ストレーナの役割と選定・メンテナンスのポイント:現場のトラブルを防ぐための基礎知識

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Y型ストレーナの表面に刻印された呼び径1(25A)と、流体の流れる方向を示す矢印の解説写真。
Y型ストレーナ本体で「サイズ」と「流れ方向」を確認

成形条件を変えていないのに、
金型の温度がいつもより
高いんです。

えー。

バリが出たり変形したり、
製品不良が増えたんじゃ
ないですか?

そうなんです。

変形した製品が増えて、
寸法管理が大変なんです。

金型の冷却がうまくいって
ないから、金型温度が
高くなっているんだと思います。

いや、別に冷却水のバルブとか
触ってないですよ。

多分、冷却水の配管が詰まって
流量が減ってるんだと思います。

えっ!水だけ流してても配管って
詰まるんですか?

とりあえず一度、
冷却水の配管についている
『ストレーナ』を掃除して、
しばらく様子をみて下さい。

分かりました。

という、やりとりがありました。

テーマ

今回は、『ストレーナ』について
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。

 
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ストレーナとは

そもそも『ストレーナ』って
なんですか?

私の分かる範囲での

説明になりますが大丈夫ですか?

よろしくお願いします。

まず、
ストレーナはJIS規格で

20119 ストレーナ、フィルタ
流体中のごみ、スケールなどを
分離、除去するろ過部品。
引用:JIS B 0100-バルブ用語

6303 ストレーナ
汚染粒子を捕集する金網などで
作られた目の粗いフィルタ。
引用:JIS B 0142
   油圧・空気圧システム
   及び機器−用語

と定義されています。

スケールって何ですか?

スケールは、

Point

水に含まれるミネラル分が、
乾いて結晶化したもので、
水垢とも呼ばれています。

 

お風呂や鏡とかについている、
硬くて白い汚れのことですね。

ストレーナって水にだけ
使用するんですか?

ストレーナは、

Point

水や油といった液体から、
ガス・空気・蒸気といった気体まで、
様々な流体に使用されます。

 

大体の流体に
使用されているんですね。

そうです。

ただ、ストレーナは

Point

金網やパンチングプレートなどで
ろ過するため、比較的大きい異物の
捕集がメインとなります。

 
 

なるほど。

許容できる異物の大きさを
確認しておく必要がありますね。

そうなんです。

ストレーナを使わず使用すると、
どうなるんですか?

流体中の

Point

異物を取り除かずに使用すると、
バルブやポンプ・流量計といった機器の
破損や作動不良の原因となります。

 

そのため、ストレーナは

Point

生産ラインの初期工程でプレフィルタ
として使用したり、機器の保護や
寿命を延ばすために使用します。

 
 

機器の前に設置して、
トラブルを防止するんですね。

目詰まりを、簡単に確認する
方法はありますか?

ストレーナを機器の
入口側に設置した後、

Point

ストレーナの前後に圧力計を取り付けて
おくと、詰まった時に圧力差が出るので
簡単に状況を確認することが出来ます。

 

全部に圧力計の設置は
無理でも、重要な箇所には
取り付けた方が良いですね。

ストレーナとは
  • ストレーナは、水・油・ガス・
    空気・蒸気といった各種流体に
    含まれているごみや異物などを
    分離・除去する、ろ過部品のこと。

  • ストレーナは、金網やパンチング
    プレートなどでろ過するため、
    比較的大きい異物の捕集がメイン。

  • ストレーナを生産ラインの
    初期工程でプレフィルタとして
    使用したり、機器の保護や
    寿命を延ばすために使用する。

  • ストレーナの前後に圧力計を
    取り付けておくと、
    詰まった時に圧力差が出るので、
    状況を確認することが出来る。

 

ストレーナの構造と種類

ストレーナは、どうやって異物を
除去するんですか?

種類によって構造は違いますが、

Point

ストレーナ本体の中にある、金網や
パンチングプレートを筒状に加工した、
『スクリーン』と呼ばれる『フィルタ
エレメント』で異物を捕集します。

 
ストレーナとは
参考:大同工機株式会社-お役立ち情報

フィルタエレメントって
なんですか?

フィルタエレメントは、
JIS規格で

6315 フィルタエレメント
ろ過作用が実際に行われる多孔質部分
を含むフィルタの構成部品。
引用:JIS B 0142-
   油圧・空気圧システム
   及び機器−用語

と定義されています。

スクリーンと呼ばれる
フィルタエレメントが、
配管内の異物を捕集するんですね。

そうです。

なのでストレーナは、

Point

目詰まりしないよう、定期的に
捕集したゴミやスケールを取り除く
必要があるので、スクリーンが簡単に
清掃できる構造になっています。

 

なるほど。

ところでストレーナには、
どんな種類があるんですか?

