棚板の見積もりを
お願いしたんですが、
想像以上に高いんです。
そんなに、
難しい加工なんですか?
そんなことは
無いと思います。
図面を見せてもらって
いいですか?
手書きですが、
どうぞ。
確かに難しくないですね。
加工精度は必要ですか?
棚板に使うだけなので、
特に精度は、
必要ありません。
安く加工できますか?
今は、
おいくらなんですか?
たしか、4万円ぐらい
だったと思います。
それは高いですね。
多分、半分以下で
出来ると思いますよ。
では、お願いしても
いいですか?
分かりました。
加工進めますね。
加工屋さんに
だまされたんですかね?
そんなことは、
ないと思いますよ。
どんな加工屋さんに
お願いしたんですか?
いつも金属のブロックを
加工してもらう
加工屋さんです。
多分、
だまされたのではなく
加工方法の違い
だと思いますよ。
えっ、そうなんですか!
私は、レーザ加工を
考えています。
ですが、
加工屋さんは
フライス加工を
想定していたと
思います。
なぜ、加工方法が
違うんですか?
図面が手書きだから
細かい内容が、
伝わらなかったんだと
思います。
加工方法について
教えて下さい。
という、やりとりがありました。
今回は、『金属加工』について
簡単にわかりやすく
紹介していきたいと思います。
加工とは?
では、
『加工方法』について
教えて下さい。
私の分かる範囲での
説明になりますが
大丈夫ですか?
よろしくお願いします。
そもそも、『加工』
ってなんですか?
『加工』とは、
材料に外部からエネルギーを与えて
目的の形状にすることです。
『加工』とは、材料に
手を加えて、製品を
作ることなんですね。
そうです。
そして、
金属材料を目的の形状に加工する
機械を『金属加工機械』といい、
総務省『日本標準商品分類』の
『中分類32-金属加工機械』で、
細かく分類されています。
金属加工機械
参考:総務省-日本標準商品分類-中標準32
数えきれないくらい
種類があって
イヤになりますね。
正直、
何から調べていいか
良く分かりません。
そうなりますよね。
とりあえず、JIS規格で
定義されている、
加工の基本原理
- 成形加工
- 除去加工
- 付加加工
の3つに分けて考えると
分かりやすいと思います。
3つだと思うと
少しやる気が出ました。
これらの加工の、
違いは何ですか?
『成形加工』は、
加工前と加工後で材料の
質量が変化しないのが特徴で
『除去加工』は、
加工前と加工後で材料の
質量が減るのが特徴で
『付加加工』は、
加工前と加工後で材料の
質量が増えるのが特徴です。
質量の変化で
分類されて
いるんですね。
-
『加工』とは、材料に外部から
エネルギーを与えて
目的の形状にすること。 -
金属材料を目的の形状に加工する
機械を『金属加工機械』といい、
『中分類32-金属加工機械』で、
細かく分類されている。 -
JIS規格で加工は、成形加工・
除去加工・付加加工と3つの
基本原理に分類されている。 -
『成形加工』は、
加工前と加工後で材料の
質量が変化しない。 -
『除去加工』は、加工前と
加工後で材料の質量が減る。 -
『付加加工』は、加工前と
加工後で材料の質量が増える。
成形加工とは?
『成形加工』について
詳しく教えて下さい。
『成形加工』は、
JIS規格で
成形加工:原材料の塊に圧力を
かけて目的の形状を付与する。
例 鍛造、曲げ加工、鋳造、射出成型、
セラミックス又は金属のグリーン体
(焼結前の粉末成形体)を媒介する
セラミックス焼結、粉末冶金など。引用:JIS B 9441
付加製造(AM)−用語及び基本的概念
と定義されています。
『成形加工』は、
材料に熱や圧力を加えて
目的の形状に変形させる
加工のことを言うんですね。
そうなんです。
『成形加工』には、
どんな種類が
あるんですか?
『成形加工』には、
- 鋳造
- 塑性加工
などがあります。
『鋳造』とは、どんな
加工方法なんですか?
