが出来るようになります。

 

用途によって寸法公差やはめあい、

表面粗さなどを考慮する必要が

出てきます。

寸法公差やはめあいとは

寸法公差やはめあい公差とは、

図面に寸法に対して、

ここまでなら許容できますよ。

という範囲を意味しています。

気温・加工条件・刃物の状態など
色々な要因で加工寸法が微妙に
ばらついてしまうんです。

そのばらつきを、

この誤差なら許容できます!

という範囲のことを指します。

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表面粗さとは

表面粗さとは、

加工面の凸凹の差を表すもので

凸凹の差が大きければ粗く

小さければ滑らかな仕上がりになります。

加工方法により仕上がりが変わります。

 

素材の特徴

素材の特徴は、

関連記事にまとめてあるので

参考にしてください。

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表面処理の特徴

表面処理の特徴は、

関連記事にまとめてあるので

参考にしてください。

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見やすい図面・加工しやすい図面とは

見やすい図面・加工しやすい図面

と言っても、どのような図面が

見やすいのでしょうか?

一般的に

  • JIS B 0001 機械製図に則った図面
  • 寸法の基準位置がはっきりしている
  • 寸法・注記が分かりやすい
  • 適切な公差で描かれている
  • 加工手順・加工方法を理解しているか

を心がければ大丈夫だと思います。

もし、JIS B 0001を確認したことないなら

確認してみるといいかもしれません。

 

私は最近、一般的にゴムを加工した場合の

加工精度は±0.3mmと言われていますが

いただいた図面には、

±0.01mmと描かれていて

大変な思いをしました。

分からないことは、
後工程の人に考えてもらうのではなく、
後工程の人に理解してもらえる図面を描く
という思いやりが重要だと思います。

 

まとめ

設計は、工程の上流にあたります。

そのため、適当な図面を書いてしまうと

加工工程や組立工程に多大な被害を

与えてしまう可能性がありますし、

最後に自分の首を絞めることになります。

 

分からなかったら調べたり、相談して

次工程、その先の工程のことを考えた

見やすく・分かりやすい図面を描くこと

を心がけていれば、間違いなく

あなたへの信頼につながります。


今は『古い会社を中から変える』
という挑戦の真っ最中です。
そのリアルなドタバタ劇を
物語にしてみました。
もしよかったら、
第1話だけでも覗いてみてください。

📖 【第1話】密室の甘い毒

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
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