代表的なストレーナは、

Point
  • Y型ストレーナ
  • U型ストレーナ

などがあります。

 

どう違うんですか?

『Y型ストレーナ』は、

Point

略称で『Yスト』とも呼ばれる、
Yの形をしたストレーナで、比較的
流量が少ない配管に使用されます。

 

小口径や中口径の配管にYストが
使用されるんですね。

では大口径の場合は、
なにが使用されるんですか?

大口径の場合には、

Point

『U型ストレーナ』が使用されます。

 

なぜですか?

U型ストレーナは、

Point

Y型ストレーナに比べ、ろ過面積が多く
とれるので、ゴミやスケールなどの
異物が比較的多い配管に向いています。

 

Y形ストレーナ・U形ストレーナ
参考:株式会社ヨシタケ-4ストレーナ

なるほど。

他には、

Point

流路を切り替えることで、流体を
止めることなくスクリーンが
清掃できる『複式ストレーナ』

 

Point

直線的に流体を流すことで、
圧力損失を減らすことが出来る
『ストレート型ストレーナ』

 

などがあります。

複式ストレーナ・ストレート型ストレーナ
参考:株式会社ヨシタケ-4ストレーナ

スクリーンが2つある
複式ストレーナなど

色々あるんですね。

ストレーナの構造と種類
  • ストレーナは、内蔵された
    スクリーンで異物を捕集するので
    スクリーンが目詰まりしないよう、
    定期的に清掃する必要がある。

  • Y型ストレーナは、Yスト
    とも呼ばれるYの形をした
    ストレーナで、比較的流量が
    少ない配管に使用される。

  • U型ストレーナは、Y型ストレーナ
    に比べろ過面積が多くとれるので、
    ゴミやスケールなどの異物が
    比較的多い配管に向いている。

  • 複式ストレーナは、流路を
    切り替えることで、流体を止める
    ことなくスクリーンが清掃できる。

  • ストレート型ストレーナは、
    直線的に流体が流れるので、
    圧力損失を減らすことが出来る。

 

ストレーナ本体交換時の注意点

ストレーナごと交換する場合は、
どうやって手配するんですか?

ストレーナごと交換する場合は、

ストレーナをよく見ると、

Y型ストレーナ本体の底面に刻印されたKITZ(キッツ)のメーカーロゴマーク

▲ 本体に刻印されているメーカーロゴから製品を特定できます
 

たしかにありますね。

これで、メーカーさんを
絞ることが出来ます。

次はサイズですが、

Y型ストレーナの呼び径1(25A)と流れ方向の矢印の刻印
▲ Y型ストレーナ本体で「サイズ」と「流れ方向」を確認する方法
Point

写真のストレーナには、1と
表記されています。

 

はい。

1は、

Point

接続口径25Aを表しており、
メーカーによっては、25と
表記してあります。

 

継手・フランジ・パイプの呼び寸法表
参考:株式会社ミスミ

サイズもきちんと

表記されているんですね。

では150は、なにを表して

いるんですか?

150は、

Point

製品名を表していますが、10Kや
20Kなど流体が何℃の時に何MPaの
圧力まで使用できるかを、記号『K』
で表した『呼び圧力』が表記されて
いる場合もあります。

 

接続方法が
「ねじ込み式なのか?
フランジ式なのか?」の確認も
併せてしたほうが良いですよ。

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次は、本体材質の選定ですが
サイズが大きいと

Point

ストレーナに『FCD』や『SCS13』
などの材質が表記されています。

 

どういう意味ですか?

