熱硬化性樹脂の正体|一度固まれば二度と溶けない「架橋構造」とガラエポ・ベークライトの加工限界

熱硬化性樹脂の架橋構造の仕組みとガラエポ・ベークライトの切削加工における注意点

※本ページはプロモーションが含まれています

💡この記事で分かること
  • 熱硬化性樹脂の基本定義と
    熱可塑性樹脂との決定的な違い
  • 強固な「架橋構造」がもたらす
    再加熱しても溶けないメカニズム
  • フェノール樹脂(ベークライト)
    の特性と紙・布基材の使い分け
  • ガラエポ加工の難しさと
    知っておくべき
    安全管理・機械保護
ゆうじ

設備についている
コネクタを新たに
作りたいのですが、

お願いできますか?

ゆういち

市販のコネクタじゃ

ないんですか?

特注のコネクタなんです。

茶色の樹脂で出来ています。

『フェノール樹脂』
ですかね?

図面には、『ガラエポ』

って書いてありました。

『ガラエポ』ですか!

『ガラエポ』は基本、
緑っぽい色なんです。

かなり長い間使用して

いたんですね。

そうかもしれません。

ただ、『ガラエポ』には

こだわっていないので

他の樹脂でもいいですよ。

『ガラエポ』は、一般的な
『熱可塑性樹脂』と違う

『熱硬化性樹脂』なんです。

細かい仕様が
よく分からないので
同じ材質で製作します。

分かりました。

よろしくお願いします。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、『熱硬化性樹脂』について
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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熱硬化性樹脂の正体|一度固まれば二度と溶けない「クッキーとチョコ」の決定的な違い

そもそも、

『熱硬化性樹脂』
ってなんですか?

私の分かる範囲での

説明になりますが

大丈夫ですか?

よろしくお願いします。

熱硬化性樹脂は、
JIS規格に

921 熱硬化系(プラスチック)
加熱又はその他の手段で硬化した際、
実質的に不融性かつ不溶性製品に
変化するプラスチック。
注−この用語は熱硬化性プラスチック
及び熱硬化プラスチックの双方を含む。
引用:JIS K 6900 プラスチック−用語

と定義されています。

どういうことですか?

つまり、
『熱硬化性樹脂』は、

Point

加熱して硬化させる樹脂のことで、
一度硬化してしまうと
再加熱しても元に戻りません。

 

熱をかけると溶けたり
軟らかくなる、一般的な
樹脂と違うんですね?

そうなんです。

Point

熱をかけると軟化する樹脂は、
『熱可塑性樹脂』と呼ばれています。

 
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分かったような

分からないような

感じです。

そうですよね。

イメージとしては、

Point

『熱硬化性樹脂』は、クッキーや
ホットケーキに例えられることが
多く、『熱可塑性樹脂』は
チョコレートに例えられます。

 

なるほど。

なんとなく
イメージできました。

ただし、

Point

硬化後、再加熱しても全く影響
がないわけではなく、
温度上昇に伴ってある程度の、
強度や弾性率は低下します。

 

加熱によって
強度や弾性が
低下するんですね。

熱硬化性樹脂とは?
  • 『熱硬化性樹脂』は、加熱して
    硬化させる樹脂のことで、
    一度硬化してしまうと
    再加熱しても元に戻らない。

  • 熱をかけると軟化する樹脂は、
    『熱可塑性樹脂』と呼ばれている。

  • 『熱硬化性樹脂』は、
    クッキーやホットケーキに
    『熱可塑性樹脂』は、
    チョコレートに例えられる。

  • 硬化後に再加熱した場合、
    温度上昇に伴って
    強度や弾性率は低下する。
 

なぜ再加熱しても軟化しない?「架橋構造」がもたらす鉄壁の規律と樹脂の系統図

『熱硬化性樹脂』は、

なぜ熱をかけると
硬化するんですか?

『熱硬化性樹脂』は、

Point

主に液状の樹脂原料と硬化剤を
混合した後に、加熱すると
化学反応をおこして硬化します。

 

『熱硬化性樹脂』は、

化学反応をおこして
硬化するんですね。

でも、
再加熱しても軟化しない
のはなぜですか?

一度硬化すると

Point

『架橋反応』によって強固な
『架橋構造』になるため、
再加熱しても軟化しません。

 

『架橋構造』って

なんですか?

『架橋構造』とは、

Point

上下・左右・前後・斜めといった、
周囲の分子同士が立体的な網目状に
結合した、不溶不融の強固で
安定した構造のことです。

 

周囲の分子と強固に
結合するから、
元に戻らないんですね。

『熱硬化性樹脂』には、

どんな種類がありますか?