『鋳造』は、
鉄やアルミ合金・銅合金などの
金属材料を、融点よりも高い温度で
熱して液体にした後に、
目的の形をした鋳型に流し込み、
冷やして目的の形状に固める
加工方法のことです。
「鋳造」とは
参考:三井ミーハナイト・メタル株式会社
『鋳造』は、
熱で溶かした金属を、
型に流し込んで成形する
加工方法のことを
言うんですね。
次は、『塑性加工』
について教えて下さい。
分かりました。
『塑性加工』は、
JIS規格で
0104 塑性加工
材料の塑性変形を利用して、
各種材料を必要な形状・寸法に
加工する方法。引用: JIS B 0178 耐摩耗工具用語
と定義されています。
『塑性変形』が
そもそも分かりません。
『塑性変形』は、
JIS規格で
0103 塑性変形
材料に外力を加えた場合の、
材料の大きさ又は形状に
永久変形が残る変形様式。引用: JIS B 0178 耐摩耗工具用語
と定義されています。
『塑性変形』は、
材料に力を加えた後、
力を取り除いても、
材料が元の形に戻らない
ことを言うんですね。
そういうことです。
『塑性加工』の種類を
教えて下さい。
『塑性加工』には、
- 鍛造
- プレス加工
- スピニング
- 転造
- 圧延
- 押出
- 引抜
などの加工方法があります。
-
『成形加工』とは、材料に
熱や圧力を加えて、目的の
形状に変形させる加工の総称。 -
『成形加工』には、鋳造・
塑性加工などの加工方法がある。 -
『鋳造』とは、熱で溶かした
金属を、鋳型に流し込んで
成形する加工方法。 -
『塑性加工』とは、材料の
塑性変形を利用し、必要な形状や
寸法に変形させる加工方法。 -
『塑性変形』とは、材料に力を
加えた後、力を取り除いても、
材料が元の形に戻らないこと。 -
『塑性加工』には、鍛造・
プレス加工・スピニング・転造・
圧延・押出・引抜などがある。
除去加工とは?
次は、『除去加工』
について教えて下さい。
『除去加工』は、
JIS規格で、
除去加工:材料を選択的に除去して
目的の形状を取得する。
例 フライス加工、エンドミル加工、
旋削加工、ドリル加工、
放電加工(EDM)など。引用:JIS B 9441
付加製造(AM)−用語及び基本的概念
と定義されています。
『除去加工』は、
不要な部分を除去して
目的の形状に仕上げる
加工のことを言うんですね。
そうなんです。
不要な部分を除去するので、
材料にムダが出るのが特徴です。
切りくずなどは、
ムダな部分だった
ということですね。
『除去加工』には、
どんな種類が
あるんですか?
『除去加工』には、
- 切削加工
- 研削加工
- 特殊加工
などがあります。
『切削加工』って
なんですか?
『切削加工』とは、
JIS規格で
00200 切削
切削工具と工作物とを
相対運動させて、工作物の不要な
部分を除去する加工方法。引用:JIS B 0106
工作機械−部品及び工作方法−用語
と定義されています。
工具を使って、
材料を削る加工を、
『切削加工』
と言うんですね。
『切削加工』を行う
代表的な加工機械には、
- 旋盤
- ボール盤
- フライス盤
- 歯切り盤
などがあります。
たまに、
NC旋盤や
NCフライス盤とか
聞きますが、
NCって何ですか?
