ロールの動作がおかしいので
ベアリング交換お願いします。
いいですよ。
大きさはどれくらいですか?
今回のロールは、
一人で持てる大きさで軽いです。
ただ、非常に狭いところに
あります。
分かりました。
二人で伺いますね。
ジャーナル(軸)が摩耗していたら
肉盛り研磨お願いします。
予備のロールは無いですか?
無いです。
しかも、6時間後には
機械を動かしたいです。
えっ!!!
早速段取りします。
というやりとりがありました。
今回は、
ロールのジャーナル(軸)修理について
紹介していきたいと思います。
作業内容
今回確認したロールは、
一人で持てる程度の軽いロールです。
低速で、軽いシートを送るロールの
補助をするロールでした。
ロールの長さが、
設備の内幅にピッタリだったので
抜くのは簡単でしたが、
取付に、少し時間がかかりました。
摩耗粉が多かったこともあり、
お客様から、
ジャーナル(軸)の摩耗が
ひどかったら
肉盛り研磨してください。
という要望をいただいていましたが、
ベアリングを外してチェックしてみると、
ジャーナル(軸)の
ベアリングによる摩耗は、
左右どちらともひどくありませんでした。
片方の軸は摩耗がほぼなく、
一方の軸のみ、
直径で-0.06mm摩耗していたので
肉盛り溶接しますか?
うーん、どうしましょう?
重要なロールではないので、
応急処置で
ベアリングを固定するために
ポンチを打って対処します。
そんな方法あるんですね。
小さく軽いロールだったことと、
歪みや曲がりの可能性も考慮して
ポンチを打って応急処置としました。
ロールのベアリング交換は、
無事終了したのですが、
- ベアリングケースの摩耗
- ロールバランスが悪い
事も確認できました。
適切なロールを使用することで
交換頻度を下げることが出来ます。
新作か修理をきちんとしたほうが、
良いことを伝え、
今回の作業は終了しました。
ジャーナル(軸)の摩耗の原因
ジャーナルとは、ベアリングに接触する
軸の部分を指します。
今回のお客様がジャーナルというので、
ジャーナルと言っていましたが、
軸と言っている方が多い気がするので
今からは、軸と呼ばせていただきます。
軸の損傷には、いろんな種類があります。
- 摩耗
- 割れ・欠け
- キズ
- かじり
- 異音
- 焼付き
- サビ・腐食
そのまま放置すると
製品不良や軸の破損といった
原因になるので、
早めの修理をお勧めします。
軸の修理方法
軸の修理は、
条件によって内容が変わります。
軸が摩耗した時に行う対処方法の
一部を紹介していきます。
ポンチうち
摩耗が少なく、
低速回転で軽負荷の場合は、
軸の摩耗した部分にポンチを打って
打痕をつけることで
ベアリングの抜け防止で使用します。
応急処置もいいとこなので
時間がないときや
精度を気にしないような箇所に
使う手法です。
肉盛り溶接
軸の表面を覆うように
溶接するのが特徴。
今回のように現地で修理したり、
急ぎの場合は、軸の減った部分のみ、
肉盛り溶接→研削が多い。
ロールの修理を専門でされている
業者さんやメーカーさんは、
同軸度などを気にされるので
軸全体を覆い、研削をかけます。
「肉盛り修理したの?」
と見た目で分かりにくい
くらい自然に仕上がってきます。
その分費用は高くなりますが、
ロールの精度やバランスまで
きちんと見てくれます。
溶射
摩耗した部分に、
耐摩耗性や摺動性を持った
別の材質を肉盛りをすることで
別の特性を付加することが出来る。
一部分だけ硬くしたり、
滑りを良くすることで
ロールの再利用と長寿命化が図れる。
焼き嵌め
摩耗した軸を、摩耗した部分以上に
細く凸凹がなくなるまで削り、
外径と内径に合わせて製作した
スリーブを軸にはめ込みます。
スリーブを加熱膨張させてはめ込むので
内径は、わずかに小さめで
製作しておかないと
常温まで下がったときに、
スリーブがしっかりはまらなくなるので
注意が必要です。
はめ込む部分に、液体窒素などを使い
外径を縮ませて、はめ込む
「冷し嵌め」
という手法もあります。
というように、
軸の修理方法は色々あります。
軸の摩耗や使い方に合った修理方法を
選んでください。
ロールによるトラブル
ロールの動作不良をほおっておくと
以下のようなトラブルを起こす
可能性があります。
- 振動
- 発熱
- 破損
- 異音
- 製品不良
原因は、
- 潤滑不足
- ゴミの侵入
- 芯ずれ
- スキマ・予圧量の不良
- 水の侵入
- ロールバランスが悪い
といったことが考えられます。
たまに
経験の浅い保全の担当者の
取り付け方がおかしい
というお話を聞くこともありますので、
正しく取り付けがされているか?
など
定期的に点検・メンテナンスをすることで
軸の摩耗を遅らせることが出来るので
一度確認してみてください。
まとめ
ロールの軸は、長時間使用すると
摩耗して減ってしまいます。
そうすると、振動や異音といった
動作不良や破損に結びついてしまいます。
正しく取り付けられることで
機械の停止時間や製品不良を
減らすことにもつながります。
軸の修理の後に放置しておくと
サビますので金ニス・青ニスなど
防錆対策をお願いいたします。
損傷の発生防止や再発防止
予防保全のお役に立てたらうれしいです。
ありがとうございました。