『熱硬化性樹脂』には、

Point
  • ユリア樹脂
  • メラミン樹脂
  • フェノール樹脂
  • エポキシ樹脂

などがあります。

 

『ユリア樹脂』って、

なんですか?

『ユリア樹脂』は、

Point

尿素樹脂とも呼ばれる樹脂ですが、
加熱するとホルマリンが発生するため
他の樹脂に置き換えられ、
あまり使われなくなっています。

 

『メラミン樹脂』は、

Point

木工製品の接着剤や焼付塗料・
スポンジなどに使用される樹脂です。

 
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代表的な『熱硬化性樹脂』には、
『フェノール樹脂』と
『エポキシ樹脂』があり
次章で詳しく紹介します。

お願いします。

また、似たようなものに
ゴム弾性をもった

Point

『熱硬化性エラストマー』があり、

  • シリコーンゴム
  • ポリウレタン
  • 加硫ゴム

などがあります。

 
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熱硬化性のゴムも

あるんですね。

熱硬化性樹脂との特徴と種類
  • 『熱硬化性樹脂』は、
    樹脂原料と硬化剤を混合させ、
    加熱し硬化させた樹脂。

  • 『熱硬化性樹脂』は、硬化すると
    強固な『架橋構造』になるので、
    再加熱しても軟化しない。

  • 『架橋構造』は、周囲の分子同士が
    立体的な網目状に結合した、
    不溶不融の強固で安定した構造。

  • 『熱硬化性樹脂』には、
    ユリア樹脂・メラミン樹脂
    フェノール樹脂・エポキシ樹脂
    などがある。

  • 『ユリア樹脂』は、加熱すると
    ホルマリンが発生するため
    あまり使われなくなっている。

  • 『メラミン樹脂』は、
    木工製品の接着剤や焼付塗料・
    スポンジなどに使用される。

  • ゴム弾性をもった、
    シリコーンゴム・ポリウレタン・
    加硫ゴムなどの
    『熱硬化性エラストマー』もある。

 

人類最古のプラスチック「ベークライト」の真価|紙・布ベークの使い分けと耐熱性の限界

では、『フェノール樹脂』
について
詳しく教えて下さい。

『フェノール樹脂』は、

Point

人類最初のプラスチックと
言われており、正式名称は、
『ポリオキシベンジルメチレン
グリコールアンハイドライド』
と言います。

 

絶対に覚えられない

名前ですね。

そうなんです。

ただ、

Point

正式名称で呼ばれることは
ほとんどなく、『フェノール樹脂』や
『ベークライト』と呼ばれています。

 

なぜ『ベークライト』って
呼ばれているんですか?

『ベークライト』は、

Point

フェノール樹脂を世界で初めて
発明したベークランド博士に
ちなんでつけられた商品名です。

 

『ベークライト』って
登録商標だったんですね。

そうなんです。

しかも、
『フェノール樹脂』より
『ベークライト』という
名前の方がよく使われます。

ちなみに、

Point

『フェノール樹脂』は硬く脆いので、
単体で製品となることは少なく、
紙や布に含浸させ高温プレスした、
紙ベークライトや布ベークライトが
多く使用されます。

 

紙と布は、
なにが違うんですか?

違いは耐衝撃性で、
布ベークライトの方が
優れています。

Point

ただし、どちらも積層構造なので、
加工する方向によっては、
欠けやすいので注意が必要です。

 

なるほど。

では、
『フェノール樹脂』の

特徴を教えて下さい。

『フェノール樹脂』は、

Point
  • 機械的強度
  • 耐熱性
  • 電気絶縁性
  • 断熱性
  • 寸法安定性

に優れた樹脂です。

 

ただし、基材に紙や布を
使っているため吸水率が
高くなってしまいます。

吸水率が高いと
何が問題なんですか?

吸水率が高いと

Point

電気絶縁性の劣化や金属腐食の
原因となるため、高湿な場所での
使用は注意が必要です。

 
フェノール樹脂とベークライト
  • 『フェノール樹脂』の正式名称は、
    『ポリオキシベンジルメチレン
    グリコールアンハイドライド』
    と言う。

  • 正式名称で呼ばれることは
    ほぼなく、『フェノール樹脂』や
    『ベークライト』と呼ばれている。

  • 『ベークライト』は、
    フェノール樹脂を世界で初めて
    発明したベークランド博士に
    ちなんでつけられた商品名。

  • 『フェノール樹脂』は硬く
    脆いので、紙や布に含浸させ
    高温プレスした、紙ベークライトや
    布ベークライトが多く使用される。

  • 『フェノール樹脂』は、
    機械的強度・耐熱性・電気絶縁性
    断熱性・寸法安定性に優れた樹脂。

  • 電気絶縁性の劣化や金属腐食の
    原因となる吸水率が高いので、
    高湿な場所での使用は注意が必要。

 