NC装置とは、
『数値制御装置』を
組込んだ機械のことで、
JIS規格では、
140.5100 数値制御装置
プログラムを解析して、
工作機械を操作するために、
工作物に対する工具経路、
加工に必要な作業の工程などを、
数値と符号で構成し数値情報で
指令する装置。NC装置ともいう。引用:JIS B 0106
工作機械−部品及び工作方法−用語
と定義されています。
『NC装置』とは、
加工プログラムによって
自動で加工を行う機械
のことを言い、
『汎用機械』とは、
手動で動かす機械のこと
なんですね。
次は、『研削加工』
について教えて下さい。
『研削加工』は、
JIS規格で
05100 研削
といし車を回転運動させて工作物の
不要な部分を除去する方法。引用:JIS B 0106
工作機械−部品及び工作方法−用語
と定義されています。
『研削加工』は、
高速で回転している
砥石を使って材料を削る
加工方法のことを
言うんですね。
削るというよりは、
磨くような加工
イメージです。
『研削加工』を行う
代表的な加工機械には、
- 円筒研削盤
- 平面研削盤
- 倣い研削盤
などがあります。
次は、『特殊加工』
について教えて下さい。
『特殊加工』は、
刃物や工具ではなく、
電気やレーザ・超音波などを
利用して行う加工のことです。
どんな時に
使うんですか?
『切削加工』や
『研削加工』では、
加工が難しいときに
使用する加工方法です。
『特殊加工』の
代表的な加工機械には、
- 放電加工機
- 電解加工機
- レーザ加工機
- 超音波加工機
などがあります。
-
『除去加工』とは、
不要な部分を除去して目的の
形状に仕上げる加工の総称。 -
『除去加工』には、切削加工・
研削加工・特殊加工などがある。 -
『切削加工』とは、工具を使って
材料を削る加工方法のこと。 -
『切削加工』の代表的な
加工機械には、旋盤・ボール盤・
フライス盤・歯切り盤などがある。 -
『NC装置』とは、
加工プログラムによって
自動で加工を行う機械のこと。 -
『研削加工』とは、高速で
回転している砥石を使って
材料を削る加工方法のこと。 -
『研削加工』の代表的な
加工機械には、円筒研削盤・
平面研削盤・倣い研削盤
などがある。 -
『特殊加工』とは、
刃物や工具ではなく、
電気やレーザ・超音波などを
利用して行う加工のこと。 -
『特殊加工』の代表的な
加工機械には、放電加工機・
電解加工機・レーザ加工機・
超音波加工機などがある。
付加加工とその他加工とは?
では、
『付加加工』について
教えて下さい。
『付加加工』は、
JIS規格で
付加加工:材料を連続的に付加して
目的の形状を取得する。
溶接、はんだづけ、接着剤、ねじなどの
物理的、化学的又は機械的結合で
複数の部材を組み立てることで、
加工した部材から、より複雑な
形状の製品を実現できる。引用:JIS B 9441
付加製造(AM)−用語及び基本的概念
と定義されています。
『付加加工』は、
材料に材料を付け加えて、
目的の形状に仕上げる
加工方法のことを
言うんですね。
そうなんです。
『付加加工』には、
どんな種類が
あるんですか?
『付加加工』には、
- 溶接
- はんだ付け
- 化学的結合
- 機械的結合
などがあります。
化学的結合や
機械的結合って
なんですか?
化学的結合は、
接着剤などでの
結合のことで
機械的結合は、
ねじやリベットなどでの
結合のことです。
なるほど。
ちなみに、
金属加工関連で
『知っておいたほうが
良い。』というのは、
ありますか?
うーん。
そうですねぇ。
『 JIS B 0122加工方法記号』
に記載されている、
- 熱処理
- 表面処理
とかですかね。
ありがとうございます。
-
『付加加工』とは、材料に
材料を付け加えて、目的の
形状に仕上げる加工の総称。 -
『付加加工』には、溶接・
はんだ付け・化学的結合・
機械的結合などがある。 -
化学的結合とは、接着剤など
での結合を指し、
機械的結合は、ねじや
リベットなどでの結合を指す。 -
『 JIS B 0122加工方法記号』
に記載されている、熱処理・
表面処理も知っておくと便利。
まとめ
加工とは、材料に外部からエネルギーを
与えて目的の形状に仕上げることです。
加工の種類を知ることで、
価格を下げることが出来たり、
納期の短縮につながる可能性があります。
一度、調達している加工品の
加工方法を確認してみては
いかがでしょうか?
ありがとうございました。