FCDは、
ダクタイル鋳鉄を表しており

Point

黒鉛の影響で表面がねずみ色になった
鋳鉄(FC)の延性を改良したものです。

 

ちなみに、

Point
  • F:Ferrite(フェライト)

  • C:Casting(鋳造)

  • D:Ductile(延性のある)

を表しています。

 

FCDとは、
鋳鉄品のことなんですね。

ダクタイル鋳鉄自体は、

Point

350℃の高温でも使用できるので、
蒸気や高温水配管に向いています。

 
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次の

Point

SCS13やSCS13Aは、ステンレス鋼を
表しており、腐食に強く、許容圧力も
高い材質です。

 
 

あと代表的な材質に、

Point

水・温水・油・低温の蒸気や可燃性・
有毒ガス以外のガスに使用できる
青銅鋳物『CAC406』もあります。

 
 

なるほど。

ただし、

Point

本体に問題が無くても、流体の種類や
温度・圧力によって、ガスケットが
耐えれない場合があるので、必要に
応じてガスケットも選定して下さい。

 
 
ストレーナ本体交換時の注意点
  • ストレーナに表記されている、
    メーカーロゴでメーカーを
    選定することが出来る。

  • FCDとは、ねずみ鋳鉄(FC)の
    延性を改良した、
    『ダクタイル鋳鉄』のこと。

  • SCS13やSCS13Aは、
    腐食に強く許容圧力も高い、
    ステンレス鋼を表している。

  • 青銅鋳物CAC406は、水・温水・
    油・低温の蒸気や可燃性・有毒ガス
    以外のガスに使用できる。

  • 条件によっては、ガスケットが
    耐えれないので、条件に応じた
    ガスケットを選定する必要がある。

 

スクリーンの材質と規格

『スクリーン』についても
教えて下さい。

まずスクリーンは、

Point

液体や気体の「ろ過器」として
使用するので、一般的に腐食に強い
ステンレス鋼のメッシュが
使用されます。

 

ステンレス鋼以外も
あるんですか?

ステンレス鋼のSUS304や
SUS316以外では、

Point

PFAやPTFEといったフッ素樹脂や、
チタン・モネル・インコネルなども
あるようです。

 
 

どのくらいの網目サイズの

メッシュを使っているんですか?

基本的に、

Point

国土交通省の仕様は、「水用は
40メッシュ以上」「蒸気用・気体用・
電磁弁の前に設置する場合は、
80メッシュ以上」を推奨しています。

 
 

40メッシュや80メッシュって
どういう意味ですか?

メッシュとは、

Point

金網の網目の数を表す単位で、
25.4mm(1インチ)間の
1列の網目の数を言います。

 

Y形ストレーナ・スクリーンの種類と選定
参考:株式会社キッツ-
   液体中の異物を取り除く

えっ!
40メッシュだと25.4mmの中に
1列40個も網目があるんですか。

そうなんです。

40メッシュや80メッシュだと、
すぐに詰まってしまう場所が
いっぱいありますよ。

当然、

Point

取付場所や用途・流体の質によって、
許容できるゴミやスケールの大きさが
違います。

 

当然ですよね。

そのため
異物の大きさに対して、

Point

メッシュの目が細かいと、
すぐに目詰まりが発生しますし、
逆に粗いと簡単に通過して、
製品不良や故障の原因となります。

 

難しいですね。

なので、

Point

スクリーンメッシュの目開きを
変更したり、パンチングプレートに
変更するなど、必要に応じて
選定して下さい。

 
スクリーンの材質と規格
  • スクリーンは一般的に、腐食に
    強いステンレス鋼のメッシュが
    使用される。

  • SUS304やSUS316以外には、
    フッ素樹脂やチタン・モネル・
    インコネルなどがある。

  • 国土交通省仕様では、「水用は
    40メッシュ以上」「蒸気用・
    気体用・電磁弁の前に設置する
    場合は、80メッシュ以上」
    が推奨されている。

  • メッシュとは、網目の数を表す
    単位で、25.4mm(1インチ)間の
    1列の網目の数のこと。

  • 目開きを変更したりパンチング
    プレートに変更するなど、必要に
    応じて選定する必要がある。

 

まとめ

ストレーナの概要と選定・ 管理のポイント

ストレーナは、流体中の異物を除去する
「ろ過器」です。
生産ラインの初期工程や精密機器の保護に
欠かせません。

1. メッシュ(網目)の選定基準

  • 水用:40メッシュ以上
  • 蒸気・気体・電磁弁前:80メッシュ以上

※用途により許容できる異物の
 大きさは異なるため、
 現場に合わせた選定が重要です。

2. ストレーナの形状と特徴

  • Y型ストレーナ:小〜中口径向き
  • U型ストレーナ:大口径向き

3. メンテナンスの重要性

どちらも設置したまま清掃可能です。
目詰まり防止のため、
定期的な清掃を行ってください。

 

今は『古い会社を中から変える』
という挑戦の真っ最中です。
そのリアルなドタバタ劇を
物語にしてみました。
もしよかったら、
第1話だけでも覗いてみてください。
📖 【第1話】密室の甘い毒

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。