電子基板の守護神「ガラエポ」の衝撃|圧倒的な絶縁性と加工を阻むガラス繊維の壁

最後に『エポキシ樹脂』
について教えて下さい。

『エポキシ樹脂』は、

Point

塗料や接着剤にも使われる樹脂で、
切削加工には、ガラス繊維に
エポキシ樹脂を含浸させた
『エポキシガラス(ガラエポ)』
が多く使われます。

 
 

『ガラエポ』って
ガラス繊維に
『エポキシ樹脂』を
含浸させたもの
だったんですね。

では、『ガラエポ』の

特徴を教えて下さい。

『ガラエポ』は、

Point
  • 電気絶縁性
  • 機械的強度
  • 難燃性
  • 耐熱性
  • 寸法安定性

に優れていて、電子回路の基板や
電子部品に多く使用されます。

 

加工業者が悲鳴を上げる「難削材」の恐怖|ダイヤモンド工具を摩耗させる粉末の正体

ガラス繊維が入って
いるので切削加工が
難しそうですね?

そうなんです。

Point

通常の切削工具では、工具の摩耗が
激しいので、ダイヤモンドや
超硬の工具を使って加工します。

 

やっぱり、
加工が難しいんですね。

しかも、『ガラエポ』は、
難削材というだけでなく

Point

切削加工を行うと切削クズではなく、
ガラス繊維が粉砕されて粉末に
なってしまいます。

 

粉末だとなにが

問題なんですか?

粉末自体の
有毒性は低くても、

Point

長期間吸い続けると、『じん肺』を
発症する可能性があるだけでなく
眼に入ると角膜にキズがつく
可能性もあります。

 
 

なるほど。

防塵マスクや保護メガネを
装着して加工する
必要がありますね。

また、その粉末が

Point

加工機の中に入り込むと、加工機が
故障することがあるので、加工を
嫌がる加工業者さんもいます。

 

加工してもらえるか

確認する必要が

ありますね。

 
エポキシ樹脂とエポキシガラス
  • 切削加工には、ガラス繊維に
    『エポキシ樹脂』を含浸させた
    『エポキシガラス(ガラエポ)』
    が使われる。

  • 『ガラエポ』は、電気絶縁性
    機械的強度・難燃性・耐熱性・
    寸法安定性に優れていて、
    電子回路の基板や電子部品に
    多く使用される。

  • 通常の切削工具では、摩耗が
    激しいので、ダイヤモンドや
    超硬の工具を使って加工する。

  • 『ガラエポ』は、切削加工を
    行うと切削クズではなく、
    ガラス繊維が粉砕されて粉末に
    なってしまう。

  • 粉末を長期間吸い続けると、
    『じん肺』を発症する可能性が
    あるだけでなく、眼に入ると
    角膜にキズがつく可能性もある。

  • 粉末が、加工機の中に入り込むと
    加工機が故障することがあるので、
    加工を嫌がる加工業者さんもいる。

 

結論:熱硬化性樹脂が導く「溶けない」選択肢と組織のアップデート

熱硬化性樹脂は、加熱すると
化学反応をおこして硬化する
樹脂のことを言います。

しかも、強固な結合構造になるため
再度加熱しても元に戻ることは
ありません。

熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂では
対応できない箇所に使用する素材
なので、一度どこに使われているか
調査してみてはいかがでしょうか?


今は『古い会社を中から変える』
という挑戦の真っ最中です。
そのリアルなドタバタ劇を
物語にしてみました。
もしよかったら、
第1話だけでも覗いてみてください。

📖 【第1話】密室の甘い毒

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
🤔 熱硬化性樹脂に関するFAQ

Q1. ガラエポ(エポキシガラス)を
自分で切削加工しても大丈夫ですか?
おすすめしません。ガラス繊維が粉砕
されて微細な粉末となり、吸い込むと
「じん肺」のリスクがあるほか、
目や機械にも悪影響を与えます。
加工が必要な場合は、適切な防塵対策と
設備を持つ専門業者に依頼してください。
Q2. 「架橋構造」は
熱可塑性樹脂とどう違いますか?
熱可塑性樹脂は分子が独立しており
熱で流動しますが、架橋構造を持つ
熱硬化性樹脂は網目状に強固に
結合しているため、再加熱しても
溶けず、元の形状を維持できる点が
決定的に異なります。
Q3. フェノール樹脂(ベークライト)
は今でも使われていますか?
はい、現在でもその優れた耐熱性・
電気絶縁性から、配電盤やモーター部品
などの産業用コンポーネントとして
根強く使用されています。
吸水性に注意が必要ですが、コストと
性能のバランスが非常に良い素材です。